「家具」続きで恐縮ですが、御針箱の修理依頼です。。。
大切に風呂敷に包んで、「月の虹」へ持ち込まれてきました。
状態は欠品などは無さそうですが先ず、上蓋の外れ。
丁番の釘が折れ外れています。丁番自体にも変形があります。
それに上蓋に一部、木目に沿った割れがあります。
これはある意味仕方なく、木の性質ですから一応は糊を入れて段付きを何とか少なくします。
そして箱自体、下部に行くにつれて開いているのと多分、過去の手を施した時に不備があったのか
巾木のチリが左右で違っている所が気になります。こちらも修理対象。
後は右側板の割れ。こちらも糊を入れるぐらいしか施しようがありませんが修理対象。
悩みどころは、この可愛い扇子の抽斗の取っ手。
新しく塗装(漆塗等)を施すのも良いのですが、長年御身内の方が使われていた証ですので
下部巾木の塗装も含め今回はあえてせずに、蜜蝋での磨きのみ施します。
早速、修理に取り掛かる前に、先ずは丁番用の釘を用意しなければなりません。
この釘は特殊で非常に細くて短い小さな釘です。
showa土花亭での手持ちの釘の内でも、1番小さな釘の登場。(先ず、市場にはございません)
サイズ的にはドンピシャですが、釘頭は丸になります。(本来は丸頭の筈)
釘が揃ったところで修理へ。。。構造的な修理が完了したら落ちる汚れは落とし、蜜蝋で磨いて行きます。
丁番の釘はこんな感じです。
可愛い扇子の取っ手も磨いてあります。下部巾木のチリも左右ほぼ揃いました。
針山は持ち主の方がお裁縫がお得意なので、宿題としてとっておきます。
まだまだ、御使いも頂けますし飾って置くにも邪魔にならない大きさです。
代々大切に使われて来たものです。これからも大切にして頂けますよう宜しくお願いします。
実は 明日、母の誕生日で
お邪魔した後に 母のところへ行ってきました。
そして針箱を修理していただいた事を話してきました。
「まだ、持ってたんか あんた 物持ち ええなぁ〜」
って、笑われました。
私もまた娘たちに 同じ言葉、言われるかもしれませんが 二人のどちらかに渡せるよう 大切にします。
本当にありがとうございました。長居をして 申し訳ありませんでした。
お母様の誕生日に間に合って良かったです。
古い物に対しての価値観は人それぞれですが
この御針箱の小さな抽斗にもボタンやハギレと共に
色んな想い出が詰まっていた筈。
今は綺麗に空っぽになった抽斗にも、これから新しい
思い出を入れることも出来ます。
どうか大切にお使い頂けますよう宜しくお願いします。
又のご来店お待ちしております。