素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

「第9回桂文珍新根多御披露目の会」へ

2015年03月06日 | 日記
 「第9回桂文珍新根多御披露目の会」の会場〈千日前TORII HALL〉は堺筋線日本橋駅から歩いて10分。東京の「日本橋」は「にほんばし」だが大阪は「にっぽんばし」と読む。この違いについて谷川彰英さんが書かれていたのを思い出した。「やっぱりそうだ」と確認する。
 開場まで30分あまりあったので回り道をして知人の平癒を水掛け不動にお願いすることにした。金曜日の夕方とあって千日前、法善寺界隈はたいそうな賑わいであった。
    社会人落語の大会で昼間には何回かトリイホールには来ているが、夜となるとまた風景が変わる。うっかりと通りすぎるところだった。
  エレベーターで4階へ上がると開場まで5分前だったのでエレベーターから出るのに一苦労。入場はチケットの整理番号順、私は100番。といっても狭いホールなのでどこに座ってもさほど変わらない。
   200人ぐらいで満員御礼となるようなホールなので落語を聞くには最適の空間。火事があったら避難が大変だとふと思う。文珍師匠、お馴染みの「花見酒」「寝床」の二席を現代の世相も織り込みながら大いに会場をわかせた後、最後に新根多の御披露目。テーマは高齢化社会とそれにともなう限界集落、地方創生といったところ。世相や今までの施策などが実に巧みに取り入られて料理されているので「そうそう」「あったあった」などと思いながら笑わせてもらった。今、中国政府は『新常態』、我が政府は『新事態』などという言葉を繰り返し声高につかっているが別に両政府、打ち合わせたわけでもあるまいがステレオみたいに見聞きすると言葉のマジックを駆使しているように思えてくる。そのことも噺のなかに織り込んで、笑いで釈然としない思いを笑いで吹き飛ばしてくれるあたりはさすがだと感じた。社会の動きへの鋭いアンテナと人を見る観察眼にそれらを料理する腕が要求される。噺のオチもストンと決まったように思えた。

 新根多は川でいえば水源みたいなもの、まだまだ荒削りだが今日の客席の反応を見て練り直し仕上げていくだろうと思う。いつか滔々した流れになったこの噺に出会う時があったら、その水源を見たことに喜びを感じるだろう。あるかどうかは定かではないが楽しみにしておこう。

 帰りにちょっと一杯と考えていたが、噺に酔い、満腹になったら何もいらなくなった。ダイエット効果抜群というおまけ付きの会であった。


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