心を与えて 貴方の手作りでいい/泣く場所が在るのなら 星など見えなくていい・・『流星群』(詞 鬼束ちひろ)より
桜がついに6分方散ってしまった。ついにと言っても、満開になったのは25日(日曜)で、木曜には散り始めたので、わずか5日間の盛りであった。国民的人気番組で、J-POP界の最先端をひた奔るTHEカラオケバトルの【春のグランプリ】は、エリート・ジャズシンガー宮本美季(34)の優勝で終った。3つの予選ブロックのうちAブロックのアマたちは、どのように戦ったのだろうか。そして、本当に敗れたのだろうか?私には、決してプロたちに敗れたようには見えなかった。U-18【四天王】の《神》と呼ばれる堀優衣(17)は、予選で『WILL』を歌い、決勝を含む全得点のトップ99.982を叩き出した。鈴木杏奈も決勝で大胆にもアニメソングの『美しき残酷な世界』(「進撃の巨人」テーマ曲)で99.726を獲得した。ちなみに、当番組の採点マシンはプロ仕様(AI搭載)で、街のカラオケボックスより遥かに厳格である。その証拠に、練習無しのプロはせいぜい97点止まりである。Aブロックのアマ軍団は、学校や受験勉強の合間を縫って、毎日涙ぐましい修練を積んで来ている。それに加え、ここ数年、10代の若者たちの間で【昭和歌謡】が爆発的なブームを呼んでいる。その火付け役となったのが、音楽業界を挙げての【歌謡バラード】のリバイバルである。そして世紀明けと共に何もかもが見えない状況の中で蔓延したエイベックス中心のダンサブルの無機質な曲調に対する、これらの草の根の若きカラオケファンのアンチテーゼであった。この両者がいつしか合体し、人間復興の【新世紀カラオケ】の主体となった。そのエイベックスも、同番組に【佐久間彩加】という13歳の天才少女歌手(小6で1万人の中からキラキラオーディション優勝)を送り込んでいる。彼女も今年2月の四天王争奪戦を見事勝ち抜き、ここにコマを進めて来た。決勝進出はならなかったが、予選で難曲『流星群』(2002)を見事に歌い切り、恐ろしいほどの表現力で99点台を獲得した。・・・《続く》
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佐久間彩加 カバー 『流星群』(原曲 鬼束ちひろ)
https://youtu.be/DLh7kdif0V4