先手番大山先生の手を考えます。
第1問
急戦を封じた後は、大山流の駒の繰り替えです。
A 79金 B 68金 C 48金
第2問
85銀を打ったのはもったいないのですが、この手があれば。
A 54金 B 54桂 C 74歩
第3問
両取りをかけられました。
A 53金打 B 44金 C 66歩
第4問
77歩成の受け方は?
A 79香 B 55香 C 67飛
第5問
最後の決め手です。
A 12金 B 13金 C 46香
先手番大山先生の手を考えます。
第1問
急戦を封じた後は、大山流の駒の繰り替えです。
A 79金 B 68金 C 48金
第2問
85銀を打ったのはもったいないのですが、この手があれば。
A 54金 B 54桂 C 74歩
第3問
両取りをかけられました。
A 53金打 B 44金 C 66歩
第4問
77歩成の受け方は?
A 79香 B 55香 C 67飛
第5問
最後の決め手です。
A 12金 B 13金 C 46香
今日の棋譜20191116
昭和45年9月、米長邦雄先生と第11期王位戦第5局です。
大山先生の中飛車です。
米長先生は急戦です。
ツノ銀中飛車に普通の急戦は難しいのですが、袖飛車にして
7筋の歩を交換します。これは後続の攻めが厳しくないのですが
大山先生の袖飛車も見えているので、どちらが作戦勝ちということもないです。米長先生は44銀で受けました。
大山先生は左金を中央へ。
米長先生は5筋の歩も交換して
大山先生は中飛車に戻し、金を締まります。
米長先生は6筋の歩も交換するのですが
金で受けられて
65歩の時に57歩。57同飛は65銀75金に66銀とできます。
78飛には74飛も当然か。
右桂を跳ねられたのは良いけれど。飛を追われます。
ちょっと無理でも65銀(か65桂)と攻めるものだと思いますが
角筋を通して77桂、攻めにくくなりました。
それでも桂を跳ねて
銀香交換で馬を作りました。駒損ではないのですが、91香が残っているのでは威張れません。これで飛をさばければまあまあですが
大山先生は銀を打って飛のさばきを防ぎます。銀打は得ではないので形勢は互角だと思うのですが
64桂(金取りで飛の詰めろ)に逃げられず77馬では後手が苦しいです。この図に至る前に何かあったか、なければ65桂から99香成が無理をしていたか、ということになります。
大山先生は金をはがして54金。速くはないけれど53金打の攻めがあります。
米長先生は65香で反撃です。62歩成同歩66歩には
58歩成同銀左66香。67歩には86馬でしょうか、68馬同角98飛でしょうか。
大山先生は69飛、はっとする受けですが、69香成には77角、59同馬同飛68香成も怖くはないです。
88馬に67歩。
57歩同銀87馬は両取りですね。44金に69馬は利かず
44同歩68飛45歩。45桂は取られましたが
66香を取って桂桂と銀銀の交換、馬を作られているので駒の損得はほぼありません。先手玉が堅くて攻め駒3枚。やや先手有利です。米長先生は後手玉の薄さを気にしつつ、歩を垂らして飛をいじめにかかりました。
でも飛を浮かれて78馬に76銀がぴったり。64桂にも68飛か77飛か、銀を取られても飛をさばければ先手有利です。
米長先生は飛を取って49飛ですが、大山先生は48角29金25桂26玉でも良いです。
39金打から玉を固めたというのは、角を取らせても54角があるから。
米長先生は竜を切って43金打。負ければ挑戦失敗なので粘ります。
45歩には44桂を避けて22玉。小さな駒損なので粘っていればまだ何かあるかもしれません。
大山先生は55角から46香。ゆっくり確実に攻めていきます。
米長先生は54桂から香を取り
まだ粘るのですが後手陣に空間ができてきました。
駒損でも金を打って守ります。
端攻めは悩ましいところ。15同歩もあるけれど
41香(攻防だけれど42香のほうが優った)から89角。これは厳しい手ではないです。銀を取られる間に寄せてみろ、という感じです。
大山先生は端を詰めて52飛、ねらいとしては13歩成同歩12歩同香11銀です。
米長先生は42香で受けましたが、大山先生は端に銀を放り込んで仕上げにかかります。
端を清算して12金と捨てる。12同玉は33角成同金42飛成で寄り筋。
31玉に21金同玉13歩成。と金ができればこの攻めは切れません。
ここまで。
米長先生が銀を捨てて99角成としたのが悪かったか。取引は互角のはずですが、そのあとがどうも思わしくないです。そのあとも力のこもった戦いでしたが、あわてない大山先生に余裕がありました。
大山先生は五冠王を保ち、まだまだ黄金時代が続くと思われていました。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1970/09/16
手合割:平手
先手:大山王位
後手:米長邦雄7段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 5六歩(57)
