かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

瑞穂区役所界隈の一部洋館住宅(名古屋市瑞穂区)

2012-10-19 | 名古屋の近代建築

大正中期から昭和初期にかけて、名古屋市周辺にも都市化が拡がり、いわゆる新市街地と言われる地域(千種・昭和区・瑞穂・天白区)に計画的に郊外住宅地が開発され、西洋式の外観を持つ住宅が急激に普及しました。

この地域で最も多く建てられた新しい形の住宅が『一部洋館住宅』と呼ばれるもので、本格的な洋館を建てるのは、費用面でも使い勝手の面でも難しいが、せめて一部屋だけでも洋室に、という中流庶民のささやかな夢を形にしたのが『一部洋館住宅』です。この時期に建てられた『一部洋館住宅』は、大都市の郊外だけではなく地方都市にも拡がりをみせ、大都市圏ほど数は多くありませんが、日本中どこの町にも見かけることができます。
この「せめて一部屋洋室」にという住宅形式は、戦後昭和40年代頃まで受け継がれ、私の実家も玄関脇の一部屋だけを洋室にして応接間として使用していました。時代は変わり、最近の住宅は全部屋フローリングというのも珍しくなく、「せめて一部屋和室に」というのが間取りの定番になっています。

今回訪れた桜山の名古屋市大病院から瑞穂区役所にかけての一帯も、和風住宅に一部洋室を持つ住宅が数多く建てられましたが、最近は建て替えが進み、戦前の住宅は急速にその姿を消しつつあります。


■和風の母屋にボウウィンドー風の張り出し窓がある洋館を設けています



■入母屋造の純和風住宅に洋館が付属する戦前の典型的な一部洋館住宅



■現代の建売住宅風に、同じ間取りの一部洋館住宅が2軒並んでいます



撮影:2012/09/22