名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(319); 陽動右四間飛車

2016-10-26 | 大山将棋研究
昭和51年11月、花村元司先生と第26期王将戦です。


花村先生の振り飛車のようでしたが飛車先を突いて

風車みたいにもできましたが、66歩を見て急戦を目指します。

右4間の構え。

72金ではなくて52に上がって攻めてほしかったのですが

8筋に戻しました。

大山先生は中央を抑え

矢倉と右玉になりました。ここでは大山先生が作戦勝ちです。

花村先生は手が作れればよいのですが、飛車の往復で

継ぎ歩から角をぶつけます。これで位取りに隙ができればよいのですが。

大山先生はこんなところに角を打ちこめました。この角が死にません。

花村先生は気前よく飛車を成り込みますが、桂金と取られては駄目です。

端攻めに対して大山先生は7筋から。

74金には76歩と合わせて馬を引き付け

馬取りにも構わず84桂から43歩で挟撃です。

あっという間に寄り筋。

投了図。

花村先生が右4間で攻めるのを見たかったのですが、予定変更で右玉にしたら作戦負けです。こういう時は自分から動くとすぐに負けるもので、角をぶつけたら逆用されました。
大山先生が優勢になってからの寄せは見事でした。そこを見ておけばよいかと。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:花村元司9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 4二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4三銀(42)
9 6八玉(59)
10 8四歩(83)
11 7八銀(79)
12 7二銀(71)
13 7七銀(78)
14 6四歩(63)
15 7八玉(68)
16 6三銀(72)
17 2五歩(26)
18 3二金(41)
19 6六歩(67)
20 4五歩(44)
21 5八金(49)
22 5四銀(63)
23 6七金(58)
24 7四歩(73)
25 3六歩(37)
26 6二飛(82)
27 2四歩(25)
28 同 歩(23)
29 同 飛(28)
30 2三歩打
31 2八飛(24)
32 7二金(61)
33 5七銀(48)
34 7三桂(81)
35 6八銀(77)
36 9四歩(93)
37 9六歩(97)
38 8五歩(84)
39 3七桂(29)
40 6三金(72)
41 4六歩(47)
42 同 歩(45)
43 同 銀(57)
44 8六歩(85)
45 同 歩(87)
46 8二飛(62)
47 5八飛(28)
48 5二銀(43)
49 5五歩(56)
50 4三銀(54)
51 7七銀(68)
52 1四歩(13)
53 7九角(88)
54 6二玉(51)
55 6八角(79)
56 8一飛(82)
57 8八玉(78)
58 7二玉(62)
59 7八金(69)
60 6一銀(52)
61 4五銀(46)
62 6二銀(61)
63 5六銀(45)
64 5二銀(43)
65 2八飛(58)
66 4一飛(81)
67 4五歩打
68 8一飛(41)
69 4六角(68)
70 8五歩打
71 同 歩(86)
72 1三角(22)
73 同 角成(46)
74 同 香(11)
75 8四歩(85)
76 同 飛(81)
77 8七歩打
78 8一飛(84)
79 4四歩(45)
80 4一飛(81)
81 2四歩打
82 同 歩(23)
83 1二角打
84 4四飛(41)
85 2一角成(12)
86 4九飛成(44)
87 3二馬(21)
88 9五歩(94)
89 7五歩(76)
90 同 歩(74)
91 8六銀(77)
92 7四金(63)
93 7六歩打
94 同 歩(75)
95 同 馬(32)
96 7五歩打
97 同 銀(86)
98 8五金(74)
99 8四桂打
100 6一玉(72)
101 4三歩打
102 6三銀(52)
103 2四飛(28)
104 7六金(85)
105 2一飛成(24)
106 5一銀(62)
107 4二金打
108 6二角打
109 7六金(67)
110 7七歩打
111 同 玉(88)
112 5九角打
113 8八玉(77)
114 7七歩打
115 同 桂(89)
116 3七角成(59)
117 7二歩打
118 9六歩(95)
119 7一金打
120 投了
まで119手で先手の勝ち

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大山将棋研究(318); 四間飛車穴熊に銀冠

2016-10-25 | 大山将棋研究
昭和51年11月、有吉道夫先生と第3回名将戦決勝第2局です。


大山先生の四間飛車穴熊で

有吉先生は銀冠、大山先生は石田流に。もちろん有吉先生は26飛と受けています。

居飛車としては後で84歩から攻めたいので歩を交換して持ち歩を増やすというのが当面の目標です。

45歩と打たされましたが、5筋の歩は交換できました。

大山先生は55銀のままでは制圧されるので54歩で追い返すのですが、この時に56飛というのが居飛車の良い形です。石田流に36歩とされても横利きが消えません。また、銀冠のほうが振り飛車穴熊より堅いので飛車交換は問題なし。2筋を攻められて他に争点がなかったとなればだめなのですが、ここでは中央で戦えます。つまり有吉先生の作戦勝ち。

