素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

暑中見舞い

2015年08月07日 | 日記
 今日、1枚の暑中見舞いのはがきが届いた。年賀状は毎年いただいているが暑中見舞いは初めてである。私と同じ歳だが、まだ再雇用を続けていて教育現場に立っている。10年以上お会いしていないので詳しくはわからないが、毎年いただく年賀状からは変わることのない教育への情熱を感じてきた。

 私のように中途半端ではなく、教育一筋で実践を積み重ねてきた。怠惰な心が持ち上がる時に戒めてくれる存在であった。直接会うのではないが、毎年の年賀状に添えられている詩(谷川俊太郎が多い)と近況報告から「いい加減にしていたらダメだなぁ」と喝が入るのである。

 この暑中見舞いにも、いつものように詩が印刷されてあった。江口あけみさんの『噴水』である。

  まっすぐに ふきあげるがいい
みちあふれてくるものをおさえることなど
       決してないのだ
輝くがいい      光を受けて
たとえ それが 誰にも受けとめられることのない
空しいくり返しであったとしても
落下のための第一歩であったとしても
   吹き上げるがいい  輝くがいい


 添え書きにあった「ごぶさたばっかりですが・・・・・。機会を作ってお会いしたいね。」を見ながら複雑な気持ちになった。この時期に、このようなハガキを出す。元気なのか?元気でないのか?そこのところが測り難いのである。

 教育実践は打ち上げ花火のような虚しさを伴う。若い時は内から湧き出るエネルギーでそういうことを考えることも少ないが、年々経験を積むごとに葛藤が生じる。50代も半ばを過ぎると自己との闘いの連続となる。幸い私は「徒労に賭ける」という言葉との出会いが若い時にあり、それに支えられて折れることなく現役を全うした。

 退職後は100%身を引いたので、再雇用という形で現場に関わることへのイメージがない。また、そういう人たちと話をすることも避けてきた。ハガキを見つめながら、そろそろ扉を開ける時期になってきたのかなと思った。
コメント (1)
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