天保山には海遊館やマーケット・プレースなどの多くのカップルや家族連れで賑わう人気集客施設がある一角に、少し落ち着いた空間、サントリーミュージアムがあります。
この建物は、美術館スペースと巨大スクリーンのアイマックスシアターから構成されており、建築は安藤忠雄、建物自体がアートですね。
このギャラリーで現在開催されているのが「青春のロシア・アヴァンギャルド展」です。一部の作品に贋作疑惑が発生し、あのカンディンスキーやシャガールの作品が出展取りやめになった話題のイベントです。
それでも、開催ポスターになったマレーヴィチ作の「農婦」に魅せられ、この作品だけでも価値があると思ってきてしまいました。抽象絵画なのに土と対峙する農婦の安定感が見て取れる。
20世紀初頭のロシアは、パリと並ぶ、あるいはそれ以上の先進の気風があったんですね。フォーヴィスムやキュビズムに影響を受けた抽象絵画が一気に開花し、この美術展の白眉、マレーヴィチや、今回見ることができなかったカンディンスキーが輩出される…
一方、そんな気風に逆行するかように、アンリ・ルソーの素朴な作風に通じるピロスマニが見出されたりするんです。
「青春の…」っていうタイトルがいいな。帝政の旧時代と決別して、新しい世紀に美術界に新しい潮流を産み出そうとする意気込みが伝わってくる。
未来への希望が昇華した作品群、今となっては冷酷な結末に終わったロシア~ソ連に至るあの時代だけに、実に感慨が深いな。
- 開催期間:2008年9月25日~11月3日
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