大山先生は銀を引き金を戻して中央に備えるのですが

この歩は意味が解りませんでした。

が角をぶつけるということだったのですね。

大山先生が馬を作れば

有吉先生は香を取って馬が作れます。つまりリードが広がりました。

得した香で中央突破すれば勝ちで

1回55歩同銀(同香は56歩)で止まりましたがもう止まりません。

大山先生は43飛と備えても中央で清算して

これで有吉先生は銀桂得。右の桂香が遊んでいるとはいえ攻め駒4枚です。

大山先生は馬を切って銀取りですが1枚入れて

95桂から55馬で寄せの体制です。

97香にはこんなところに歩が利きました。こういうのは「勝ち将棋鬼の如し」で、角を渡さない限り寄りが無くなりました。

あとは寄せを見るだけです。62銀にも銀を打って

飛車を切る。取れば73角で詰みです。

投了図。

有吉先生の完勝で優勝しました。石田流穴熊には銀冠とか位取りとか、じっくり指すとよいのです。銀の位置の関係で居飛車の玉のほうが堅くなりやすく、相穴熊にしなくても居飛車が指しやすいと思います。
こういう玉を固めた将棋は有吉先生の強さがよく表れます。逆に大山先生の穴熊は堅くないですね。美濃囲いのほうが堅く思えます。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:有吉道夫8段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 5六歩(57)
12 7二玉(62)
13 9六歩(97)
14 8二玉(72)
15 5七銀(48)
16 4三銀(32)
17 5八金(49)
18 9二香(91)
19 7七角(88)
20 9一玉(82)
21 8八玉(78)
22 8二銀(71)
23 7八銀(79)
24 5二金(41)
25 8六歩(87)
26 3五歩(34)
27 2五歩(26)
28 3三角(22)
29 6六歩(67)
30 3二飛(42)
31 1六歩(17)
32 5一角(33)
33 2六飛(28)
34 7四歩(73)
35 6七金(58)
36 7一金(61)
37 6五歩(66)
38 6二金(52)
39 8七銀(78)
40 7二金(62)
41 7八金(69)
42 5四歩(53)
43 6六銀(57)
44 3四飛(32)
45 8五歩(86)
46 4二角(51)
47 5五歩(56)
48 4五歩(44)
49 4六歩(47)
50 4四飛(34)
51 5七銀(66)
52 4六歩(45)
53 同 銀(57)
54 5五歩(54)
55 4五歩打
56 3四飛(44)
57 5五銀(46)
58 3三角(42)
59 5六飛(26)
60 5四歩打
61 6六銀(55)
62 5二銀(43)
63 8六角(77)
64 6二金(72)
65 7七桂(89)
66 3六歩(35)
67 同 歩(37)
68 4一歩打
69 5五歩打
70 4二角(33)
71 同 角成(86)
72 同 歩(41)
73 5四歩(55)
74 4七角打
75 5九飛(56)
76 3六角成(47)
77 8四歩(85)
78 同 歩(83)
79 8三歩打
80 同 銀(82)
81 5五角打
82 8二金(71)
83 1一角成(55)
84 4五馬(36)
85 3七歩打
86 3三桂(21)
87 5六香打
88 5五歩打
89 同 銀(66)
90 2七馬(45)
91 4六銀(55)
92 5八歩打
93 同 飛(59)
94 4九馬(27)
95 5七飛(58)
96 4四飛(34)
97 4五歩打
98 4三飛(44)
99 5三歩成(54)
100 同 銀(52)
101 同 香成(56)
102 同 飛(43)
103 同 飛成(57)
104 同 金(62)
105 3三馬(11)
106 6七馬(49)
107 同 金(78)
108 4八飛打
109 7八銀打
110 4六飛成(48)
111 9五桂打
112 4九龍(46)
113 5五馬(33)
114 6四歩(63)
115 5一飛打
116 9七香打
117 8九歩打
118 6二銀打
119 8三桂(95)
120 同 金(82)
121 7二銀打
122 8二金(83)
123 8一銀成(72)
124 同 金(82)
125 5三飛成(51)
126 7三銀打
127 6四歩(65)
128 7二金打
129 6三歩成(64)
130 同 銀(62)
131 6五桂(77)
132 投了
まで131手で先手の勝ち


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20161025今日の一手<その407>; 逆転される筋を避ける

2016-10-25 | 今日の一手

20161025今日の一手

10月1日の名南将棋大会から、MさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の香得で と金もできています。終盤ですから重視しなくてよいのですが、先手の駒得です。
玉の堅さは後手のほうが(横からは)堅いです。上からなら同じくらい。
先手の攻め駒は11竜86香持ち駒角桂で4枚、33と もすぐに使えるので5枚に近く十分です。
後手の攻め駒は76角と持ち駒桂で2枚。24の飛は使えそうですがまだ足りません。

総合すれば先手有利。

☆ 大局観として
穴熊は堅いというのは一般論で、後手の穴熊は51金61金52銀が玉から離れているので囲いとしては堅くなく、でも壁を作っているので横からの攻めは遅らせられる、という形です。
つまり86香を生かして上から攻めたくなります。後手の囲いを崩してしまえば3つの要素で上回るので先手が優勢になります。
また、33のと金をうまく使って金か銀と交換できそうで、駒得にもなりそうなのです。これが落とし穴で、駒得を拡大しようとしたら自玉が危険になったというのはよくある逆転の例です。
つまり、後手玉を一気に攻略できるか、あるいは自玉を固めておこうか、という選択です。


○ まず目につくのは75桂です。

穴熊の攻略手筋ですが、でも71桂と受けられて74歩から桂馬が死ぬのでつまらない、と切り捨ててしまうところです。しかし71桂には72歩がありました。

ということでかなり有効です。

65角(あるいは94角)と受ければ、66歩74角と追って43と同銀33角

これで2枚換えにできれば勝勢です。

後手は84歩と受ければ

やはり77歩65角66歩74角と追って43と同銀33角

とすればよいです。


○ 25歩として

今なら同飛でしょうから、75桂に84歩の変化がなく、(94角か)65角66歩74角

に限定することができます。(75桂84歩の後で25歩は74飛かもしれない。またこの図で83桂成同銀75歩は駒得でもあまりよくはない。)今度は16角29飛成43と とすれば銀が取れます。25歩52と同金右

角筋は止められても金が囲いから離れるしかなく、72銀と打てば71桂同銀不成同銀83桂不成

とやっていけば以下は簡単に寄りです。


× 72角も鋭い筋です。71桂に42と があります。

よって72角には29飛成で寄せ合いを目指し、83香成同銀同角成82香

でうっちゃりを食らいます。

この筋は75桂84歩の時に72角とすれば

破壊力が上がります。今度は72同金しかなく51飛成29飛成

の時に、一直線に52竜87角成同玉69竜72竜

とすると、95桂か89竜で先手玉が詰んでしまいます。

戻って、52竜としないで68金寄25角77金打

と固めてから34歩~52竜を狙えば先手が優勢です。


× 実戦では42と として

75桂79桂(この交換は29飛成の後かも)42金15角29飛成

とされ、87桂成の筋があるので42角とは行けず、68金寄41歩

となれば形勢は互角に近くなりました。それでも42角成同歩66金43角44歩25角75金36角打

の時に59桂と受ければまだまだでした。一つ前の図で43歩成(これは43同歩47歩同角成59桂のつもりだったか)としたので69角成であっという間に敗勢です。
この説明が後回しになりましたが、21~87のラインに角があるまま飛車を成らせてはいけないということだったのです。


