先手番大山先生の手を考えます。
第1問
無理攻めのようなのでどう受けてもよさそうですが、大山先生は手堅く受けました。
A 58玉 B 37飛 C 36金
第2問
強く攻めてよいかどうかの確認です。
A 22角成 B 22飛成 C 18香
第3問
金取りの受け方は?
A 18金打 B 39金 C 37銀
第4問
先手玉は3手すきです。寄せ合いはここから。
A 33歩成 B 65桂 C 84桂
先手番大山先生の手を考えます。
第1問
無理攻めのようなのでどう受けてもよさそうですが、大山先生は手堅く受けました。
A 58玉 B 37飛 C 36金
第2問
強く攻めてよいかどうかの確認です。
A 22角成 B 22飛成 C 18香
第3問
金取りの受け方は?
A 18金打 B 39金 C 37銀
第4問
先手玉は3手すきです。寄せ合いはここから。
A 33歩成 B 65桂 C 84桂
今日の棋譜20191121
昭和45年11月、中原誠先生と第9期十段戦第4局です。
3連敗の大山先生は76歩34歩に26歩。相居飛車でやってみようと気分転換です。
互いに飛先の歩を切ってしまったので
横歩取りです。大山先生は横歩取りなんて指したことがあるのでしょうか。中原先生は経験があるはずで、多分内藤先生に影響されて33角です。相横歩取りの激しい変化になったら面白いですが、大山先生は少し妥協して力戦にしてしまうでしょう。
ここまではおなじみですね。今ならば後手が中原囲い(これは将棋戦法大辞典の最初のほうに書いてあるので中原先生の再発見でしかありませんが)などを考えるのですが
中住まいにして端を伸ばして攻めるというのが内藤先生の得意だった横歩取り空中戦と呼ばれた戦型です。
攻めている駒は飛角だけなのですが、あちこちに手を出します。76歩を取りに行き
35歩には25歩。飛は横に行くと27角があるので
76歩を取れました。
端を攻めます。理想的には16同歩18歩同香77角成同桂46飛同歩36角28飛58銀48玉27歩ですが、やはり攻めているのは飛角だけなので無理な感じです。
大山先生は34歩、角を換えさせて46飛同歩36角では後手が無理なので
74飛と下がらせてから16歩です。中原先生はそれでも18歩から
36角を打ち
飛を切って27歩。27同金に47角成だけでは駒損がひどいです。
39銀は38飛27角成のつもり。大山先生は自陣飛車で受けます。これ以外の受けもありそうですが打てば手堅いです。
結局は大山先生の4歩得です。
2,3筋を攻める66角(23歩同金24歩がある)に中原先生は19飛。18角成があるので
45銀打の強い受けに16香
16同香に27歩は筋ですが指しすぎでしょう。
27同飛と取らせたために飛と銀金の二枚換えになります。
竜を潜って、18金打だと同竜同金39飛~29飛成が面倒なので
大山先生は39金で守り、36香には37銀打。
まだ大山先生が少し駒得です。飛を打たれて
左翼から攻められました。77銀成~78成銀で詰めろですから3手すき。
82kうぃは2手すき、82金に33歩成は詰めろ。
41香に32角は詰めろではありませんが
77銀成(2手すき)に43角成。51玉53香同銀同馬で詰めろです。先手玉は詰まないのでこれまで。
中原先生の攻めは無理筋です。この33角から中住まい、後に空中戦と呼ばれるのですが(中原内藤のタイトル戦のころ)、一方的に攻めつぶすには戦力が足りません。桂香を使って攻める筋が見つけられるまではマイナー戦法です。
それにしても大山先生が横歩取りを指すとは思いませんでした。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1970/11/18
手合割:平手
先手:大山十段
後手:中原誠8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 8四歩(83)
5 2五歩(26)
6 8五歩(84)
7 7八金(69)
8 3二金(41)
9 2四歩(25)
10 同 歩(23)
11 同 飛(28)
12 8六歩(85)
13 同 歩(87)
14 同 飛(82)
15 3四飛(24)
16 3三角(22)
17 3六飛(34)
18 8四飛(86)
19 2六飛(36)
20 2二銀(31)
21 8七歩打
22 5二玉(51)
23 4八銀(39)
24 1四歩(13)
25 7七角(88)
26 1五歩(14)
