先手番大山先生の手を考えます。
第1問
隙を作って56歩を突かせました。反撃は?
A 56同飛 B 56同銀 C 74歩
第2問
駒損なので攻めねばなりません。
A 54銀 B 82飛 C 68香
第3問
これは安全策です。
A 64飛成 B 43成銀 C 18玉
第4問
竜を切られました。互いの玉の詰み筋を確認しましょう。
A 58同金 B 25銀 C 25歩
先手番大山先生の手を考えます。
第1問
隙を作って56歩を突かせました。反撃は?
A 56同飛 B 56同銀 C 74歩
第2問
駒損なので攻めねばなりません。
A 54銀 B 82飛 C 68香
第3問
これは安全策です。
A 64飛成 B 43成銀 C 18玉
第4問
竜を切られました。互いの玉の詰み筋を確認しましょう。
A 58同金 B 25銀 C 25歩
今日の棋譜20191112
(大山全集には宮嶋茂人氏との飛落ちが入っていますが省略します。)
昭和45年7月、米長邦雄先生と第11期王位戦第1局です。これが米長先生の初タイトル挑戦でした。
大山先生の先手三間飛車で
75歩が早いです。
米長先生は中央位取りに。
64銀は31角をみたけん制です。
79角は97角の用意、44歩はちょっとちぐはぐな感じがします。大山先生は65歩。22角の筋が2重にとまった時なので突きやすいです。
米長先生は気合で65同銀左、同桂同銀で銀と桂歩の二枚換えです。
45歩と突くのは大模様ですが、前に44歩を突いていなければ56歩から戦うことができました。
銀をぶつけられて、交換は少し損をしている気がします。銀を引いて駒組が続き
大山先生の(88角が移動して)97角は誘いの隙です。気合重視の米長先生は当然のように56歩。
74歩は同飛75銀、同歩64角、どちらも指しにくいので99角成。
64角には74飛75銀、必然ではないにせよ当然でしょう。
飛角交換から、米長先生の44桂は好点で
香を取って24香。飛を捕獲できました。これで少し指しやすいはず。
銀を追われて、駒得が約束されているのですから74銀の我慢が普通です。
26香65歩の取り合いはやはり気合なのですが、66歩同銀69飛。これで手が続くと見ました。
香銀の取り合いで、トータル銀と角桂の交換です。これにて優勢といいたいところですが、銀を打たれました。先手玉が堅いので寄せ合いにもできず、当面は受けるしかありません。でも先手の攻め駒は4枚、形勢が容易ならざることに気が付きました。
馬を使って受けるというのは当然です。
受けながら36桂の筋でうっちゃりをねらいます。
大山先生は金を渡すと危ないのですが、43成銀から攻めるのもあるところ。その前に玉を寄っておくのは安全策です。飛金を2枚渡さなければとん死筋にならないわけです。(お株を奪う米長玉ですね。)
米長先生は竜を使って守りつつ、将来の58竜からのとん死筋もねらっています。
大山先生は清算して(43成銀同玉53金打同銀同金)、53同角は52銀から53歩成です。
33玉に42銀24玉31銀不成。これが25銀からの詰めろ。
58竜はその詰めろを避けて(55玉から逃げ出せる)28金からの詰めろ。
大山先生は25銀35玉を入れてから竜を取ります。これで28金同玉36桂が利かないから(25銀が詰めろ逃れ)
39銀の詰めろに36香。36同桂同銀44玉42飛成55玉45竜66玉67飛以下詰みますね。ここまでです。
難しい終盤でしたが、77手目、駒損でも54銀と食いついたところは大山先生が指せるようです。そのまま逆転に至らず、1手違いの終盤を制しました。
この時代の将棋は大山米長戦が一番面白い、と私がいうのもわかるでしょう。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1970/07/28
手合割:平手
先手:大山王位
後手:米長邦雄7段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 3四歩(33)
7 6六歩(67)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 7五歩(76)
14 4二銀(31)
15 3八銀(39)
16 5四歩(53)
17 3九玉(48)
18 5二金(61)
19 2八玉(39)
20 5三銀(42)
21 6七銀(68)