× 43とも同じようなもので

43同角33角29飛成51角成87角成
(途中75桂79桂を入れても同じです)と進めば

87同玉89竜61馬89竜88歩95桂77玉75金

というのはかなり受けにくく、後手が勝つでしょう。実戦ではこの87角成の筋を受けたのですが、それでは形勢は互角になってしまいます。


○ 先に受けておく手、玉を固める手もよい手で、77歩

に65角66歩74角と追ってしまえば43と

で最初のころにやったのと同じ(77歩が75桂になっていた)ことです。駒得で攻めており、自玉に怖いところがありません。


○ 68金寄を先にして

75桂には79桂、29飛成44歩42歩12竜

とゆっくり攻めてもよいです。24飛が移動したら44歩と突きだせます。(42歩と謝らせてから取りに行くほうが受けにくいし後で44歩が生きます。)

また、75桂に77金

と受けることもできます。ここはお好みで。


☆ まとめ
攻めるほうと受けるほう、どちらを考えましたか?

逆転してしまうのは87角成の筋を残したまま29飛成とされることで、そこで受けたら互角に近く、87角成同玉69飛成を食らったら負けます。これは穴熊の遠さを生かされた、ということになるのです。逆転される筋を考えてそれを避けるというのがわかりやすいでしょう。

攻めるなら75桂あるいは25歩同飛75桂、または72角や25歩同飛16角や43と同銀33角の筋で、これは寄せのセオリーの考え方ですが、小さな駒から使うほうがよく、(25歩同飛をいれるかどうかで)75桂を考えるのが先です。うまく組み合わせたら穴熊なんて簡単に攻略できます。

受けるなら二通りで、76の角を追ってから 後で と金を使って金銀をはがすというのがスマート。68金寄と先に受けて、後で と金を使えばよいとうのが堅実です。

いずれにしても先手有利ですから正解は複数あります。棋風によって選べるところだと思います。

*間違いを直しました。20171025

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大山将棋研究(317); 石田流穴熊に左美濃

2016-10-24 | 大山将棋研究
昭和51年11月、大内延介先生と第9回連盟杯争奪戦です。


大内先生の石田流穴熊で

大山先生は左美濃。いつものように7筋の歩を交換させます。

これは微妙な手です。同銀は45歩、65銀なら42角、少し先手がやりにくいですか。

その後は銀を出て飛車を浮いてけん制です。

珍しい筋が出ました。ここでは飛車交換しにくいので75歩と打たせることに成功です。

大内先生は1歩手に入れたので8筋の逆襲ですが

大山先生は67銀が浮いていることに目を付けてカウンターを放ちます。

角を取ってから と金を戻し

角桂と飛の交換です。77の と金は働きそうですし大山先生のほうが駒得です。

大山先生が角を使えば、大内先生は桂馬で金駒をはがし

香車で返し技。少し大山先生のほうが指しやすそうです。

55歩の中合が手筋で、馬の利きを通すために香で銀を取るのですが、と金で攻めたほうが良かったか。(58と38金左57香成、ただし38金左と逃げてもらえるか微妙)

2枚竜は厳しく、受けは角打ちしかないです。

成香を取って香打ち、先ほどの香成が響きました。

大山先生は中段玉で頑張れば、大内先生は と金を活用します。ここでは逆転しています。

と金を使われたら大山先生は金を打って中段で頑張ります。

1枚渡しますが、受けているだけではまずいので攻め味を付けて

竜を取ってまた銀を打ちます。大内先生は桂馬を余計にもらったので馬筋を変える犠打。ぎりぎりの利かしですが、大山先生はここで28馬から21銀はまだ早いとみました。

でも66馬から67馬で筋がずれたので、銀を打てば寄っているように見えます。

41香に55歩では攻め合いで負けそうなので桂を捨て

44金から清算するとさらに1枚損するのですが、上部を抑えました。

香を打てば同金に53竜で寄りと見たんですね。

でも と金のほうを取られてまだ寄せきれません。香を補充して打つのでは失敗した感じです。

2枚換えで持ち駒は豊富、でも後手玉が広いのでまだ詰めろになっていないようで

先手玉にも手が付きました。58飛には角打ちが攻防で、まだ大内先生が残っているようなのですが

後手玉が広いので捕まえにくいです。

自玉に手を入れて55角54金を使えるようにします。

でも竜を切られて角打ちは受けに利くのです。

大山先生は自玉を補強していきます。

55の金を使えば4枚の攻めになるのですが、77角の利きも通るので受けは利きます。

大内先生としては竜や金が当たっているので忙しく、ここでは息切れです。もう少しゆっくり寄せたかったのですが、すると攻められて自玉に駒を投入しなければならなくなります。

