獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

友岡雅弥さんの「地の塩」その11)ゼノフォビアは、損なだけ

2024-05-19 01:07:43 | 友岡雅弥

友岡雅弥さんは、執筆者プロフィールにも書いてあるように、音楽は、ロック、hip-hop、民族音楽など、J-Pop以外は何でも聴かれるとのこと。
上方落語や沖縄民謡にも詳しいようです。
SALT OF THE EARTH というカテゴリーでは、それらの興味深い蘊蓄が語られています。
いくつかかいつまんで、紹介させていただきます。

 


カテゴリー: SALT OF THE EARTH

「地の塩」という意味で、マタイによる福音書の第5章13節にでてきます。
(中略)
このタイトルのもとに書くエセーは、歴史のなかで、また社会のなかで、多くの人々の記憶に刻まれずにいる、「片隅」の出来事、エピソー ド、人物を紹介しようという、小さな試みです。


Salt25 -「不法移民」は、本当に不法なのか?

2018年6月11日 投稿
友岡雅弥

天才音楽プロデューサー(エンジニアでもあり、名ギタリストでもある)ダニエル・ラノアが、ボブ・ディランの『タイム・アウト・オブ・マインド』を製作中のこと。

彼は、ミックスダウンした音源をディランに届けようと、カリフォルニアのヴェンチュラとマリブの間をバイクで走っていました。

そして、不法移民たちのコミュニティを目にしたのです。

彼の証言――


この河原は、おそらくは不法移民労働者――アメリカのためにイチゴを摘むような人々――のコミュニティによって占拠されていた。


彼らは使われていないこの土地を住むための場所として捉えた。そして枝や石を使って自分たちで作った屋根や壁の中に住んでいた。


彼らが建てたものは汚らしくなかった。彼らは汚らしくなかった。そして彼らの考え方も汚らしくなかった。

彼らは周りにいる鳥や動物たちと同じように、単に一生懸命働いて、棲家を作り、子どもたちを食わせているだけだった。


彼らは正直だった。彼らは地球に対して過剰な要求をしてはいなかった。そして敬意ある調和的な方法で、可能な限り最善のやり方でそこに住みついていたのだ。


この頃までに私はオックスナードで何年もスタジオを経営してきていたので、この地域の警察官数人と知り合いになっていた。


警官の友人の一人から心が痛む話を聞いた。このコミュニティはもうすぐ取り壊され、そこにいる人々は退去させられるということだった。

(ダニエル・ラノワ『ソウル・マイニング 音楽的自伝』)

___________________

アメリカ人のために、仕事に励み、つつましやかに暮らしているだけなのに、なぜ「不法」なのでしょうか?

なぜ、「退去」なのでしょうか?


まず、ゼノフォビアがあり、その視線から見て、一挙手一投足が、そのゼノフォビアを肯定する証拠として蓄積されていく。

逆に、今大切なのは、このダニエル・ラノアのように、何気なく、何のこだわりも、先入観もなく、自然に、その人たちの営みをそのまま見る感性だと思います。

おそらく、そういう感性を持っているから、彼は次々と、傑作を世に出すことができるのでしょう。

ゼノフォビアは、損なだけですよね。どんどん創造性を鈍磨していく。

 

 

 


解説
ゼノフォビア:外国人嫌悪

今大切なのは、このダニエル・ラノアのように、何気なく、何のこだわりも、先入観もなく、自然に、その人たちの営みをそのまま見る感性だと思います。

同感です。
私のクリニックにも、外国人が患者さんとして多数受診します。
言葉の通じない日本にやってきて、家族親せきと支えあい、たくましく生きている彼らに敬意を抱きつつ、少しでも苦しみを取るお役に立ちたいと、日々思って仕事をしています。

 

友岡雅弥さんのエッセイが読める「すたぽ」はお勧めです。

 

獅子風蓮



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