27 6八銀(79)
28 7二金(61)
29 3六歩(37)
30 6二銀(71)
31 3七銀(48)
32 7四飛(84)
33 3五歩(36)
34 2五歩打
35 同 飛(26)
36 7六飛(74)
37 3八金(49)
38 9四歩(93)
39 4六銀(37)
40 1六歩(15)
41 3四歩(35)
42 7七角成(33)
43 同 銀(68)
44 7四飛(76)
45 1六歩(17)
46 1八歩打
47 同 香(19)
48 3六角打
49 2八飛(25)
50 7七飛成(74)
51 同 桂(89)
52 2七歩打
53 同 金(38)
54 3九銀打
55 3七飛打
56 2八銀成(39)
57 同 金(27)
58 5四角(36)
59 6六角打
60 1九飛打
61 4五銀打
62 1六香(11)
63 同 香(18)
64 2七歩打
65 同 飛(37)
66 1六飛成(19)
67 5四銀(45)
68 同 歩(53)
69 2二飛成(27)
70 同 金(32)
71 同 角成(66)
72 1九龍(16)
73 3九金打
74 3六香打
75 3七銀打
76 同 香成(36)
77 同 銀(46)
78 8九飛打
79 6九香打
80 9九飛成(89)
81 2一馬(22)
82 9八龍(99)
83 7九歩打
84 7六銀打
85 8四桂打
86 8二金(72)
87 3三歩成(34)
88 4一香打
89 3二角打
90 7七銀成(76)
91 4三角成(32)
92 投了
まで91手で先手の勝ち
20191121今日の一手
2月のR選手権予選から、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
桂角の交換で竜VSと金2枚の作り合いです。先手の駒得ですが、終盤なので無視できるくらいです。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。これは重視します。
先手の攻め駒は21竜75角51金と持ち駒銀で4枚。
後手の攻め駒は39飛と持ち駒金銀桂で4枚、57と も加えるかどうか。
総合すれば先手もちです。
何手で詰めろかを数えてみると、後手玉への詰めろはいっぱいありますね。即詰みはありません。2手すき。
先手玉は76桂と跳ねられると危ない(詰み筋に入る)ですが、いまのところは68銀も詰めろになっていないようです。56と~67銀の詰めろで3手すき。
先手番ですから寄せ合いは先手優勢です。
☆ 大局観として
角取りですし、先手玉を固める手は考えないで良いでしょう。どうすれば詰めろになるか、それだけです。だから簡単なのですが、当日体調の思わしくない私は持ち時間があっても読む力が残っていませんでした。
☆ 簡単なまとめ
詰めろをかけるならば45歩
53玉のままに逃げ道をなくすのが良いです。
あるいは33銀もよさそう。
実は後手玉を44に逃がすと76桂から詰まされます。
× 52竜から追うと
結構王手は続きます。44玉43竜同玉34金42玉
けれどここからしっかりした詰めろがかかりません。(のちに書きますが後手玉が75角のラインから外れると76桂の詰み筋が生じます。)52銀56と
51金を守ってみても、後手玉に有力な詰めろがありません。
× 実戦では52金44玉46銀で詰めろ。
打ち歩詰めが見えますが、45歩34玉24竜ならば回避しています。これが最初に見えてしまい、そのまま指してしまいました。
実は76桂98玉89銀同玉88金同金79竜
桂を跳ねられると先手玉が詰んでいます。52金は悪手でした。
秒読みの後手Hさんはこれに気が付かず33銀
これには11竜(詰めろ)45桂
なぜか詰めろが続きません。銀を打ってもらったので先手玉も詰まず、形勢不明のはずでした。
それを11竜ではなく23角成22銀同馬34玉
角をうまく逃げて銀を手に入れたら簡単だろうと進めたら、後手玉に詰めろもかかりません。26銀(詰めろではない)49飛打(詰めろだけれど79飛成同金76桂から詰んでいた)57銀76桂98玉79飛成(詰めろ)同金89銀で負けです。
さて工夫としては、途中46銀の詰めろでは詰まされて負けなので64角が詰めろ逃れ。でも56と
こちらの角を取られても勝てません。
× 64角を先にして
64同歩52金44玉46銀34桂は難しいですが
(とりあえず打ち歩詰めです。)
64角を同玉とした方が捕まりません。