最後の望みは端を突きだして18香も攻め駒にすることですが

34の金を取られて

寄せがありませんでした。

これは名局に数えてもいいくらいの出来です。188手という長手数ですが明らかな疑問手も見当たらず、互いに秘術を尽くした攻防でした。大内先生の具体的な敗因というのもはっきりしません。
どちらから並べても面白いですが、大山先生の受けを堪能すべく、後手をもって並べることをお勧めします。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大内延介棋王
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 9六歩(97)
4 4四歩(43)
5 7五歩(76)
6 6二銀(71)
7 7八飛(28)
8 5四歩(53)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5二金(61)
15 2八玉(38)
16 1四歩(13)
17 1八香(19)
18 3三角(22)
19 1九玉(28)
20 2二玉(32)
21 2八銀(39)
22 3二銀(31)
23 3九金(49)
24 4三金(52)
25 5八金(69)
26 8四歩(83)
27 6六歩(67)
28 8五歩(84)
29 7六飛(78)
30 9四歩(93)
31 6七銀(68)
32 1五歩(14)
33 5六銀(67)
34 5三銀(62)
35 9七角(88)
36 2四歩(23)
37 7四歩(75)
38 同 歩(73)
39 同 飛(76)
40 7三歩打
41 7六飛(74)
42 5五歩(54)
43 6七銀(56)
44 4五歩(44)
45 7七桂(89)
46 6四銀(53)
47 4八金(58)
48 8四飛(82)
49 6五歩(66)
50 5三銀(64)
51 5六歩(57)
52 7四飛(84)
53 7五歩打
54 8四飛(74)
55 5五歩(56)
56 同 角(33)
57 8六歩(87)
58 同 歩(85)
59 8五歩打
60 8七歩成(86)
61 8四歩(85)
62 9七と(87)
63 7四歩(75)
64 8七と(97)
65 7三歩成(74)
66 7七と(87)
67 5六飛(76)
68 7三角(55)
69 8三歩成(84)
70 5一角(73)
71 5八銀(67)
72 6八と(77)
73 7一飛打
74 3三角(51)
75 8一飛成(71)
76 9九角成(33)
77 5五桂打
78 4二金(43)
79 6三桂成(55)
80 5四香打
81 5三成桂(63)
82 同 金(42)
83 5五歩打
84 同 香(54)
85 7六飛(56)
86 5八香成(55)
87 7二飛成(76)
88 5二歩打
89 6一龍(72)
90 2三角打
91 5八金(48)
92 同 と(68)
93 4二香打
94 同 金(41)
95 3一銀打
96 3三玉(22)
97 4二銀(31)
98 同 玉(33)
99 7三と(83)
100 3三玉(42)
101 6三と(73)
102 4三金(53)
103 5二と(63)
104 5四金打
105 5五歩打
106 同 馬(99)
107 2一龍(61)
108 3六桂打
109 同 歩(37)
110 2一銀(32)
111 同 龍(81)
112 3二銀打
113 6七桂打
114 6六馬(55)
115 5一龍(21)
116 6七馬(66)
117 5三銀打
118 4一香打
119 5五桂打
120 同 金(54)
121 4一と(52)
122 5四金(55)
123 4四金打
124 同 金(54)
125 同 銀成(53)
126 同 玉(33)
127 5五金打
128 3三玉(44)
129 4四香打
130 4一銀(32)
131 4三香成(44)
132 同 玉(33)
133 5四金(55)
134 3二玉(43)
135 9一龍(51)
136 2二玉(32)
137 4四香打
138 4九と(58)
139 4一龍(91)
140 同 角(23)
141 同 香成(44)
142 3九と(49)
143 同 銀(28)
144 5八飛打
145 5五角打
146 2三玉(22)
147 3三金打
148 1四玉(23)
149 3四金(33)
150 2三銀打
151 同 金(34)
152 同 玉(14)
153 5九歩打
154 同 飛成(58)
155 4八銀打
156 5六龍(59)
157 5七歩打
158 5五龍(56)
159 同 金(54)
160 7七角打
161 5三飛打
162 3三歩打
163 4二成香(41)
164 2二金打
165 4三成香(42)
166 4一香打
167 4四金(55)
168 4三香(41)
169 同 飛成(53)
170 3二銀打
171 3四金(44)
172 1二玉(23)
173 1四香打
174 1三桂打
175 3一銀打
176 2一金打
177 2二銀成(31)
178 同 玉(12)
179 1三香成(14)
180 同 玉(22)
181 1六歩(17)
182 3一桂打
183 4二龍(43)
184 3四歩(33)
185 4四桂打
186 2三玉(13)
187 1五歩(16)
188 3三銀打
189 投了
まで188手で後手の勝ち



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大山将棋研究(316); 中飛車に53金戦法

2016-10-23 | 大山将棋研究
昭和51年11月、森雞二先生と第26回NHK杯です。


森先生の中飛車に大山先生は53金戦法(金立ち戦法)です。

森先生は7筋を金で守ります。

金立ち戦法は7筋を抑えたら1手で74金とできるのが長所です。銀なら立て直しに2手かかります。

欠点は金銀の連携が悪いことで、森先生は角を37に転回してけん制します。

小競り合いの始まり。

この銀が問題でした。角を移動させようとする手なのですが、さらに金銀の連携が悪くなります。44歩~43銀~42金としておくのが無難です。

森先生の飛車先が通りましたが、大山先生は構わず動きます。

ハッとする手。取れませんが、飛車先連打があります。

これで両取り。

森先生は飛車を捨てて桂を取るだけでは普通はまずいものなんですが

大山先生は飛車と離れている金銀をいじめられます。

角を交換してもらえましたが また打たれて

飛角交換で両取りは角を打ってしのぎます。でも65桂から

駒を取りに来られます。

成桂は51の金と交換になり、結局は角金交換、さらに92の香も取られてしまいます。駒損になるので大山先生は反撃手段を探さねばなりません。

41の角を使って

つなぎ桂。3筋に歩が利くので受けにくいです。

美濃囲いから玉を追いだし

銀を取る。ここで先手玉は49馬~38馬で詰めろなので3手すき。後手玉は52と~42と同角51銀で詰めろなので3手すき。手番は先手なので先手有利です。
大山先生に攻防の手があるとよいのですが。

