かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

名古屋市演劇練習館アクテノン/旧稲葉地配水塔(名古屋市中村区)

2012-10-28 | 名古屋の近代建築

名古屋市には戦前に建てられた配水塔が現在も2つ残っています。千種区にある旧東山配水塔(昭和5年)と中村区の稲葉地公園にある旧稲葉地配水塔です。

旧東山配水塔は、現在災害時の応急給水施設、東山給水塔として再利用されていますが、旧稲葉地配水塔は、演劇練習館という非常にユニークな形で生まれ変わり市民に活用されています。

稲葉地配水塔は、名古屋市西部への配水を目的として昭和12年に竣工しましたが、昭和19年に大治浄水場が完成し、給水がポンプ圧送に変わったため、わずか7年で配水塔としての役目を終えました。その後は昭和40年に中村図書館に転用されましたが、平成7年名古屋市演劇練習館として二度目の再生を果たしました。


◆名古屋市演劇練習館アクテノン(旧稲葉地配水塔)/愛知県名古屋市中村区稲葉地町1-7
 竣工:昭和12年(1937)
 設計:名古屋市水道局
 構造: RC造地下1階、地上5階建
 撮影:2012/09/22
 ※名古屋市都市景観重要建築物


■建物北側正面~古代ギリシャの円形神殿を思わせるスケール感のある外観は、地域のランドマークとして抜群の存在感


■水槽の周縁部を16本の円柱で支える



■建物入口



■建物南側







旧稲葉地配水塔は、配水塔としてはわずか7年の命でした。
70年以上の時を経た現在、「演劇練習館アクテノン」という新たな命を吹き込まれた配水塔は、地域のランドマークとして多くの人々に親しまれ、幸せな余生を送っています。
これからも時代を超えて、人々の記憶に残る建物として、末永く愛されていくことでしょう。