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 5四歩(53)
7 6八銀(79)
8 3四歩(33)
9 6六歩(67)
10 6二銀(71)
11 5八飛(28)
12 4二玉(51)
13 4八玉(59)
14 3二玉(42)
15 3八玉(48)
16 4二銀(31)
17 2八玉(38)
18 5二金(61)
19 3八銀(39)
20 7四歩(73)
21 4六歩(47)
22 5三銀(42)
23 6七銀(68)
24 4二金(41)
25 1六歩(17)
26 1四歩(13)
27 3六歩(37)
28 6四歩(63)
29 7八金(69)
30 7二飛(82)
31 4七銀(38)
32 7五歩(74)
33 同 歩(76)
34 同 飛(72)
35 3八飛(58)
36 4四銀(53)
37 6八金(78)
38 5三銀(62)
39 5七金(68)
40 5五歩(54)
41 同 歩(56)
42 同 飛(75)
43 5八飛(38)
44 7五飛(55)
45 3八金(49)
46 5四銀(53)
47 3七桂(29)
48 7六歩打
49 5九角(77)
50 6五歩(64)
51 同 歩(66)
52 同 飛(75)
53 6六金(57)
54 6四飛(65)
55 6五歩打
56 5七歩打
57 7八飛(58)
58 7四飛(64)
59 5六歩打
60 7三桂(81)
61 7五歩打
62 9四飛(74)
63 7六金(66)
64 5三銀(44)
65 7七桂(89)
66 8四飛(94)
67 6八飛(78)
68 8六歩(85)
69 同 歩(87)
70 6五桂(73)
71 同 桂(77)
72 同 銀(54)
73 同 金(76)
74 9九角成(22)
75 4五桂(37)
76 4四銀(53)
77 6三歩打
78 6一歩打
79 8五銀打
80 8一飛(84)
81 6四桂打
82 7七馬(99)
83 5二桂成(64)
84 同 金(42)
85 5四金(65)
86 6五香打
87 6二歩成(63)
88 同 歩(61)
89 6六歩打
90 5八歩成(57)
91 同 銀(67)
92 6六香(65)
93 6九飛(68)
94 8八馬(77)
95 6七歩打
96 5七歩打
97 同 銀(58)
98 8七馬(88)
99 4四金(54)
100 同 歩(43)
101 6八飛(69)
102 4五歩(44)
103 6六歩(67)
104 7六歩打
105 6七飛(68)
106 7八馬(87)
107 7六銀(85)
108 6七馬(78)
109 同 銀(76)
110 4九飛打
111 3九金打
112 5九飛成(49)
113 4八銀(57)
114 3九龍(59)
115 同 玉(28)
116 4三金打
117 4五歩(46)
118 2二玉(32)
119 5五角打
120 3三金打
121 4六香打
122 5四桂打
123 4四歩(45)
124 4六桂(54)
125 4三歩成(44)
126 3八桂成(46)
127 同 銀(47)
128 4三金(52)
129 2五桂打
130 3二金打
131 3三桂成(25)
132 同 金(43)
133 1五歩(16)
134 4一香打
135 4七歩打
136 8九角打
137 1四歩(15)
138 1二歩打
139 5二飛打
140 4二香(41)
141 1三銀打
142 同 歩(12)
143 同 歩成(14)
144 同 香(11)
145 同 香成(19)
146 同 玉(22)
147 1四歩打
148 2二玉(13)
149 1二金打
150 3一玉(22)
151 2一金(12)
152 同 玉(31)
153 1三歩成(14)
154 4三金打
155 2五桂打
156 投了
まで155手で先手の勝ち
20191116今日の一手
10月27日の名南将棋大会から、私とSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は88角1枚。
後手の攻め駒は52飛1枚。
総合すれば互角か後手もちか。
☆ 大局観として
問題図だけではわかりにくいですが、後手(実際は先手)が飛の動きで手損しています。先手は右金が下のままなのですが、右桂が使えて56銀の位置もよい、好調だと思っていたら22飛を52に回られました。これが予想外。実戦では悩んでいるうちに妥協して悪くしてしまったのですが、先手が悪い理屈は玉の堅さだけ、局地戦では有利になってもおかしくないのです。良くなりそうな順を探してみましょう。
☆ 簡単なまとめ
手順の中で異筋の好手はあるのですが、普通は57歩から受けつつ55銀同銀同飛には44銀
こういう好手を見つけられるとよいです。55同角から来られても
64角がそんなに怖くないので何とかなるはず。
○ 一番強い(激しい)のは44歩です。
