先手番中原先生の手を考えます。
第1問
27歩成の時にどうするかを考えて。
A 17飛 B 28歩 C 44歩
第2問
これがここでの寄せの筋です。
A 62香 B 86香 C 55角
第3問
中原先生苦心の寄せです。
A 62金 B 63銀 C 71銀
先手番中原先生の手を考えます。
第1問
27歩成の時にどうするかを考えて。
A 17飛 B 28歩 C 44歩
第2問
これがここでの寄せの筋です。
A 62香 B 86香 C 55角
第3問
中原先生苦心の寄せです。
A 62金 B 63銀 C 71銀
今日の棋譜20191118
昭和45年1月、中原誠先生と第9期十段戦第1局です。
大山先生の後手三間飛車です。
後手番で石田流に組むというのは、今では無理だということになっていますが。
中原先生は後手の仕掛けに備えます。
金を上がるのは石田崩しです。36歩同歩同金35歩26金~15歩同歩14歩というのがねらい。後手からの45歩が怖いので、57銀型で動く方が多いですが、ここでは32銀のままですし、72銀とされる前なのでなんとかなるだろうと。
大山先生は2筋の歩を交換し
飛は横に移動します。77銀は36歩が嫌でしょうから
77玉に54飛。
とりあえず美濃囲いに組みました。左銀を使えていないので戦力が足りません。
78玉(74飛には65銀とできるようになった)34飛に26歩、26同歩同金25歩は同金と取ろうということですね。それも難しそうですが、大山先生は36歩。36同歩46角37金36飛、あるいは36同歩46角37桂26歩、まあまあ指せそうです。
中原先生は36同金だったので同飛同歩46角。これは先手の棒金がさばけたことになりますから、後手は少し無理をしています。
26歩の取り込みが気持ち良いようでも、中原先生は44歩。42歩か42金かが無難そうです。
27歩成は48飛~43歩成が見えています。
香で飛先が止まるからということなのですが、58飛とされても43と を取り切れないので先手有利。
中原先生はあっさり46同飛を選んで同馬33と。これで銀が取れるというわけですが、寄せ合いになれば形勢は互角のはず。
大山先生は13香ですが、これは序盤の手です。長い戦いを意識していたのでしょうが、先手の攻め駒は4枚ありますから緩手でしょう。銀を取られても駒損だとは言えないですが
41飛に44歩というのは難しい手ですが、これもぬるい感じがします。44同角42飛同飛成同金というのを期待してですが
33歩同金86香。この寄せは防ぎにくいのです。51金打31飛成32歩42歩では悪そうで
54馬で粘れるならば良いのですが。中原先生は55角64歩を入れて83香成
75桂を打ち、桂香を捨てて
61金を取ったということになります。82金にどう寄せるか。
66角84歩は良いとして、62金は次に72銀92玉71銀不成83金72金ということでしょうか、63銀36馬72金ということでしょうか。ならば最初から63銀だと・・・72銀同銀不成層馬がややこしいと。どちらのねらいかわかりませんが、62金は確実な手だということなのでしょう。
でも72銀を打たれるのは同じで、71竜に65歩。大山先生は中段玉で粘っていれば何とかなるものだと思っていたのでしょう。
55銀に45馬。ここで後手玉が詰んでいます。難しいところはないので読んでみましょう。
82竜から平凡に追って捕まっていました。
(経験上)石田崩しはうまくいくときは良いのですが、失敗すると大敗します。中原先生だからうまくいったというよりは、大山先生が後手玉の耐久力を過信していたのだと思います。4枚の攻めを受けきることは難しいです。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1970/10/14
手合割:平手
先手:中原誠8段
後手:大山十段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二飛(82)
7 6八玉(59)
8 3五歩(34)
9 2五歩(26)
10 3四飛(32)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 4六歩(47)
