花にまつわる幾つもの話

子供時代の花にまつわる思い出や、他さまざまな興味のあることについて書いていきたいと思ってます。

天然石標本~紅水晶~

2010年07月13日 | 天然石標本
一週間ぶりの更新です。
先週は公私共に忙しく、すっかり更新が滞ってしまいました。


今回、ご紹介する天然石は、パワーストーン業界ではすっかりお馴染みの
『ローズ・クォーツ』――紅水晶です。


ちなみにこのローズ・クォーツ
塊り(=マッシブ)で産出するものを紅石英と言い
市販で出回っているものは
この紅石英をタンブル(樽磨き=樽の中に石を入れて回転させることで研磨する方法)
にしたものか、アクセサリー用に球形に加工したものが大半かと思います。


画像のようなクラスタータイプ
いわゆる水晶としての結晶形を示すもので
さらに透明度の高いものは
塊り状のものに対して
値段がおよそ10倍ほどになります。
私がミネラルマーケットで入手した頃は
まだ紅水晶自体とても珍しく
2~3センチ程度でかなり良いお値段でした。
現在ではだいぶ手に入りやすくなったのでしょうか。
ピンク色となる原因はアルミニウムの他に
酸化チタンの微細な結晶を含むためとか。


『ROSE QUARTZ』
 Colonel Murta Minas Gerais,Brazil産




ローズ・クォーツの別名は『薔薇(水晶)石英』と言います。
けれど実際の石から受ける印象は――桜
それも淡く繊細な染井吉野のイメージでしょうか。
あるいはピンクのこんぺいとう、といったところ。




光による退色性があるため
くれぐれも日光の下での置き忘れには注意して下さい。



最後に、画像はまたもや携帯での撮影です。
デジカメにも挑戦したのですが
残念ながらまだ研究の余地があるようです(苦笑)


次回はオーストラリア産の新種の天然石をご紹介したいと思います。
先週お休みしましたので、次の更新は今週木曜日を予定しております。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第二十九章 エンジェルトランペット~ダチュラ~

2010年07月01日 | 花エッセイ
 この植物と初めて出逢ったのは、当時、お気に入りでよく通っていた、

夫婦がひっそりと営む手作りパン屋へと向かう道の途中だった。

高台にアパートがあったせいで、家の周囲はとかく坂が多く、

その日も夏の真っ盛り、汗をかきながら歩いていたコンクリートの道端に、

巨大な白い朝顔がにょっきりと顔をのぞかせていた。

 その花が、朝鮮朝顔、別名ダチュラ(ダツラ)と呼ばれるものだと知ったのは、

数年後、年上の友人が貸してくれた一冊のミステリー小説を介してだった。

 なんでも葉や種に強いアルカロイド物質を含み、昔は麻酔薬として使われていたという。

 友人が貸してくれたミステリーには、まさにその効用が

物語の重要なファクターとして描かれていた。

 このダチュラだが、朝顔に似た形といい、純白の色合いといい、

実に私好みの花なのだが、名前だけがどうしても残念に思えてならなかった。

その後再び、新しく引っ越したマンション近くの花屋で、

同じような真っ白い花が吊り下がって咲いている鉢植えに遭遇することになった。

しかも店の人が教えてくれた名前は、エンジェルトランペット。

ダチュラはダチュラでも木立朝鮮朝顔という種類らしい。

 白く吊り下がった巨大な朝顔の花は、なるほど天使が吹くラッパを彷彿とさせた。

 名前が可愛らしいばかりでなく、花の香りも南国を思わせるがごとく甘い。

憧れを込めて購入した鉢は、日当たりの悪いバルコニー事情に、

ひと夏限りで枯れてしまった。

今でも家の軒先にこの花を見かけると少しだけ胸が痛む。

 私には将来、もし一戸建てに住むようなことがあったら、

絶対に植えようと心秘かに誓った植物が幾つかある。

 春のミモザ、匂い菫(すみれ)、鈴蘭(すずらん)、

夏には、目にも鮮やかなピンクの百日紅(さるすべり)、凌霄蔓(のうぜんかずら)、夜香木、

秋の金木犀(きんもくせい)と銀木星(ぎんもくせい)、

さらには彼岸花(ひがんばな)の紅と白、

冬には、白梅が凍てつく星空の下にたたずむ。

 そして叶うことなら、天上の青と呼ばれる真夏の快晴の空のような朝顔と、

オレンジ色の実をつける杏の樹、それに庭の片隅にそっと

オオイヌフグリの群生が咲きそろえば、もはやいうことはない。

 その夏の庭にぜひとも、天使の翼に似た純白のエンジェルトランペットも

加えたいと願っている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする