素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

ひと雨ごとに春めく

2015年03月19日 | 日記
 本当によく雨が降る。冬の雨と違って南からの暖かい空気のおかげで底冷たさがない。午後からのジム行きも傘をさしてのんびりと歩いて行く。久保田万太郎の句に「ぬかあめに ぬるる丁子の 香なりけり」というのがあるが、まさにそれ、どこからともなく強い香りが鼻をついた。よく見ると庭の隅っこに沈丁花の花がいつのまにか咲いていた。匂いで存在をアピールしている。鼻の春である。
    山近くの公園には馬酔木の白い小花が垂れて咲いていた。可憐ではあるが葉や茎は有毒。牛や馬が食べると痺れて酔うようになる。馬酔木を「あしび」と読むのは「足しびれ」の意からともいう。万葉の時代から生命力に満ちた呪的な植物として馴染み深い。

 巻二・166  磯の上に生ふる馬酔木を手折らめど見すべき君が有りと言はなくに

  いつもの久保池沿いの〈季節の移ろいを感じる道〉と呼んでいる遊歩道に出ると霧がかかってきた。瞬く間に見慣れた景色が幻想的なものに変化していった。暖かい空気と冷たい空気が交錯している季節だと実感。行く手のジムも霞んで見える。
  ボクササイズのスタジオレッスンに入ったが、蒸し暑く動く前から汗ばんでいた。空調設備がよくないとは皆の意見の一致するところ。窓を開けて外気を入れたいのだが、花粉症の人とBGMの音がうるさいとの苦情を近隣の住民から受けないようにとの配慮で閉めたままがんばらねばならなかった。肌で感じる春である。

 4時過ぎに帰る頃は雨も止み、霧も晴れていた。
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