これから考えるのが普通だと思うのですが、人によって変わるのでしょうか?56飛43歩成
と金ができて駒得です。しかし88角成同玉(乱れるので嫌な感じ)47歩同銀55角
これくらいまではパッと見えるのでやめてしまいました。77角37角成56銀28馬
桂を取られて馬と金の作り合いです。後手から57桂があるので後手よし。先手の右金が58ならばこれで先手よしなのでしょうけれど。
全く考えませんでしたが、43歩成の前に47銀打としておけば
後に47歩と打たれる手を防げました。76飛には77歩で飛取りと43歩成が残ります。47銀打は好手ですね。53飛には45桂がぴったり。54飛くらいで43歩成88角成同玉
と金を作っているので駒得です。後手が攻めにくいので先手が指しやすいです。
△ 実戦では47銀上
不安な形ですが銀にひもを付けました。私の調子のよくないときは消去法で選んでしまいがちです。55銀同銀同飛に(指しませんでしたが)44銀という手があるのですが
57飛成58金右同竜同銀44歩
二枚換えになるのでこの筋は成立せず。
また、55同飛に44銀ではなく46銀打51飛55歩
これはありましたね。銀を打ったのは少し損でも、手得なので大模様を張れます。抑え込んで角頭を攻めればよくなるはず。これは対局中は全く思い浮かばず。
実戦は55同飛に56歩
55同角同角は両取りで後手有利なのでこれしかないだろうと思い込んでいました。ここから駒組で
46銀打としてゆっくり指さなければいけないという感触は持っていたのですが、欲張って29飛(~58金としたい)としたら44歩同歩46歩同銀47角
角を打ち込まれました。38角36角成47銀63馬24歩同歩同飛
指せないことはないですが、馬を作られたし、玉は薄いし、勝ちにくい将棋です。
△か× 57銀とするのは
58金右としてあるのならばこちらに銀を上がるほうが普通です。55銀同銀同飛
44銀はないですし、46銀打は57飛成同銀88っカウ成同玉55角。なので56歩51飛33角成同桂
ここでは57銀よりも47銀のほうが桂頭を守っているので良い形だと思います。まあ本譜の47銀でも少し苦しいのですが。
○ 57歩ならば
47銀上よりも手堅いのでこっちかなあという気はしていました。でもこの後を読んでいないので選択できず。55銀(これしかない)同銀同飛には今度こそ44銀
飛か角を取れます。
なので55同飛ではなく55同角の一手。
55同角同飛66角には64角しかありません。
33角には44銀ですから。ここでは24歩か56銀か56歩か、何でもありそうなのですが、後手からは35歩が結構厳しい手なので、正解は47銀打(56歩や24歩を見る)かという気はします。
△ 55歩と打つと
55同銀と取られるので、1歩損しているというのはわかりますね。57歩のほうが良いです。それでも同銀同角同角同飛66角64角
57歩が無くても先手が悪いということはありません。あるほうが良いですが。
○ ちょっとひねって54歩はどうでしょうか。
歩切れになるので打ちにくいのですが、後手は54同飛しかないです。65銀に55飛
ここまで必然です。44歩65飛に77桂!
これは見えませんね。角筋を止めると43歩成の時に角交換されないのです。もちろん飛取りですから後手の手は限られます。89銀同玉(68玉は44角)67飛成78銀
竜を切るしかないです。それで先手の駒得、後手からの攻め筋が見えません。
△ 単に65銀とすると
(47銀引でも同じことになりそうです。)先ほどの55飛は先手有利。55銀しかありません。24歩同歩56歩
56同銀同銀同飛33角成同桂24飛
さばき合った図は先手からの21飛成の味が良いので、玉が薄いとはいえ互角です。
△ 24歩の突き捨てが入るかどうか
これまでの変化で入れば得になるものもあります。後手が手抜くとしたら56飛ですが、その時が悩みどころで、23歩成ではなく44歩
のほうが良いのかなあと思います。24歩47銀打で先手よしがわかっているというのが前提ですが。
△ 互いに銀取りですから、何か1手待っていてもよいかもしれません。58金右
くらいでしょうか。56飛44歩76飛77歩46飛
これは24歩同歩79角で戦います。
あるいは単に44同歩
形勢はほぼ互角です。
☆ まとめ
問題図では先手(実際には後手ですが)の手得(12手VS9手)なので、形勢判断の評価には表れていないけれど、先手が良くなりそう、という感じがわかれば正解しやすいです。
「銀を取り合い43歩成を実現する」44歩56飛47銀打76飛77歩
あるいは54歩同飛65銀55飛44歩65飛に77桂
こういう異筋の好手があります。角筋を止めるのが良い手になるというのが盲点です。
普通に良い手は57歩で、55銀同銀同飛44銀
これは45歩型ゆえに生じる手で、手得が生きています。
また実戦の47銀上からでも46銀打からの抑え込み
くらいは指したかったなあと反省しております。これらは形勢が悪くない、良くなる順があるだろうと探していれば見つけやすくなるのでしょう。