素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

「STAP細胞」騒動は氷山の一角!?

2015年03月11日 | 日記
昨夜の「クローズアップ現代」は生命科学分野における不正論文の問題をあらためて取り上げていた。それを見ると「STAP細胞」騒動は特異な事件ではなく起こるべくして起こってきたものだと思った。
  
 去年12月に東京大学当局が加藤茂明元教授らが執筆した分子生物学の33報の論文に不正があると公表した内容を中心に番組は進められた。実験を行う前から、期待する実験結果をあらかじめ作成しておく「仮置き」という作業慣行が、不正の一因となっていた。という。「ストーリーに合った実験結果を求める姿勢の行き過ぎ」があったという結論である。

 それは成果を早急に求められる現場の事情が背景にあるという指摘もなされた。


 番組とは別の大阪大大学院で博士号を取得後、生命科学分野の研究に携わった山本慎太郎氏(38)らが企画したイベントでも同じような指摘があった。

 山本氏は「とりわけ生命科学の実験は極めてデリケートで手間もかかる。それを惜しむと良い研究ができないが、一方で研究者としてのキャリアのためには論文の数も必要で、両立が難しいところにジレンマがあった」と本音を吐露。「実際、『チャンピオンデータ(何回も実験を行ったうちの特に良いデータ)を効果的に活用して論文を書くべきだ』と言い放つ研究者が身近にいたのも事実だ」と打ち明けた。

 これを受けて、理研が設置した「研究不正再発防止のための改革委員会」で委員を務める中村征樹・大阪大准教授は「昨今、研究者は資金を獲得するため研究の成果を示すことが求められる傾向が強い。権威のある学術誌に論文を載せたほうが業績としても評価される。業績づくりや資金獲得のための論文発表になるなど、本来の学問のあり方を裏切らざるをえないような状況に置かれているのかもしれない」と危惧を示した。

 国も論文不正防止に乗り出したと番組は伝えていた。ポイントは「倫理観の向上」と「データ管理の徹底」とあり具体的な取り組みの様子も紹介されたが、何を今さらという思いがした。

 この問題、教育の学力テストでも起こりうる可能性が大であると同時に思った。山本氏の言葉を借りると「とりわけ教育における学力は極めてデリケートで手間もかかる。それを惜しむと良い教育ができないが、早急に成果を求められると、両立が難しいところにジレンマが生じる」となるからである。50数年前の愚を繰り返すことのないことを願うのみ。

コメント (2)
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