22 5五歩(54)
23 6八角(77)
24 8四飛(82)
25 9六歩(97)
26 9四歩(93)
27 5八金(69)
28 5四銀(53)
29 7六飛(78)
30 5三銀(62)
31 7七桂(89)
32 6四銀(53)
33 7九角(68)
34 4四歩(43)
35 6五歩(66)
36 同 銀(54)
37 同 桂(77)
38 同 銀(64)
39 3六飛(76)
40 4五歩(44)
41 8八角(79)
42 4三金(52)
43 7六銀(67)
44 5四銀(65)
45 7七角(88)
46 6四歩(63)
47 6七銀(76)
48 4二金(41)
49 9八香(99)
50 3三角(22)
51 8八角(77)
52 1四歩(13)
53 9七角(88)
54 5六歩(55)
55 7四歩(75)
56 9九角成(33)
57 6四角(97)
58 7四飛(84)
59 7五銀打
60 6四飛(74)
61 同 銀(75)
62 4四桂打
63 2六飛(36)
64 9八馬(99)
65 5六歩(57)
66 2四香打
67 5五歩(56)
68 6五銀(54)
69 6六歩打
70 2六香(24)
71 6五歩(66)
72 6六歩打
73 同 銀(67)
74 6九飛打
75 2六歩(27)
76 6六飛成(69)
77 5四銀打
78 5七歩打
79 5九金(58)
80 8七馬(98)
81 4三銀成(54)
82 同 金(42)
83 5四歩(55)
84 6五馬(87)
85 5三銀成(64)
86 4二銀打
87 6二飛打
88 6四角打
89 5二金打
90 3一銀打
91 1八玉(28)
92 5八歩成(57)
93 同 金(59)
94 5五龍(66)
95 4三成銀(53)
96 同 玉(32)
97 5三金打
98 同 銀(42)
99 同 金(52)
100 3三玉(43)
101 4二銀打
102 2四玉(33)
103 3一銀(42)
104 5八龍(55)
105 2五銀打
106 3五玉(24)
107 5八金(49)
108 3九銀打
109 3六香打
110 投了
まで109手で先手の勝ち
20191112今日の一手
10月27日の名南将棋大会から、私とAさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
銀金の交換で成桂を作っていますから、先手が少し駒得です。終盤なので重視しません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は28飛63成桂と持ち駒角金で4枚。
後手の攻め駒は85桂と持ち駒角銀銀で4枚。
総合すれば先手有利です。
☆ 大局観として
後手玉は裸みたいなものですし、先手玉は77桂成とされても今は詰まないですから、寄せ合いでは1手以上の余裕があります。
後手の攻め筋としては77桂成同金55角ですね。55角を打たれると攻防になるでしょうから、その前に寄せ切りたいところです。
その寄せが案外に難しい、というのは28飛は受けに働いている(後手の81飛は受けの働きが弱い)けれど、攻めに使いにくいという事情があります。どこかで25飛と出てきれいに寄せられたら良いのですが、飛を使えないならば攻め駒は3枚です。後手玉が薄いので何とかなりそうなのですが。
☆ 簡単なまとめ
きれいな寄せ方は22歩から。
53銀21歩成の時に
玉をかわす手を寄せられる、21同玉しかない、ということに気が付くかどうか。21同玉ならば寄せはありそうです。
○ 自然な手としては42成桂同玉
中盤ならば当たり前の手です。寄せでは足掛かりが無くなるので悪いかもしれないのですが、後手玉は裸になりました。有力な手はいくつかありますが、小駒を打つのでは足が遅いので角を打ちます。まずは75角の王手。合駒は53桂62銀52銀44歩同歩同桂
後手は53の地点を守るために駒を打ちにくいのです。
よって75角には33玉
44歩同歩53角成77桂成
先手は56桂も使えそうなので攻めは切れなさそうですが、77同金55角は嫌です。44馬23玉77馬と指したくなりますが、55桂で難しいのです。
大駒の利きを止められて、後手玉を寄せるのは大変です。
であれば63角
王手をかけずに、飛取りで角を配置する方がソフトです。後手は飛の逃げ場所が難しく、84飛73銀
