shuの花日記

山や近所で見かけたお花をエピソードを添えて掲載しています。お花の説明は主にウィキペディア、花図鑑を参考にしています。

石川県の片野鴨池と柴山潟周辺でコハクチョウ・マガンなどを観てきた(その④、最終回)

2022-01-27 13:57:24 | みんなの花図鑑
その③からの続きです。

これまで片野鴨池を中心に、観た鳥について紹介してきた。
冬場に水を張り面積を増やしても、たった10haしかない片野鴨池に、なぜこんなに多くのガンやカモが集まるのか、それにはこの池の歴史が大きくかかわっている。この池の歴史について触れておこう。

片野鴨池の原型は、今から500年前に出来たといわれている。海からの風で砂が運ばれてきて砂丘ができ、谷が埋められて水が溜まって池となった。今でも周囲には砂丘と砂岩地帯が広がっている。当時はもっと大きな池で、山の中腹あたりまで水があったようだ。
その後17世紀後半に、水田を作るため、池の水を抜く干拓工事が行われた。現在の鴨池の大きさは、その後大きく変わっていない。
鴨池に水田が開かれてから10年後に、ここで坂網猟が始まっている。カモは夕方薄暗くなったころに池を飛び立ち、周辺の水田へ餌を食べに行く。この飛び立つところを、池の周囲の丘の上でY字型の投げ網を使って獲るのが坂網猟だ。この坂網猟のお陰で、鴨池では冬季の人の立ち入り禁止、周囲の森林の伐採禁止、銃猟禁止が長い間維持されて来た。
一方、周辺の池沼では銃猟が行われてきた(現在は禁止となっている)ため、ガンやカモが安全なこの池に集まった。
ちなみに、坂網猟は鴨池の周囲の丘で行われており、この池で行われているわけではない。ガンやカモは丘は危険だと思っても、この池は安全だと思っているようである。

さて、その④(最終回)ではコハクチョウ、ガン、カモ以外の鳥について報告する。

■タシギ
Snipe

チドリ目シギ科
Gallinago gallinago
田鷸/L26cm









雌雄同色。ジシギ類4種の識別の基準になる鳥。頭には黄白色の頭央線がある。眉斑、目の下の線、頬の線がある。
肩羽の外線は黄白色で、それが連なって線に見える。次列風切の羽先は白く、飛ぶと白線に見える。

タシギが2羽、観察館の目の前の田圃で餌を探していた。長い嘴を泥の中に差し込んで、餌を探していた。
餌となるのはミミズ類、貝類、甲殻類、昆虫の幼虫などで、動物食の鳥である。

■ダイサギ
Great Egret

ペリカン目サギ科
Andea alba
大鷺/L88~98cm



ダイサギは観察館から少し離れた池の端で餌を探していた。餌は魚類の他、カエルやザリガニなどを採られて食べる。

■モズ
Bull-headed Shrike

スズメ目モズ科
Lanius bucaphalus
百舌・鵙/L20cm





雄のモズが観察館から30mほどの所に生えているヨシに止まった。
数分間止まっていて、飛び去った。鴨池を縄張りとしているのかもしれない。

■その他
 

片野鴨池の上空は、小松空港へ着陸する飛行機の航空路となっている。そのため何度か旅客機が上空を通過した。
ガンやカモは気にする様子は見せるが、驚いて飛び立つようなことはなかった。
自衛隊の戦闘機やヘリコプターが近くを飛ぶと、音量が大きいのでガンやカモが騒ぎ立てることがあった。
近くの道路をトラックが通過する際も、気にした様子が見られた。

■カンムリカイツブリ
Great crested Grebe

カイツブリ目カイツブリ科
Podiceps cristatus
冠鳰/L56cm W85cm



この鳥を観たのは片野鴨池ではなく柴山潟だった。雪が舞い、大きな波が立っていたが、潜水を繰り返して餌を探していた。
2羽が近づいたところを撮影した。

石川県の片野鴨池と柴山潟周辺でコハクチョウ・マガンなどを観てきた(完)