14 1四歩(13)
15 4七銀(48)
16 7二玉(62)
17 9六歩(97)
18 3三桂(21)
19 6八銀(79)
20 3二銀(31)
21 3八金(49)
22 1三角(22)
23 1六歩(17)
24 8二玉(72)
25 2七金(38)
26 2四歩(23)
27 同 歩(25)
28 同 飛(34)
29 2六金(27)
30 4五歩(44)
31 同 歩(46)
32 7四飛(24)
33 7七玉(78)
34 5四飛(74)
35 5六銀(47)
36 2五歩打
37 2七金(26)
38 7二銀(71)
39 7八玉(77)
40 3四飛(54)
41 2六歩打
42 3六歩(35)
43 同 金(27)
44 同 飛(34)
45 同 歩(37)
46 4六角(13)
47 1八飛(28)
48 2六歩(25)
49 4四歩(45)
50 2七歩成(26)
51 4八飛(18)
52 1九角成(46)
53 4三歩成(44)
54 4六香打
55 同 飛(48)
56 同 馬(19)
57 3三と(43)
58 1三香(11)
59 3二と(33)
60 同 金(41)
61 4一飛打
62 3六馬(46)
63 7九金(69)
64 4四歩打
65 3三歩打
66 同 金(32)
67 8六香打
68 5四馬(36)
69 5五角(88)
70 6四歩(63)
71 8三香成(86)
72 同 玉(82)
73 7五桂打
74 8二玉(83)
75 8三銀打
76 同 銀(72)
77 同 桂成(75)
78 同 玉(82)
79 6一飛成(41)
80 8二金打
81 6六角(55)
82 8四歩打
83 6二金打
84 7二銀打
85 7一龍(61)
86 6五歩(64)
87 5五銀(56)
88 4五馬(54)
89 8二龍(71)
90 同 玉(83)
91 7一銀打
92 8三玉(82)
93 8二金打
94 7四玉(83)
95 7五歩(76)
96 8五玉(74)
97 8六歩(87)
98 同 玉(85)
99 7七銀(68)
100 投了
まで99手で先手の勝ち
20191118今日の一手
11月3日の名南将棋大会から、私とHさんの対局です。
今回は趣向を変えて、寄せ方(と読み)の訓練です。後手の応手、62玉43竜は簡単ですから、それ以外の64合駒の変化をすべて寄せてみてください。
説明は単純なので明日回答します。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
竜と成桂の作り合いだけで駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は31竜と45銀もしくは45桂のどちらか(両方は数えない)と持ち駒香で3枚。
後手の攻め駒は18飛は入れて、38成桂と持ち駒香で3枚。
総合すれば後手が指しやすいです。
何手で詰めろになるか数えると
後手玉は53桂成~52成桂~61成桂同玉53銀成で詰めろ。現状は4手すきです。
先手玉は49成桂~48飛成58香ではだめなので49成桂~48成桂~58成桂で詰めろの4手すき。
先手番なので寄せ合いは先手有利です。
☆ 大局観として
私が筋の悪い攻め方をして分の悪い終盤でしたが、逆転したかと思える局面です。互いに遊び駒がなくて、攻めの銀の働きが良いか悪いかくらい。先手玉は薄いですが、4筋に金銀の壁を作っているので後手の攻めの速度が鈍っています。なので形勢は互角以上のはず。
寄せ合い勝ちだと気がついたら(何手で詰めろになるか数えてみるとわかりやすい)、自然な手で後手玉を攻略していきます。
受ける手もないことはないです。普通の受けでは駒損になりそうなのでテクニックが必要ですが。
☆ 簡単なまとめ
53銀成なたは不成から寄せ合うのが簡単です。
53桂成から同金同銀不成49成桂62香同角同銀不成同玉35角53歩
ここまで直線で読めるとして、簡単に勝ちだと思っていた私の直感は正しかったのですが、ここからの寄せに盲点がありました。読めますか?
