昨日は猛暑日の中、ご来場ご来店頂きありがとうございました。
今日のご紹介は今まで「かなりや」はございましたが初めてのご紹介となります「うぐいす」シリーズ。
1960(昭和35)年、東芝(マツダ)製の「うぐいすD」です。
この時代の木製キャビネットは一般的には品質が悪く、後年接着剤が剥がれたり合板の表面(突板部分)が
剥離したりと、あまり程度の良い物は残ってないのですが、この個体に限り綺麗にコンディションを
保っております。
丁度、真空管がMT管に移行し始めた頃なので木製のキャビネットに収まるシャーシはスッキリとしております。
一度、手を入れられたのであろう綺麗過ぎるくらいのコンデションです。
七宝焼きのマツダエンブレムも少し欠けはございますが、誇らしげに輝いております。
通電受信状態の内部。 コードプラグ部分も当時の「マツダ」オリジナルです。
マジックアイについても劣化が観られますが、ご覧のように光ります。
(通常、マジックアイの寿命は約500時間と言われております)
これだけのコンディションの「うぐいすD」は滅多にお目にかかれません。
多少、お値段は張りますがこの機会にどうぞ。
東芝(マツダ)製/うぐいすD (昭和35年):¥25,000円(送料別)
いよいよ仕上げ段階です。
チューニングの糸を張り直し、バリコンの動きを確認。いよいよシャーシを木箱に収めます。
正直、錆は取り除けないところは無理に取り除いておりません。あくまでも出来る範囲です。
この段階で一度、通電テスト。
正面、未だ途中の状態です。
パネルやダイヤルノブを取り付けて行きます。やはり中央のノブの色が合ってませんが仕方ありません。
中央のキャップの色に他の二つも合すかですが、折角のオリジナルですから止めておきます。
シャープの七宝エンブレムも磨き上げてます。
電源プラグは当時の雰囲気に合わせております。
裏面のパネルもオリジナルですが補修はしてあります。
そして再度、通電。 マジックアイの発光は劣化しています。
今回、木箱のラジオを初めてレストアしましたがプラ箱に比べ、仕上がれば綺麗にレストア出来る分
結構な時間と手間が掛かりました。
しかし、何かとお騒がせな今の「シャープ」。たまたま、その「シャープ」であった故、創業者の早川徳次に
敬意を表すと共に今の「シャープ」に何とか復活していただきたいという思いもありレストアいたしました。
シャープ RS-350型 6球スーパーラジオ/1953年製: 非売品
前回の続きで、木箱を仕上げて行く。
先ずは剥げた塗料を全て剥ぎ落す作業。
ちよっとした当り凹みはあるものの状態は良く、このまま新たに塗装を掛けて行く。
次にダイヤルノブの中央のキャップが一つ欠品していたため新たに製作する作業。
薄い金属板をすりこ木を型に円形凸面をハンマーで叩いて形を成形して行く。
左が新たに製作したキャップで今後、金色塗装で仕上げる。
但し、右側のオリジナルとは色は合わないと思う。(金色というよりオリジナルは真鍮色であるため)
木箱が仕上がり、新たに前面パネルに「サランネット」も張り終った段階です。
(次はいよいよ仕上げの段階。その際の糸も写ってます。)
因みに「サランネット」について一言。
最近はスピーカー用のネットは何でもかんでも「サランネット」と呼ぶようですが実際、流通しているのは
「ジャージネット」です。本来の「サランネット」とは全く違うものなので気を付けなくてはいけません。
今回使用した「サランネット」は当時のレプリカではあるものの非常に高価なものを使用しました。
ギターアンプの「Fender」のレプリカグリルクロスにも使用されているもののオールドラジオ用となります。
「サランネット」が入手できず、仕方なくカーテン用の生地を使用する場合もございますが、仕上がりは
全く違います。。。
次回はいよいよ完成の記事になります。
今、何かと話題の「シャープ」。さぞ創業者の早川徳次もお嘆きかと思いますが、そのシャープ製の
真空管ラジオ「RS-350型」をご縁があって譲り受ける。
木製箱の大きさも大きさなのですが、重さも相当な重量でちょっとした家具のようです。
現状は電源コードは切断され、内部は埃どころか砂や小石も入っている状態でとても
鳴くような状態でないことは一目で分る状態。
ただ、欠品が少なそうなことは嬉しいのですが、この時代のラジオ特有のサランネットの破れは見受けられる。
早速、埃やゴミを屋外で取り除き、屋内に持ち込む前に屋外で通電テストを行うも、結果は予想通り、
電源すら入らない。(当然ですが)
次に屋内に持ち込み木箱にパネル、外せるものは外しながらシャーシを取り出す。
各部品のチェックをしながらクリーニング。怪しげなところは修理を施してゆく。
そして再度、通電テスト。
チューニングは糸が切れていて無いため直接バリコンを動かすと、目出度く鳴いてくれる。。。
ラジオから聴こえる声が何故か遠い昔から聴こえる声のようで、ラジオを触る時のこの瞬間が堪らなく嬉しい。
ここまで来れば今後の作業もやりがいが出てきます。
※シャープ RS-350型 6球スーパーラジオ。
1953年(昭和28年)発売当時、¥18,000円もしたという高級ラジオ。
当時の大学卒初任給のほぼ倍の金額です。