JR・高山駅から濃飛バスで1時間と10分ほどのところ。奥飛騨温泉郷のひとつに数えられる福地温泉は、標高が1000メートルに達する高地にある11軒の旅館・民宿からなる静かな温泉地です。
ここは平安時代には村上天皇が湯治に訪れていたという入湯伝説が残るものの、温泉街自体は昭和に入ってから形成された比較的新しい温泉街。山間の秘湯ながら、高山駅から1時間に1本毎に平湯・新穂高を結ぶ路線バスが通っているので、アクセスは良好です。
しかし福地温泉口のバス停で降車すると辺りには何もなく、山の中置き去りにされた気分で不安になります。アイスバーン状の道をツルツル滑りながらようやく福地温泉を代表する老舗旅館「孫九郎」にたどり着きました。
適度な広さを持つ客室の窓からは白銀の世界が広がっています。取るものも取りあえず、冷えた体を温めるために温泉へ向かいます。
露天湯は青緑の濁り湯で、少し硫黄臭。柔らかいお湯が広い露天に掛け流されています。この露天、東屋や水車小屋が配されるなど雰囲気造りにも気を配られています。
蹲には飲用の温泉が流れていて、マイルドで飲みやすい源泉を味わうこともできます。
露天の家族湯は、ここもやや白濁の濁り湯です。静かにじっくり浸かりたければこちらかな。
露天とは逆に、内湯はパワフルな感があります。色は透明だが、褐色の湯の花のせいでか、茶色く見える。感触はサラッとしているが、浸かっているうちにガンガン沁みこんでくるような気がします。
ここのお湯も飲むことができるが、露天と異なって少し塩気と金気を感じさせる濃厚な風味です。
内湯の家族湯は、雰囲気的にはイケてないが、実はここが最も泉質が優れているんではないかな。家庭用の人工大理石の浴槽ながら、表面に析出物がこびり付いていてザラザラ。浴槽が大きくない分、換水率がいいので、常に新鮮な状態が保たれています。
ここの温泉は湧出温度が高いので、この旅館では内湯も露天も加水せず熱交換で適温にしています。そして、熱交換された廃熱は給湯や暖房に生かされるとのこと。エコですね。
食事は温泉で温められて暖かい大広間でいただきます。ヤマメや飛騨牛が味わえます。
ほかほかの温泉に浸かりながら雪景色を楽しむ…夜は夜で、明かりが雪に反射して幻想的な情景を創りだします。
この滅多にできない経験を慈しんでいたら、意識が遠くなるほどのぼせてきました。
・場所:濃飛バス・福地温泉口BS
・泉質:単純温泉 67度36度混合(露天)、ナトリウム炭酸水素塩泉 81度(内湯)
・訪問日:2011年1月28日
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