「あきない世傳金と銀9」高田郁作を読みました。お話は大晦日から始まります。ちょうど私も年末から読み始めたのでタイミングがピッタリ!今回は妹「結」が反乱を起こします。主人公「幸」はもうすぐ新しい小紋染めが出来ると店の者たちと楽しみにしていた矢先でした。麻疹が流行った時よりも何よりも一番の苦難でした。それでも店の者たち、型彫師、型染師と一丸となって知恵を絞りだし、木綿の型染めがやっと仕上がるというところで終わりです。早く10巻を読みたいのですが、出版されてまだ日が浅いのか図書館の本は予約者が多くてしばらくは順番が回ってきません。今のところ12巻まで続いているようです。この本では「食い力」というのを学びました。辛い時こそ、しっかり食べてしっかり寝る、そして体力をつけて苦難に立ち向かう。それと「菜根譚(さいこんたん)」です。菜根とは大根や牛蒡、蓮根など根のもののこと。この言葉は聞いたことがあります。どこで聞いたのか、学校で習ったのか定かではありません。五鈴屋の江戸店に飾られていた掛け軸
「哀颯的景象 就在盛満中」
「哀颯(すいさつ)の景象は すなわち盛満の中にあり」―衰えていく兆しというのは、実はもっとも盛りのときに在る
というものですが、この続きがありました。
「発生的機緘 即在零落内」
「発生の機緘(きかん)は 即ち零落(れいらく)の内に在り」―葉が落ちつくして何もかもが無くなったように見えても、新たな芽生えはその時もう既にある
衰える兆しは最も盛んな時に生まれ、新たな盛運の芽生えは何もかも失ったとき、既に在る。「菜根譚」ではこのあと、
「だからこそ、君子たる者は、安らかな時には油断せずに一心を堅く守って次に来る災難に備え、また、異変に際した時にはあらゆる忍耐をして、物事が成るように図るべきである」
というのに続いています。偶然幸の郷里の儒学者弥右衛門さんと出会い、菜根譚を教わりました。弥右衛門さんは幸の兄雅由の朋友でした。ご縁のある方と出会いどん底にあった時に菜根譚の教えでまた明るさを取り戻しました。苦労が多いほど立ち直った時の感動は大きいものです。続きはどのような感動と出合えるのか楽しみです。
2022-1-9(日) 図書館資料 請求番号:913/B/タカ-9
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