獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

ロシア・ウクライナ戦争、佐藤優氏の分析(その2)

2025-03-13 01:25:12 | 佐藤優

ウクライナ戦争について、以前こんな記事をd-マガジンで読んだことを思い出しました。
引用します。


週刊現代 2023年6月17日号

佐藤優・全情勢分析
ロシア・ウクライナ戦争 正しい理解の仕方
__日本人は何もわかっていない
世界が笑っている日本の「ゼレンスキー礼賛」

(つづきです)

アメリカは何を
狙っているのか

“価値観戦争”が長期化する中、アメリカが恐れているのはロシアと直接対峙することです。アメリカがロシアと直接対峙すれば、第三次世界大戦が勃発して核戦争を誘発する可能性があります。これは一部の専門家が言うように、戦術核(短距離核ミサイルなど限定的な破壊能力の核兵器)レベルでは留まりません。最終的には、巨大都市を丸ごと焼き尽くす戦略核の使用に行き着くでしょう。ロシアが実験に成功した「サルマト」というICBM(大陸間弾道ミサイル)は、世界最長の射程距離をもちます。これまでミサイルでの攻撃は北極経由でした。しかし、このサルマトは南極経由も可能。アメリカは、南半球側からミサイルが飛んでくる事態を想定していませんでした。ですからアメリカは、南極経由の防空システムを構築できていないのです。南極経由で発射されれば、ニューヨークもワシントンも壊滅します。
こういう危険な状況で、アメリカはロシアと絶対に事を構えたくありません。だからアメリカは自ら直接参戦せず、「管理された戦争」を長引かせているのです。すなわち、ウクライナに兵器を渡しはするものの、ロシア軍が壊滅するレベルまでの兵器は与えない。ロシア本土を攻撃させない。なぜこういう形で戦争を管理しているのでしょう。ロシアの核ドクトリ ンでは、ロシア本国が核攻撃を受けた場合、もしくは通常兵器によって国家存亡の機に立たされた場合、核兵器を使うことができるからです。
アメリカによって管理された戦争を戦う限り、ウクライナは勝利できません。もっと言うと、アメリカはウクライナの勝利を望んでいないのです。ゼレンスキー大統領が叫ぶとおり、奪われた国土を奪還するために必要な質量の兵器を西側諸国が送れば、ロシア軍をほぼ壊滅させることができるかもしれません。ただ全滅する前に、ロシアはアメリカに向けて戦略核を発射するはずです。そうした事態はなんとしてでも避けなければならない。だからアメリカは戦争をできるだけ長引かせ、ウクライナに代理戦争をやらせ、できる限りロシアを弱体化させようと試みています。
当初はウクライナとロシアの二国間係争だった様相が途中から変化して、西側諸国(日本を含む)を巻きこんだ形での両国の“価値観戦争”に位相が変化した。なおかつ、西側諸国にはウクライナを勝たせる気はない。これが新帝国主義の時代における「管理された戦争」の実相なのです。


岸田政権の行動は
本当はどう見られているのか

3月21日、岸田文雄首相がキーウを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領と会談しました。このとき岸田首相が渡した手土産の一つは、「必勝」と大書された宮島産のしゃもじです。
「『ウクライナの勝利を日本が望んでいる』と受け取られる」という懸念が指摘されましたが、このような心配は取り越し苦労でしょう。木のヘラに「必勝」と書けば敵を召し取れる (メシを取れる)という発想について、ロシアはまともな考察の対象にはしません。「東洋の神秘だな」と受け止められておしまいです。
岸田首相のもう一つの手土産は、NATO信託基金を通じて3000万ドル(約40億円)の装備品支援金を提供するという約束でした。ただし用途は殺傷能力をもたない装備品に限ります。
これについて「日本は多大な貢献をしている」と言わんばかりの論調が新聞に書き立てられていますが、果たして3000万ドルとは、日本にとってどのくらいの金額なのでしょう。
高速道路を1㎞造るのにいくらかかるかご存知でしょうか。53億円です。40億円の支援とは、高速道路に換算すると800m弱でしかありません。日本がアメリカから購入を約束している次期主力戦闘機F-35は1機150億円です。F-35戦闘機1機の尾翼しか買えないくらいの支援が、岸田首相が鳴り物入りでゼレンスキーに届けたお土産の中身でした。
5月19~21日に開催されたG7広島サミットの評価を申し上げます。サミット最終日前日の5月20日、ゼンスキー大統領が広島を訪問してサミットに合流しました。
広島を訪れたゼレンスキーに岸田首相がプレゼントした支援は、自衛隊の車両100台です。これは装甲がついていないトラックなどの車両であるうえに、新品ではありません。廃車が決まった古い車両を整備してプレゼントしています。
自衛隊法(第116条の3)では、海外の政府に装備品を譲渡するときは「行政財産の用途を廃 止したもの又は物品の不用の決定をしたもの」すなわち廃棄品しか提供できないのです。
廃棄品の車両に加え、岸田首相は3万食の保存食を提供しました。自衛隊の非常食とは、水を入れると食べられる白米や筑前煮です。果たして白米や筑前煮をウクライナ人が食べるでしょうか。彼らが筑前煮を見たら、木の根っこだと思って顔を背けるはずです。しかも、この非常食は来年3月で賞味期限が切れます。さらにカイロまで送っていますが、むしろ無礼ではないでしょうか。このような支援の中身を見ても、ロシアは怒りもしないでしょう。日本のウクライナ支援は西側諸国のせいぜい100分の1、全然やる気がないのです。


(つづく)


解説
“価値観戦争”が長期化する中、アメリカが恐れているのはロシアと直接対峙することです。アメリカがロシアと直接対峙すれば、第三次世界大戦が勃発して核戦争を誘発する可能性があります。
(中略)
当初はウクライナとロシアの二国間係争だった様相が途中から変化して、西側諸国(日本を含む)を巻きこんだ形での両国の“価値観戦争”に位相が変化した。なおかつ、西側諸国にはウクライナを勝たせる気はない。これが新帝国主義の時代における「管理された戦争」の実相なのです。

今回の佐藤氏の分析はするどいと思います。
バイデン時代のアメリカの政策は、まさにそういうことだったのでしょう。
そういう膠着した状態を打破して戦争を終結させるという希望をトランプに見た人もいたでしょうが、いざトランプが大統領になってしたことと言えば、ウクライナと西欧抜きでロシアと停戦交渉を進め、ゼレンスキー大統領を侮辱し続けることです。
プーチンを助けることで、当面の第三次世界大戦は回避され、ロシアの核兵器がアメリカの都市を壊滅させる危険は回避されるでしょう。
確かに、アメリカの国益にはあっているのかもしれません。
しかし、これまで「自由と民主主義のための戦い」のため困難を乗り越えてきたウクライナと西欧諸国に対する、重大な裏切り行為ではないでしょうか。
自国の安全保障が確保されれば、ウクライナや西欧諸国の領土がロシアの侵略を受けても関知しないということでしょうか。
中国や北朝鮮が我が国に侵略を行うことがあっても、トランプのアメリカは、あっさり日本を切り捨てるかもしれませんね。


獅子風蓮



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。