○ 実戦は自然な53桂成。小さい駒を使い、桂が成桂になるのは駒得、一番自然に思えます。
53同金同銀不成49成桂62香
62同角同銀不成同玉35角53歩
この図は簡単に勝ちだろうと思っていました。(ここからの寄せが見えるでしょうか?)考えているうちにわからなくなって42角52香
これは42角ではなく、51角の王手から同金53角成同玉51竜が詰まないから、51に何か打ってくれないかと期待していたのですが、52香ではずれです。
予定では52金同玉34角
これで寄りだと直感していたのですが。43歩は32竜42香43角成62玉53角成
合駒は詰みますね。
合駒せずに62玉42竜71玉が53角成でも詰まないねえと、Sさんと感想戦をしていても気が付かなかったのですが、何のことはない61角成で
簡単でした。体調が良くないと特に4局目は疲労しているので読むことができません。直観は正しいけれど、この1手が見えず。家に帰ってから棋譜をつけていても気が付かないとは。
途中の変化としては、52金に71玉
(52同金は71角の詰み)53角成82玉61金
駒を取って詰めろなので簡単です。48飛成に合駒があれば先手玉は詰みません。
最初に戻って52桂成に49成桂は
52成桂同金55香
48飛成には58金打を用意しています。これも先手の寄せ合い勝ち。
○ 実は53銀成または53銀不成のほうがスマートです。
寄せのセオリーとしては小さい駒から使うのですが(相手に大きな駒を渡さない、残った攻め駒の性能が良い)、この場合は桂も銀も影響はありません。そして53同金に同桂不成
1手速く攻められるのです。だから53同金の変化が消えます。
49成桂52成銀(あるいは52銀不成か52銀成か)同金55香
これが寄せ合い勝ちだということだけ確認しておけばよいのです。先手の52香成が詰めろ、後手の48飛成は58金打で良いですし、48成桂は詰めろではありません。
△か× 53桂不成だと
後手玉に近い61金のほうをねらっているので、セオリーからはこちらが優先です。62金上には24角
49成桂51角成48飛成58香51金同竜61香同桂成同銀53銀不成35角
最後に攻防の35角を打たれては怪しいので、44銀をそのままに53金か53角か、すると千日手で粘られるかもしれません。ということでこの変化は全くの互角です。
また53桂不成に49成桂だと
61桂成同銀55香
とするのですが、この時に後手の62銀は72にあるほうが良いわけで、53桂不成は53桂成よりも劣ります。後手玉に近い61金は守りが堅かったので、外側の52金をねらう方が良かった、というのが本来考える順序なのでしょう。
× 55香は
重いですが確実な攻めをねらったというわけですが、すでに53には2枚の利きがあるので重すぎです。49成桂53香成48飛成
合駒が無くて68角には57銀が詰めろ。後手の寄せが速くなっています。
△ 35角ならば
角を攻めに使えるので攻撃力は上がります(まだ攻め駒には数えませんが)。49成桂53銀成48飛成58香
合駒を用意しておけば先手玉に詰み筋はないです。(48成桂だったとしても先手玉は詰めろではないので52成銀で勝ち筋。)よって62銀と埋めて粘るわけですが、52成銀同金53金
53桂成同金同角成には61金で厄介、ということで金を打ってみましたが61金と埋められて千日手か。
× 受ける方を見てみましょう。59金右と逃げたら
48成桂68金右58銀
後手の攻めが速くなります。
△か× 59金左のほうが受けきれるかもしれませんが
49成桂同金42角
41竜には31金で粘られます。少し駒損なので面白くはないです。
△ 38同金は
38同飛成同竜同金59銀でこれから。あるいは38同銀成53桂成48成銀52成桂同金29金
こういう寝技で粘るのも互角です。
△か○ 19歩も手筋で
これは対局中にも考えていました。28飛成に(29歩同竜か)46角29竜53銀不成
後手の竜は8段目よりも9段目にしたほうが粘りやすいです。49成桂~48成桂~58銀が詰めろなのですが王手で48飛成とされる変化が消えます。48竜には59金29竜39歩で手を稼ぐこともできます。ということで細かいのですが少し得なのかも。
こういうのは読み違えがあると1手損して負けてしまうことがあるので、寄せ合い勝ちならばシンプルな方が良いものですが。
△ 28歩だと
28同飛成46角は前の変化と同じようなものです。この手は銀取りでしかないので、42角41竜49成桂53桂成
53同角同銀成同金は銀桂で角を取っただけなので損をしています。ただ局面自体はほぼ互角です。
☆ まとめ
53桂成あるいは53銀成からの寄せ合い勝ちを読めれば正解です。あなたの感覚はあっているということです。
53桂成が普通ですが、そこからの寄せを読み切れるかどうか。私のように一目勝ち、で済ましていると、1手見えないばかりに負けになることがあります。
53銀成あるいは53銀不成
大きな駒から行く方がわかりやすいとは。たしかに53同金が歓迎なので変化が少ないですね。
当たり前で済ましていないで、直線の変化を読み切るか、広く手を探してより有効な手を探すか。若ければ直線を力ずくで読むほうが速いですし、ベテランならば広く良い手を探す方が勝ちやすいです。これが最近(ブログを書くことで)悟った重要な事実。