最後までご覧いただき、ありがとうございました。
次回は、あけぼの山のウメ、ロウバイなどをご覧いただく予定です。
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石川県の片野鴨池と柴山潟周辺でコハクチョウ・マガンなどを観てきた(その③)

2022-01-27 00:57:55 | 
その②からの続きです。

今一度、片野鴨池の全景をご覧いただきたい。


池の中央付近に、左右に分かれて、ガンやカモがたくさんいるのがお分かりだろうか。
望遠レンズで覗いてみる。
手前にいるのがマガモで、雄は頭が緑色をしていて、背と腹は明灰色に見える。
一番大きいのはヒシクイである。マガンはヒシクイより少し小さく、嘴の基部から額にかけての羽毛が白い。
ちなみに、ヒシクイもマガンも、国の天然記念物となっている。


画像が荒くなるのを承知で、マガンをトリミングしてみた。
雌雄同色である。羽色は褐色で、嘴の基部から額にかけての羽毛が白い。
また腹に黒褐色の横斑が観られるのも特徴の一つであるが、これは水面に隠れて分からない。


■ヒシクイ
Bean Goose

カモ目カモ科
Anser fabalis
菱喰/L85cm

先ほどの鳥がたくさん集まっている写真から、ヒシクイがいるところを拡大してみた。


ヒシクイは雌雄同色である。日本には3亜種が渡来し、体が大きいのがオオヒシクイである。片野鴨池に渡来するのもオオヒシクイが多数である。
全体が暗褐色で、頭から上、特に顔は暗色である。

ヒシクイは広い水田や湖沼などで、落穂、水草やその根を食べるが、名前の通りヒシの実を割って食べる。
レンジャーの方のお話では、片野鴨池にはヒシが繁茂し、ヒシクイはその実を食べるので、日中もこの池から外へ出ないで過ごしているそうである。


次にカモ類であるが、片野鴨池の全体の写真を見ていただいて分かるように、カモは観察館からずいぶん離れた所にしかいなかった。
特にトモエガモは臆病なため、一番遠い池の反対側にいた(北西側にいるのは風を避ける意味もある)。残念ながら鴨池でカモを撮ることはできなかった。

■トモエガモ
Baikal Teal

カモ目カモ科
Anas formosa
真鴨/L40cm

成鳥雄の顔には複雑な模様があり、この模様を巴形に見立てた。巴模様は雄でははっきりと見えるが、雌ではぼやけた感じとなり、雌の顔の前面には丸い白斑がある。
(写真なし。)

■ミコアイサ
Smew

カモ目カモ科
Mergellus albellus
神子秋沙



成鳥雄は全体に白く、目の周り、後頭、背などが黒い。嘴と足は鉛色。
成鳥雌は頭から後頸は茶褐色、喉から頸側は白い。上面は黒褐色で、体下面はそれよりも淡色。目先は黒い。
写真はミコアイサの雌。100mほどの距離で撮影したものを、トリミングして拡大した。

以上、片野鴨池ではカモの写真は上手く撮れなかった。
柴山潟では風が強く雪も舞っていて、撮影には悪条件だったが、いくつかの種類のカモを撮影できた。
以下は柴山潟で撮影したカモの写真である。

■マガモ
Mallard

カモ目カモ科
Anas plantyrhynchos
真鴨/L59cm

マガモの成鳥雄の頸には白い頸輪がある。頭部は黒くて緑色の光沢があり、光の角度で青紫色にも見える。中央尾羽は外側に巻羽となっている。雌は全体に褐色で、頭部は黒っぽい。








■ヒドリガモ
Eurasian Wigeon

カモ目カモ科
Anas penelope
緋鳥鴨/L49cm









ヒドリガモの成鳥雄は額から頭頂にかけてクリーム色がよく目立つ。顔と頸、胸は茶褐色で、他は全体が灰色っぽく見える。
成鳥雌は全体に褐色。他のカモ類の雌にもよく似ているが、本種は褐色味がかなり強い。

その④(最終回)に続く。
コメント (10)
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