近鉄大阪上本町駅の南側、近鉄劇場跡地に建設されていた複合ビルが開業し、このほど初めての土曜、日曜を迎えてかなりにぎわっています。
このビルは近鉄の創業百周年記念事業のひとつとして、近鉄創業の地である上本町をエンターテインメントの発信拠点に再構築すべく、難波から大阪新歌舞伎座を移転させて建物の6階から8階までを劇場にするとともに、地下1階から5階までをショッピングゾーンとして、7階から13階をオフィスフロアーとして構成されています。このたび、オープン前の内見会に参加する機会があったので、早速レポートしますね。なお、ショッピングゾーンについてはいろいろ情報もあるでしょうから、主に劇場についての所感です。
キャパ1500の客席は三層のバルコニー状になっていて、横に広く、舞台からの距離が近いようになっています。これだと、特に歌謡ショーなんかの場合、演者が舞台を上手へ、下手へと動きまわる演出が効果的ですね。
見学時には緞帳が閉められていたので舞台を直に見ることができなかったが、プロセニアム形式の舞台は、廻り舞台と花道を備えた日本の伝統的な舞台様式。間口が11間(20m)、高さが4間半(8.2m)と、かなり横長な印象です。特に、難波の旧・新歌舞伎座?には無かった直径8間(14.5m)の廻り舞台ができたことによって、演出の幅が広がることになるでしょう。もちろん廻り舞台内にも3基の迫りが設置されているとともに、花道に「すっぽん」もあるようです。
花道は着脱可能であるに加え、下段の客席自体も可動式のようです。これならミュージカルのような洋物にも対応できそうだが、オーケストラピットは無さげですね。また、立端が低いのと、三層目からは見下ろす形になるので、照明演出にこだわる現代演劇にはどうかな?吊物機構は最新の舞台設備を導入しているとのことだが、詳細はまだ入ってきません。ただ、全公演に占める歌舞伎の割合はそれほど多くならないでしょうが、はたして最新の機構が役に立つのかどうか…吊物なんかは案外手動の方が使いやすかったりするので…
新歌舞伎座部分の外壁には、新歌舞伎座のシンボルでもある唐破風をデザイン的に取り入れるとともに、なんということでしょう…その壁には櫓が埋め込まれ、芝居小屋の面影を漂わせています。
この上本町YUFURAと大阪新歌舞伎座の開業によって、上本町に新しい人の流れができてくれれば…と願っています。
- 柿葺落興行:松竹花形歌舞伎 市川猿之助 総監修 二十一世紀歌舞伎組公演
- 期間:2010年9月3日(金)~22日(水)
- 出演:市川右近、市川笑也、市川猿弥、市川笑三郎、市川春猿、市川段治郎、市
川弘太郎
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