そのまま進んで

銀を取るくらいでも詰めろになっていそうです。先手玉は上に抑えがないので詰まないです。

ということでそのまま終了。

逆転の筋はなかったですか?怪しいのは104手目64角46香を入れなければ、あるいはどこかで82歩と打って紛れがあるか。逆転まではない気がしますが。
大山先生が銀で35の歩を交換というのはよくないのですが、そこで強攻できた森先生の勘がすごかったのだと思います。有利になりそうな時に一見だめな筋を掘り下げるのは心理的に難しいものです。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:森雞二
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 5四歩(53)
5 6八銀(79)
6 6二銀(71)
7 6七銀(68)
8 8四歩(83)
9 5八飛(28)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5二金(61)
15 2八玉(38)
16 7四歩(73)
17 3八銀(39)
18 1四歩(13)
19 1六歩(17)
20 4二銀(31)
21 5六歩(57)
22 5三金(52)
23 7八金(69)
24 8五歩(84)
25 7七角(88)
26 6四金(53)
27 5九角(77)
28 7五歩(74)
29 7七金(78)
30 7六歩(75)
31 同 金(77)
32 7五歩打
33 7七金(76)
34 7四金(64)
35 3六歩(37)
36 6四歩(63)
37 3七角(59)
38 5三銀(62)
39 9八香(99)
40 6二飛(82)
41 7八飛(58)
42 9二香(91)
43 7六歩打
44 7二飛(62)
45 7五歩(76)
46 同 金(74)
47 7六歩打
48 7四金(75)
49 5八銀(67)
50 4四銀(53)
51 7五歩(76)
52 7三金(74)
53 6七金(77)
54 3五歩(34)
55 同 歩(36)
56 同 銀(44)
57 7四歩(75)
58 同 金(73)
59 6四角(37)
60 7七歩打
61 同 飛(78)
62 7六歩打
63 同 飛(77)
64 7五歩打
65 9一角成(64)
66 7六歩(75)
67 8一馬(91)
68 6二飛(72)
69 7一馬(81)
70 4四角(22)
71 3七歩打
72 5二飛(62)
73 4四馬(71)
74 同 銀(35)
75 6三角打
76 7五金(74)
77 5二角成(63)
78 同 金(41)
79 7二飛打
80 7四角打
81 6五桂打
82 8六歩(85)
83 同 歩(87)
84 5一金(52)
85 7三桂成(65)
86 4一角(74)
87 6二成桂(73)
88 同 金(51)
89 同 飛成(72)
90 5三角打
91 9二龍(62)
92 8六金(75)
93 7三歩打
94 8五角(41)
95 7二歩成(73)
96 7七歩成(76)
97 同 桂(89)
98 同 金(86)
99 同 金(67)
100 2四桂打
101 6二と(72)
102 3六桂打
103 同 歩(37)
104 6四角(53)
105 4六香打
106 3六桂(24)
107 1八玉(28)
108 5八角成(85)
109 5二と(62)
110 4九馬(58)
111 4二と(52)
112 同 角(64)
113 4四香(46)
114 2八金打
115 1七玉(18)
116 4四歩(43)
117 4一銀打
118 3三玉(32)
119 4二龍(92)
120 同 玉(33)
121 5一角打
122 5三玉(42)
123 6五桂打
124 投了
まで123手で先手の勝ち

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20161023今日の一手<その406>; と金の遅早

2016-10-23 | 今日の一手

20161023今日の一手

10月1日の名南将棋大会から、MさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
角と銀桂歩3の交換、成銀もありますし後手は歩切れ、先手の駒得です。
玉の堅さは同程度。48飛も守りの駒と思えば先手玉のほうが少し堅いか。
先手の攻め駒は持ち駒桂1枚。64成銀や65銀はまだ敵陣に届いているとは言えません。
後手の攻め駒は86飛55角69角で3枚。

総合すればやや先手よしです。

☆ 大局観として

劣っているのは攻撃力だけですが、後手は88角成~99馬~89飛成、と駒損を回復する手段があるのでゆっくりしてもいられません。88角成を防いでゆっくりできればよいのですが。
ゆっくりしていられなければ攻め駒を増やして寄せ合いを考えねばなりません。成銀と銀を使うとして攻め駒3枚、もう一枚は53歩成で と金にすることです。


× 77桂打ちは66角

68飛が両取りですが47角成同銀57角成があります。飛車を取られると88飛成から駒を取られますから77桂打ちは無駄なだけです。
(68飛でよいなら66歩同角68飛というのもあるのですが)


△ 実戦は53歩成でした。

53同歩に54歩と合わせて、54同歩同成銀66角57歩33金寄

みんなかわされてしまって苦戦です。56金88角成45歩99馬44歩47歩同銀89飛成

飛車を攻めに使おうとしたのですが、47歩1本で止められては攻め合い負けです。

先手の工夫は54成銀と寄るところで53歩

これなら形勢不明でした。


○ 先ほどの53歩より遅く見えるのですが、63歩は後手に歩を渡さないので有力です。

88角成62歩成99馬52と89飛成42と同金寄35桂

こうなると後で53歩成があるので攻め駒の枚数が増えます。後手の攻めは速くない(48飛が受けに働いている)ので先手優勢です。

後手は別の攻めを考えたいのですが、45歩は56金

なのであまり効果なし。

また、66角は

飛車を取れますがやはり と金攻めのほうが速いです。

62歩成を受ける手、51銀は

53歩成同歩52歩42銀62歩成

とすればあまり速度は変わりません。

53歩成に同金

として、目標になる金を消せば速度が鈍るのですが、53同成銀同歩79金

として88角成を防ぎつつ角を手に入れれば86の飛車を攻められそうです。

戻って82飛と受けると

56金88角成62歩成(ここで同飛と取ると88飛)99馬52と同飛55桂

33金寄に63桂成から53歩成、ゆっくりした攻めですが続きます。


× 63成銀とすれば(63歩~62歩成よりも)1手速いようですが

88角成52成銀99馬35桂

89飛成43桂成同銀53歩成52銀同と

後手の66馬からの攻めのほうが速そうです。成銀では逃げてもらえなくて速度負けになりそうです。


× 他には59金と寄れば角が取れますが

47角成同飛88飛成


あるいは47角成に同銀57金

どちらも後手よしです。


△ 56金と出て

88角成45歩99馬44歩同金

ここで何かあればよいのですが。88歩に45歩か47歩かというところ、形勢は難しいですが後手のほうがわかりやすいです。


△ 37金として

59金を狙えば、88角成45歩99馬44歩同金

これも前の変化と同じようなものです。この局面は難しくても決め手がないと後手が良くなっていきます。


△ 35桂は33金寄となって

利かしではあるのですが得になるかどうか。何とも言えないところです。

☆ まとめ
駒得でも相手にだけ取り返す手段があるときは焦ります。
問題図ではそれを防げないので攻める手段を探すしかありませんでした。

大駒を中心に攻めを組み立てるのが普通なのですが、飛車を4筋で縦に活用するのは、後で47歩で止められそうです。また、64成銀と65銀が働きません。
68飛とまわろうとしても47角成があります。

