映画「武士の家計簿」は3度観たが、その頃は原作者の磯田道史さんにはあまり関心がなかった。その後、BSでの「英雄たちの選択」などの歴史番組で話を聞く機会が増え、古文書を丹念に読み解いていくことから、その時代に生きた生の声を拾い出すことによって架空の物語を想像で書かれた歴史小説と一線を画した「歴史のほんとう」に迫ろうとする姿勢に共感するようになった。
古文書を読む中で触れたキラ星のように輝く言葉や叡智を拾い集めた言葉とその背景をコンパクトに解説した『日本人の叡智』(新潮新書)に続いて読み始めたのが『歴史の愉しみ方』(中公新書)であった。
第1章「忍者の実像を探る」・第2章「歴史と出会う」・第3章「先人に驚く」・第4章「震災の歴史に学ぶ」・第5章「戦国の声を聞く」という構成だが、読み通すと磯田さんの視点、人となりが伝わってくる。発想力と行動力に元気をもらえる。
現在の磯田さんは第4章「震災の歴史に学ぶ」の部分に力点を置かれて活動しているように思う。「地震活動期に暮らす覚悟」の中で、史料から江戸時代以来日本は5回の地震活動期を経験していると指摘。だいたい50年か100年ごとに地震活動期が来ていて、一度活動期に入ると列島の地下構造の破壊が進み数年から20年は地震津波が続くと過去の記録が物語っている、と説く。
2011年の東日本大震災は日本が6回目の地震活動期に入った公算が大であると危惧する。確かにその後現在に至るまで日本各地で起きている地震や火山活動の活発化は、そのことが杞憂ではないことを示しているように思える。
「考えてみれば、戦後の繁栄そのものが、たまたま地震活動がない時期の平和を謳歌したものだった。地震休眠期ならではの甘い想定で原子力発電を計画し、そのエネルギーを基礎に、鬼の居ぬ間の洗濯のような、危うい経済社会を築いていた」と発想の展開を訴えている。
本の中でも過去の地震の記録が紹介されているが、井沢元彦さんの「歴史手帳2015」には日本書紀に記録されている地震から2011年までの日本震災年表が掲載されている。これまでは漠然と眺めてきたが、磯田さんの姿勢に触発されて、その年表の地震と地震の間の年数を拾ってみた。
西暦の年月日のついているのは巨大地震と呼ばれているもの、その下の数字は年表に載っている地震間の年数である。
416年7月14日※日本書紀にある記録上最初の地震
183
599年4月27日※日本書紀にある最初に被害が記録された地震
79・6・50・11・73・12・39⇒計270年後
869年5月26日
9・9・51・38・120⇒計227年後
1096年11月24日
3・86・56・16・36⇒計197年後
1293年4月13日
67・1・106・91・0⇒計205年後
1498年8月25日
3・24・60・11・0・8⇒計106年後
1604年(慶長9)12月16日
7・0・5・17・16・13・0・15・0・17・9・4⇒計103年後
1707年(宝永4)10月4日※49日後に富士山噴火
44・15・5・11・11・9・2・6・9・9・2・3・14⇒計140年後
1847年(弘化4)3月24日
6・1・0⇒計7年後
1854年(安政1)11月4日
0・0・1・0・3・14・19⇒計37年後
1891年(明治24)10月28日※日本最大の直下型地震
3・0・2・0・27⇒計32年後
1923年(大正12)9月1日※関東大震災
2・2・3・3・10・1・1・1⇒計23年後
1946年(昭和21)12月21日
2・35・10・2⇒計49年後
1995年(平成7)1月17日※阪神淡路大震災
9・3・1・3・⇒計16年後
2011年(平成23)3月11日※東日本大震災
このように単純化すると、古い時代は都から遠い地の記録は残っていないことも考えると日本が周期的に地震に見舞われる宿命にあるということをあらためて実感する。
今、手元には磯田さんの2つの著書『天災から日本史を読み直す』(中公新書)と『武士の家計簿』(新潮新書)が出番を待っている。デビュー作と最新作を同時に読んでいこうと思っている。
古文書を読む中で触れたキラ星のように輝く言葉や叡智を拾い集めた言葉とその背景をコンパクトに解説した『日本人の叡智』(新潮新書)に続いて読み始めたのが『歴史の愉しみ方』(中公新書)であった。
第1章「忍者の実像を探る」・第2章「歴史と出会う」・第3章「先人に驚く」・第4章「震災の歴史に学ぶ」・第5章「戦国の声を聞く」という構成だが、読み通すと磯田さんの視点、人となりが伝わってくる。発想力と行動力に元気をもらえる。
現在の磯田さんは第4章「震災の歴史に学ぶ」の部分に力点を置かれて活動しているように思う。「地震活動期に暮らす覚悟」の中で、史料から江戸時代以来日本は5回の地震活動期を経験していると指摘。だいたい50年か100年ごとに地震活動期が来ていて、一度活動期に入ると列島の地下構造の破壊が進み数年から20年は地震津波が続くと過去の記録が物語っている、と説く。
2011年の東日本大震災は日本が6回目の地震活動期に入った公算が大であると危惧する。確かにその後現在に至るまで日本各地で起きている地震や火山活動の活発化は、そのことが杞憂ではないことを示しているように思える。
「考えてみれば、戦後の繁栄そのものが、たまたま地震活動がない時期の平和を謳歌したものだった。地震休眠期ならではの甘い想定で原子力発電を計画し、そのエネルギーを基礎に、鬼の居ぬ間の洗濯のような、危うい経済社会を築いていた」と発想の展開を訴えている。
本の中でも過去の地震の記録が紹介されているが、井沢元彦さんの「歴史手帳2015」には日本書紀に記録されている地震から2011年までの日本震災年表が掲載されている。これまでは漠然と眺めてきたが、磯田さんの姿勢に触発されて、その年表の地震と地震の間の年数を拾ってみた。
西暦の年月日のついているのは巨大地震と呼ばれているもの、その下の数字は年表に載っている地震間の年数である。
416年7月14日※日本書紀にある記録上最初の地震
183
599年4月27日※日本書紀にある最初に被害が記録された地震
79・6・50・11・73・12・39⇒計270年後
869年5月26日
9・9・51・38・120⇒計227年後
1096年11月24日
3・86・56・16・36⇒計197年後
1293年4月13日
67・1・106・91・0⇒計205年後
1498年8月25日
3・24・60・11・0・8⇒計106年後
1604年(慶長9)12月16日
7・0・5・17・16・13・0・15・0・17・9・4⇒計103年後
1707年(宝永4)10月4日※49日後に富士山噴火
44・15・5・11・11・9・2・6・9・9・2・3・14⇒計140年後
1847年(弘化4)3月24日
6・1・0⇒計7年後
1854年(安政1)11月4日
0・0・1・0・3・14・19⇒計37年後
1891年(明治24)10月28日※日本最大の直下型地震
3・0・2・0・27⇒計32年後
1923年(大正12)9月1日※関東大震災
2・2・3・3・10・1・1・1⇒計23年後
1946年(昭和21)12月21日
2・35・10・2⇒計49年後
1995年(平成7)1月17日※阪神淡路大震災
9・3・1・3・⇒計16年後
2011年(平成23)3月11日※東日本大震災
このように単純化すると、古い時代は都から遠い地の記録は残っていないことも考えると日本が周期的に地震に見舞われる宿命にあるということをあらためて実感する。
今、手元には磯田さんの2つの著書『天災から日本史を読み直す』(中公新書)と『武士の家計簿』(新潮新書)が出番を待っている。デビュー作と最新作を同時に読んでいこうと思っている。