~藤木はこの世のものとは思えない異様な光景のなかで目覚めた。視界一面を覆う、深紅色の奇岩の連なり。ここはどこだ?傍ら携帯用ゲーム機が、メッセージを映し出す。「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された」
貴志祐介氏の作品は、こわ面白い『黒い家』by貴志祐介 以来で三作目です。割とグロテスクな描写が好きな作家さんなのかな?とも思いますが、今回の作品はそれほどでもありませんでした。
突然、現実世界から「殺すか殺されるか?」という脱出ゲームの世界に放り込まれ、まさにサバイバルを実体験させられる主人公の藤木ですが、何というかそれほどの緊迫感がありませんでした。
クライマックスでも「こういうことで助かるんちゃうか?」と思えたりしましたし、ヒロインの藍の存在もイマイチでした。
以降ネタバレです。
主人公が助かって謎の賞金500万円をもらって現実世界に戻されるのですが、その後の蛇足のような語りは必要なかったと思います。
本作の内容はともかくとして、私が中学2年の時に友達から貸してもらって、少しの期間ハマった「アドベンチャーゲームブック」シリーズが出てきたのが嬉しかったです。
『サソリ沼の迷路』という作品で、三人の魔法使い(善・悪・中立)の度の魔法使いの弟子になるかというところから物語が分岐していき、最終的なエンディングも違ってくるという内容でした。弟子になる魔法使いを選びなおして何回も何回もやり直して楽しんだ記憶があります。
クリムゾンの迷宮もそれなりに楽しめましたし、時間つぶしにはとても良かったです。
★★★3つです。