飛車は守りに働いているので、小駒で攻めることになります。実戦のように64成銀65銀を金銀とぶつけても大きな戦果はありません。
持ち駒の桂で金銀をはがせるのならよいのですが逃げられます。
ということで、唯一の選択肢は と金を作って攻めることでした。
このとき63歩と63成銀を比較してみてほしいのですが、1手早く成銀で迫っても逃げてもらえないと金銀の交換だけです。53歩成が有効になればよいのですが、少し足りません。
63歩は52と までが1手遅くてもそこで逃げてもらえるなら追い付きます。逃げなければ銀をとれるわけで、攻めやすいですし、受けにも使えるかもしれません。
と金の遅早マムシの と金などという言葉がありましたが、それで間に合うのなら(思っているより間に合うことが多い)駒を渡さないので一番逆転しにくいのです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大山将棋研究(315); 四間飛車に玉頭位取り

2016-10-22 | 大山将棋研究
昭和51年11月、有吉道夫先生と第3回名将戦、決勝は3番勝負で第1局です。


大山先生の四間飛車に有吉先生は玉頭位取りです。これが有吉先生が対振り飛車で一番得意にしていた戦法で、一番の使い手でした。

大山先生は腰掛銀で4筋の歩交換を阻止。でもこれは居飛車が有利になりやすいのです。

有吉先生は早めに7筋から動きます。

大山先生は定番の袖飛車。その前に65歩として飛車の横利きを止めておくのが工夫でした。

有吉先生は単純に位を取り返されてはいけないのでカウンターで動けば、大山先生も返します。

位は消えたものの、互いにまあまあの展開です。35銀と出ても33歩なので一回収まるところでしょう。

47の金を左に使うというのが思いもよらない手です。危なさそうなのですが。

さらに寄って、飛車をいじめようということでした。この後しばらくするとなぜか金も右に寄せて、というのが大山流なんですが

中央を厚くしようとしたらちょっとうっかりでしょう。47に銀を引くのでは54銀右から65桂とか狙われてしまいます。先に55歩と抑えるべきか、でもそのあとが難しすぎますね。

金を出て大丈夫と思っていたのかもしれません。でも銀を取られ

桂をさばかれました。

有吉先生は57歩成ではなく重く銀を打つ。このほうが切れないみたいです。

と金が大きく、攻めは続きます。後手陣が堅すぎるので有吉先生勝勢です。

決勝戦なのでもう少し指してみましたがどうにもならず投了です。


大山先生の袖飛車は難しすぎて誰も真似をしません。その思想は穴熊の時の袖飛車に生かされているのですが、美濃囲いの時はどう指せばいいのかわからないのです。
後手をもって、玉頭位取りは良い戦法だなあ、と思うことにしましょう。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:有吉道夫8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 1四歩(13)
13 1六歩(17)
14 5四歩(53)
15 2八玉(38)
16 5三銀(62)
17 6七銀(78)
18 4二銀(31)
19 3八銀(39)
20 3五歩(34)
21 4六歩(47)
22 3三銀(42)
23 5八金(69)
24 5二金(61)
25 2六歩(27)
26 3四銀(33)
27 2七銀(38)
28 4四歩(43)
29 5六銀(67)
30 8五歩(84)
31 7七角(88)
32 7四歩(73)
33 4七金(58)
34 7五歩(74)
35 同 歩(76)
36 7二飛(82)
37 6五歩(66)
38 7五飛(72)
39 3六歩(37)
40 同 歩(35)
41 3八飛(68)
42 8六歩(85)
43 同 歩(87)
44 5五歩(54)
45 7六歩打
46 同 飛(75)
47 6七銀(56)
48 7四飛(76)
49 3六銀(27)
50 4三銀(34)
51 7六歩打
52 3四歩打
53 5六歩(57)
54 同 歩(55)
55 同 金(47)
56 7三桂(81)
57 6六金(56)
58 8四飛(74)
59 5六銀(67)
60 4二金(41)
61 5八飛(38)
62 5五歩打
63 7五金(66)
64 5六歩(55)
65 8四金(75)
66 6五桂(73)
67 6六角(77)
68 5七銀打
69 同 角(66)
70 同 歩成(56)
71 3八飛(58)
72 5六角打
73 3七飛(38)
74 8九角成(56)
75 8一飛打
76 5六と(57)
77 3九飛(37)
78 4六と(56)
79 2七銀(36)
80 4五馬(89)
81 3六歩打
82 5七桂成(65)
83 2五歩(26)
84 5一歩打
85 2六銀打
86 4七と(46)
87 1七玉(28)
88 4六馬(45)
89 3五歩(36)
90 4五歩(44)
91 投了
まで90手で後手の勝ち

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大山将棋研究(314); 三間飛車に中央位取り

2016-10-21 | 大山将棋研究
昭和51年11月、有吉道夫先生と第26期王将戦です。


大山先生の後手三間飛車、有吉先生は急戦のようですが、本当かな?

大山先生は手堅く向い飛車に。54歩と突いていないので少し攻めにくい意味はありますが、今ではというか昭和の終わりごろには定跡化されています。37桂と跳ねて、45歩同歩55歩~45桂~37銀~46銀という攻め方です。