飛を取れば難しくないでしょう。
82飛に54角成
後手のねらいの55角を消し、王手飛車も残り、44歩もある、まず負けない形です。
× 王手から見ていきますが、22金と送っても
22同玉42成桂77桂成同金55角
攻防に角を打たれますし、角銀桂では後手玉を寄せにくいです。金を捨てるのはもったいなかったということです。ここからは78飛58銀
詰めろではないですが、69銀成同玉77角成で受け無しになります。
△ 実戦は64角
成桂にひもを付けました。銀取りですし、53銀同角成42銀は妥当なところ。
ゆっくり指すならば54馬の飛取りで55角を消しておけばよいです。実戦では22銀同玉42馬33銀
これならば寄り筋かと思いましたが、32金13玉は良いとして、33馬
私も見えなかったですが、これは先手勝ちです。
実戦では33馬ではなく43馬55角
43馬では1手パスです。せめて33金同桂同馬でしたが、23金打で面倒だと思ったのでしょうか。攻防の角を打たれて、44桂77桂成33金88銀
81飛も働くので難しくない詰み(詰まし方も何通りもある)で終わりました。
さて先手が寄せを誤ったという前に、後手の33銀が悪くて23銀
銀冠を作って粘るのが正解です。これが寄せにくくて、31銀同飛(13玉ならば22歩)同馬81飛22玉85飛成、というのは泥仕合。後手玉を2筋方面に追う変化は難しくなりそうです。
× 寄せのセオリーとしては小さい駒で64角よりも52金から考えるのですが
53銀同金77桂成同金55角
小駒の攻めは遅いので、後手の攻めのほうが速くなります。
△ 42成桂同玉を入れずに63角はどうか。
82飛ならば41金を打てますが
重い攻めなので、前と同じに42成桂同玉54角成
とするほうが優ります。
飛を横に逃げたら42成桂同玉85角成
桂を抜いてしまえば駒得で後手の攻めも切れます。
ということは後手は53銀しかなくて81角成
(63角ではなく72角でもこの図になるのでしょう。)この瞬間は先手の攻め駒は3枚です。寄せ合いにされると危なくて、77桂成同金55角
77角成とされたら詰まされそうなので88金を打たねばなりません。63馬か51飛か78飛か、形勢不明です。
△ 44歩は手筋で
44同歩は同桂とできます。53銀43歩成22玉
成桂を失ったけれど、よりよい位置に と金ができました。後手は早逃げするくらい。ここでの寄せ方が難しく、32金12玉22角13銀
13同角成同玉22銀23玉21金では寄っているかどうか。
66角55銀を入れて(後手の55角を消して)22歩とか
32金なんて打たずに53と もあります。
これは後手の55角の筋に44角と打ち返そうという意味。どれも難しいです。
△ 44桂と跳ねると
23銀には42成桂同玉64角
53銀には52金、53桂には72銀、33玉には31銀、角打ちが厳しくなっています。
後手は44桂を同歩と取るしかなさそうで
42成桂同玉44歩52銀
43銀から攻めていくか、75角33玉43銀
という迫り方か。何とかなっているような、少し危ういような寄せ方です。
○ 22歩は
22同玉42成桂ならば、前にやった22金同玉42成桂よりもはっきり得ですね。金を残しておけば詰めろもかけやすいです。53銀21歩成は必然でしょう。
41玉は63角、42玉と32玉は31角。21同玉しかないようです。33角13銀
というのも当然でしょう。(23金には25飛が利きます。)24角成同金23金82飛25飛
とうとう28飛が働きました。これが22金打同飛同金同玉24飛23歩21飛以下の詰めろです。33桂もありますし、受けはないです。
△か× 23歩(詰めろ)では53銀
44歩はあっても、寄せは大変です。
△ 54成桂として
駒得を主張するのはあります。後手の55角を消しています。77桂成同金59角78金打
実際には桂で銀を取られるので、駒得の効果はわずかです。先手が少し良いとは思いますが。
☆ まとめ
きれいに後手玉を寄せ切るには4枚目の攻め駒である飛を使わねばなりません。
22歩から後手玉を下に落として25飛
これが決まると気持ちの良い寄せです。
考えやすい寄せとしては、飛取りで角を打つのですが、銀を取ってから63角
先手で角を配置できる(すぐに馬を作れる)ので裸の玉ならば攻め駒3枚でも(28飛を使わなくても)何とかなりそうです。