後手玉を上に追うのは悪い手だとわかりますね。「玉は下段に落とせ」に逆らっています。
△か× 65桂の王手は
44玉46銀で詰めろをかけたときに
76桂77玉があるので、先手玉が詰みません。後手は何か受けるのですが34桂(打ち歩詰めを誘う)24竜56と
35竜33玉64角同歩44歩42金45銀・・・攻める手はあるのですが、駒損で戦力不足です。
○ 対局後すぐに45歩が正解だとわかりました。
56角が使えなくなるので指しにくく思った(さらに22竜の利きもすぐに止められる)のですが、例えば42金83角成が詰めろ。
後手の最善は32歩です。
32同竜に42金打ですが61銀
この詰めろに受けがありません。必至です。
32同竜に42金のほうは65桂
62玉42竜同歩61銀
これも必至です。
61銀が見えないときは83角成
後手から68銀が詰めろでも、65桂42玉64角同歩53銀
53同金同桂成同玉52金打
43玉23竜~35桂で詰みです。
83角成で詰めろはわかりにくい(し68銀が詰めろになる)ので、11竜
56角が残っていれば後手の68銀が詰めろになっていません。62玉が詰めろですが64角
76桂を回避して41竜で勝ち筋です。
自玉の詰めろを見極めればこちらがわかりやすいか。
○か△ 45銀も詰めろです。
違いは後手から55歩の詰めろ逃れが消えているというくらいです。(が45歩55歩65角でもよいのです。)
32歩83角成(32同竜のほうは持ち駒銀がないので寄せられない)
銀を45に打ったのでこれは詰めろではないです。でも後手の68銀は同金同と65桂42玉64角同歩53銀
銀をもらえば詰むという条件です。
あとは72銀打
これも銀を手放したから難しそうな受けですが、32竜42金打65桂62玉42竜
から61金打で詰みます。
○か△ 45銀が35銀でも
ほぼ同じです。(普通は45からだと思いますが。)32歩83角成に55歩が余計な変化、でも61馬
65桂54玉43馬からの詰み筋です。
○か△ 46銀としても詰めろです。
実戦と同じ52金44玉45歩34玉24竜という筋。やはり32歩83角成68銀
76桂からのとん死筋を避けていて、銀を打たれたら(詰めろ)同金同と65桂42玉64角同歩53銀
これも同じ筋で勝ちです。
○ 33銀ならば
42にも利きがあるのでより確実です。これは今まで苦労していた32歩を、同竜42金打43竜
簡単に詰ますことができます。
33銀に42銀ならば23角成
銀を使ってもらえば(76桂からのとん死筋が遠のくので)右からゆっくり攻められます。
なお33同金は
どうやっても勝ちそうですが、33同竜62玉(詰めろ)の時に52金同玉34角
62玉61角成同玉63竜としてきれいに詰ますことができます。
○ 詰めろでない手であれば、23角成
角取を避けて馬を作るのが自然な手です。同じようでも83角成は守りに働きにくいですが、23馬は守りにも働きます。つまり後手からの68銀が詰めろになっていません。
後手は44玉が詰めろですが、64角同歩46銀
45馬と使えるのが心強いです。
もう一つ84桂も詰めろですが89玉
早逃げしておいて76桂右に96歩くらいで良いです。
これが一番わかりやすかったですね。
△か× 変わった手としては65歩
桂取りで、56と には39角があります。44玉64歩79飛成同金56と
この後手玉を捕まえられるかどうか。よくわかりません。
☆ まとめ
「玉は下段に落とせ」の逆というか、王手をかけて相手玉を上に追いかけると、追いかけた駒が攻め駒として働きにくくなります。攻め駒が成ることもないでしょうし、入玉が絡めばなおさらです。
この場合は後手玉が移動すると76桂からの頓死(とんし)筋がありました。
それに気が付いていないとしても、詰めろをかけるならば銀を残して45歩が一番。33銀もちょっとよさそうな手です。
そのあとに自信がなければ詰めろではない23角成でも勝ちでした。
こういうのは「縛る、しばる」といいますね。主に退路を断つ詰めろを「しばる」といいますが、詰めろではない23角成も含めてよいでしょう。上から押さえつける、自分の攻め駒から逃げられないようにする(左右挟撃など)、という手筋です。
理屈がわかってみれば何でもないですが、対局中の心理としてはわかりません。2段目の竜の利きを止められるのが嫌で、上に追った方が逃げるところが少ないのではないか、と思ってしまいました。この場合は83角成があるので杞憂でしたが。