変化されて有吉先生はつい位取りに。こっちのほうが棋風なのです。

ただ、これは左右どっちつかずの感じです。持久戦なら46歩36歩は突いていないほうが良いし、攻めるなら67金の形が反撃に対応していない。

で、悩みつつ48飛~38飛と手待ちのような指し方です。それを見て大山先生のほうから攻めかかります。

35歩を無視して香を走ります。普通は18歩で何でもないのですが、すると35歩で同飛としにくいという寸法です。

17に歩を謝ったら強攻です。

有吉先生は端を受けられないので反撃。

飛車を切って両取り

先が長いので端折りますが、有吉先生が先に桂香を取っているけど早い攻めもないのでだんだん追いつかれるという展開です。

大山先生がと金作りを目指せば

有吉先生は馬の利きで と金の活用を阻止します。ほぼ互角。

問題はここで桂を使ったこと。馬の利きが消えたので

87香成から金香交換に。でもすぐに寄る形でもありません。

先手陣も飛車には強いです。

ここが勝負の分かれ目、端攻めです。87玉の形なのに反動が怖くないかと思うところなんですが。

端はすぐには破れません。

かなり投入して金香交換ではつまらなかったです。97の桂馬がなければよいのですが。

大山先生の飛車が手に乗って働きだし

84歩の交換には香を打ち、田楽刺しですが

角は取らないほうが手堅いようです。大山先生が有利を拡大しています。

あとは2枚の竜を使いつつ攻めます。

金を交換し竜を潜る、もとは58にいた香を取ろうということでした。

馬を引かれれば馬を攻めます。

これでさらに駒得。後手陣がしっかりしているので、ゆっくり駒得しながら攻めればよいだけです。

投了図。

こういうじりじりした将棋、私は苦手なので有吉先生のように攻めてしまい よく墓穴を掘ってしまいます。ゆっくりでもいいから、右から と金で攻めるような形にしなければ勝てないのでしょう。端攻めが失敗して終わりました。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:有吉道夫8段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二飛(82)
7 2五歩(26)
8 3三角(22)
9 6八玉(59)
10 4二銀(31)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 3六歩(37)
14 7二玉(62)
15 5八金(49)
16 8二玉(72)
17 5六歩(57)
18 7二銀(71)
19 4六歩(47)
20 2二飛(32)
21 5五歩(56)
22 4三銀(42)
23 5七銀(48)
24 5二金(41)
25 5六銀(57)
26 6四歩(63)
27 9六歩(97)
28 9四歩(93)
29 6八銀(79)
30 7四歩(73)
31 6六歩(67)
32 6三金(52)
33 6五歩(66)
34 同 歩(64)
35 同 銀(56)
36 6四歩打
37 5六銀(65)
38 1四歩(13)
39 1六歩(17)
40 5二飛(22)
41 6七金(58)
42 5四歩(53)
43 同 歩(55)
44 同 銀(43)
45 5五歩打
46 4三銀(54)
47 4八飛(28)
48 1三香(11)
49 3八飛(48)
50 1五歩(14)
51 同 歩(16)
52 1二飛(52)
53 3五歩(36)
54 1五香(13)
55 3四歩(35)
56 5一角(33)
57 1七歩打
58 同 香成(15)
59 同 香(19)
60 1六歩打
61 3三歩成(34)
62 同 角(51)
63 1三歩打
64 同 飛(12)
65 3三飛成(38)
66 同 桂(21)
67 2二角打
68 1二飛(13)
69 3三角成(22)
70 5二銀(43)
71 4五歩(46)
72 3九飛打
73 2三馬(33)
74 1一飛(12)
75 4四歩(45)
76 1七歩成(16)
77 5四歩(55)
78 2一飛(11)
79 1四馬(23)
80 8四香打
81 7九金(69)
82 5五歩打
83 同 角(88)
84 5八歩打
85 1七桂(29)
86 5九歩成(58)
87 2四歩(25)
88 5七歩打
89 同 金(67)
90 5四金(63)
91 7七角(55)
92 5五歩打
93 6七銀(56)
94 4四金(54)
95 2五桂(17)
96 6九と(59)
97 同 金(79)
98 8七香成(84)
99 同 玉(78)
100 6九飛成(39)
101 7九香打
102 1九龍(69)
103 1五歩打
104 1一飛(21)
105 1三桂成(25)
106 6三銀(52)
107 5九歩打
108 3一飛(11)
109 3二歩打
110 5一飛(31)
111 9五歩(96)
112 同 歩(94)
113 9二歩打
114 同 香(91)
115 9三歩打
116 同 香(92)
117 9四歩打
118 同 香(93)
119 8六桂打
120 9三金打
121 9四桂(86)
122 同 金(93)
123 9五香(99)
124 8四金(94)
125 8五歩打
126 同 金(84)
127 9九香打
128 9三歩打
129 9七桂(89)
130 8四金(85)
131 8五歩打
132 9五金(84)
133 同 角(77)
134 5三飛(51)
135 6六金(57)
136 2八龍(19)
137 5八香打
138 3三飛(53)
139 8四歩(85)
140 同 歩(83)
141 同 角(95)
142 8三香打
143 8五歩打
144 3七飛成(33)
145 9五角(84)
146 9四歩(93)
147 7七角(95)
148 2六龍(28)
149 8六金打
150 6五歩(64)
151 同 金(66)
152 7三桂(81)
153 5五金(65)
154 6六歩打
155 7八銀(67)
156 5五金(44)
157 同 香(58)
158 5六龍(26)
159 5八馬(14)
160 5五龍(56)
161 4七歩打
162 5六香打
163 6九馬(58)
164 5八歩打
165 同 歩(59)
166 同 香成(56)
167 5六歩打
168 同 龍(55)
169 5七歩打
170 6九成香(58)
171 5六歩(57)
172 6八成香(69)
173 6六角(77)
174 4七龍(37)
175 投了
まで174手で後手の勝ち

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20161021今日の一手<その405>; 攻められた角を交換する

2016-10-21 | 今日の一手

20161021今日の一手

10月1日の名南将棋大会から、YさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。先手玉のほうが金銀3枚ですが連携が悪いので。
先手の攻め駒はありません。
後手の攻め駒は22角1枚。

総合すれば互角かやや後手が指しやすいか。

☆ 大局観として

まだ駒組み途中とみれば何ということはないのですが、後手玉のほうが(41金は中途半端ですが)先に囲えたので、後手は攻めを考えることができます。先手は55歩を見せられて46銀から58飛と受けたのでしょう、でも自分から仕掛けがないので作戦負け気味です。後手は34歩を保留したのがうまくいったようです。
後手から55歩は備えたところなので何とかなりそうですが、75歩から玉頭を攻められるのが嫌味です。その対応を考えて駒組みしなければなりません。


