繊維の街として栄えた頃の一宮を代表する近代建築で、愛知県最初の鉄筋コンクリート造市庁舎。
装飾の少ない端正な外観ながら、玄関を角に設けメダリオンやオーダーを配するなどバロック様式風なクラッシクな意匠も見受けられます。
1階の窓口には庁舎としては日本で初めての対面式カウンターが設けられ、職員がカウンターを挟んでオープンな空間で市民に接するという現代と同じ形式を採用した大変モダンなつくりになっています。
建設当時は中庭を設けたコの字型の建物でしたが、現在は正面玄関を中心に両翼(東、北側)の部分しか残っていません。
現在旧庁舎を取り壊して新庁舎を建築する計画が進められており、建築史学会から地方都市の近代化を語る歴史的文化財として保存再生の声が上がっています。
■一宮市役所本庁舎/一宮市本町2丁目5-6
竣工:昭和5年(1930)
設計:松本善一郎(前愛知県営繕課技師)
施工:榊原信太郎
構造:鉄筋コンクリート造
撮影:2009/10/11
■庁舎全景~敷地の外側に建物を配置し中庭を設けた、当時の庁舎・事務所建築の典型
左後方には増築した庁舎が見えます
■北東角に設けられた正面玄関
上部のメダリオンと幾何学模様の装飾が目を引く
■4本のオーダーが並ぶ
■玄関ホールの銅製の装飾腰板
■玄関照明
■北側玄関
■南西側の建物は取り壊され現在は駐車場に