× 実戦は45銀だったのですが

これで歩を取れるのです。でも75歩同歩72飛

で一目つぶれそう。54銀52金55歩同角65歩

と角を交換するのはよい判断ではあるのですが、77角成同金75銀73歩同飛55角

玉頭が薄いので反撃も今一つ。74飛11角成に66角が強打。

66同馬同銀76歩57歩68飛56角

54の銀も取られそうですし、先手玉が危険です。これは後手の圧勝です。

先手としては途中で65銀と使ってどうか。

65同銀同歩77角成同桂

これは後手が歩切れなので難しい形勢。

でも65銀に75銀とかわして

76歩64歩75歩65歩同歩77角成同桂

これは63の歩が手持ちになった勘定で、後手から76歩同金49角か、49角28飛76歩か、どちらにしても1歩持っているので後手有利です。


○ 88銀が手堅い手で

72飛86歩75歩87銀

と受けることはできるか、といえばこの場合は76歩同銀同飛同金75歩

と強攻されて困ります。後手が穴熊で無ければ(雁木の袖飛車で見る変化)こういうのもあるのですが。(76歩同銀75銀87銀76歩88角~68金~77歩同歩成同金右)

75歩に同歩と取れば

75銀87銀66銀

というように玉頭を守ろうとしても1手遅れています。

72飛には65歩

と目標にされそうな角をさばくほうが良いでしょう。銀を逃げれば55歩があるので、65同銀22角成同飛77桂64歩

は互いに難しいところ。先手は68飛から65桂を狙う形でしょうか。

88銀に75歩を先にされたらやはり65歩

77角成同銀76歩同銀

ならば十分です。

といって65歩に同銀でも75歩

76歩88銀22角48角

おとなしく調子を合わせて66歩を狙います。


× 68銀でも同じようなことになりそうですが

44歩から

駒組みの時に玉を固く囲えないのが不満です。88銀なら銀冠や銀冠穴熊に組めました。75歩同歩72飛が気になりますが、86歩から87玉というのも悪い形です。


△ すぐに65歩とするのは

65同銀22角成同飛77桂64歩

は前の変化と比べて88銀の1手を損しているので少し損か。

65歩に53銀として

後に64歩同歩同銀

とされるのは後手の得なのでしょう。

また、53銀に角交換をしてこういう形になっても

後手の得です。


× 88玉は危なさそうで

75歩同歩72飛の筋は怖いです。穴熊に組もうとしても

76銀同金同飛78金72飛

というのは後手のほうが指しやすいでしょう。

ということで、88玉75歩に65歩でどうか。

65同銀75歩44歩には98玉76歩88角

でなんとか間に合います。

戻って65歩に77角成同桂76歩とされて

76同金は67角が嫌で、64歩77歩成同金64歩

という形は76歩とたたかれる傷があるので不安です。


× あとは59角とかわしておく手ですが

75歩同歩同銀

48角72飛77歩64歩

となると65歩同歩66歩の筋があり、先手が指しにくそうです。



問題図は34歩が後回しになりましたが、振り飛車の角筋が通っていて、居飛車が66歩と止めて玉を囲おうとするのは作戦負けになりやすいのです。相手からの攻めを気にしながら囲わなくてはなりません。角筋を止めたほうが守勢になるというのが普通で、対抗型の居飛車ならそれを避けたいと思うのです。

実戦では先に攻めようというよりは1歩得してしまおうと45銀と出たのですが、一目危険な手です。玉頭を狙われて悪くなりました。

玉頭を守るなら駒を足すのが普通で、88銀~86歩~87銀ですが、この場合は間に合いません。

後手が75歩同歩72飛となるとすでに受けにくく、75歩の時に65歩とやっていくしかなさそうです。1手余裕があるのですが、88銀が一番手堅いです。
68銀では相手が攻めてこなければ駒組みに困り
88玉は攻められた時に不安です。
すぐに65歩は1手損している(後手は72飛を省略できた)こともあり、問題図では早い感じです。

75歩とする前に72飛のほうが受けるほうは嫌で、やはり65歩しかないのですが65同銀で桂歩と銀の二枚換えになりそう、それは66桂があるので58飛78玉の形がよくないのですが、まあ仕方ないです。

角頭を狙われたら角をさばいてしまう、振り飛車みたいな話でした。相手がなにか動いて来たら角を交換するというのがタイミングです。もちろんその下には玉がいるので、より慎重に考えないと失敗が怖いです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大山将棋研究(313); 石田流穴熊に位取り

2016-10-20 | 大山将棋研究
昭和51年11月、伊藤果(はたす)先生と第9回早指し選手権です。


伊藤先生はプロ2年目で、大山先生と当たるところまで来たのですから勢いはあります。風車で有名な先生ですが、若いころから振り飛車党だったみたいですね。

石田流穴熊に位取りとなりそうで、この頃かなり流行していたのでしょう。

大山先生は玉頭位取りの形から銀冠、角筋も通って左側は十分な形です。伊藤先生も銀2枚を並べた穴熊で、上部にもある程度強くなっています。大山先生はいつものように36歩を受けないので、伊藤先生から動きました。

でも飛車を回られると思ったよりも手がなかったようです。

銀をへこませたのは良いですが、手がありません。

端から手を作りに行きましたが

すぐに取り返せないのでは失敗、香を打たれました。

角を追ってどうにか飛車を逃げ

香を取りました。これで飛角のさばき合いです。

この角成りも大きそうですが

大山先生は拠点を作って桂を跳ね

銀をかわすのがぴったりの手順です。

大山先生は桂馬が成れて金をはがし

攻めが切れません。

伊藤先生の反撃も厳しさがありません。

大山先生は急がなくてもよいので歩を使ってゆっくり攻めればよく

早いですが投了図。

若武者の勇み足という将棋でしたが、組み上がりで作戦勝ちなんですね。無理に動かせて手に乗って有利、自玉にも手を入れつつ、焦らず寄せる、という理想的な将棋です。
何局も並べていると、石田流の飛車先交換は受けなくてもいいのだという気になります。本局の陣形は玉が堅いのでまねしやすいです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする