~羊飼いの少年サンチャゴは、アンダルシアの平原からエジプトのピラミッドに向けて旅に出た。そこに、彼を待つ宝物が隠されているという夢を信じて。長い時間を共に過ごした羊たちを売り、アフリカの砂漠を越えて少年はピラミッドを目指す。
「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」「前兆に従うこと」少年は、錬金術師の導きと旅のさまざまな出会いと別れのなかで、人生の知恵を学んで行く。欧米をはじめ世界中でベストセラーとなった夢と勇気の物語。「BOOK」データベースより)
とにかくスゴいフレコミで、「ニューヨーク・タイムズ」ベストセラー427週!、81カ国語に翻訳!、全世界8500万部の大ベストセラー!などと言われており、『世界で最も読まれた本のベスト10』にランクインしている素晴らしい作品とのこと。
※第2位に『毛主席語録』がランクインしていることが別の意味でスゴイですね^^;
また、[これまでに愛読書としてあげてくれた著名人]という欄を見てみると、オバマ元大統領、ウィル・スミス、ブリトニー・スピアーズ、マドンナ、オプラ・ウィンフリー、ラッセル・クロウ、ビル・クリントン、ジュリア・ロバーツ、ルイス・ハミルトン、森山未來、戸田恵梨香、中山美穂、元JUDY AND MARYのTAKUYA、サカナクションのボーカル・山口一郎ほか多数。
とのことです。
さて、作者のパウロ・コエーリョ氏ですが、僕は『11分間』で、彼と出会い、感銘を受けたので、とても評価の高い本作を借りてきました。
この『アルケミスト』は、錬金術師という意味ですが、実際に金以外の金属から金を精製することは「不可能」とも言われており、また「可能である」という方もあります。
まぁ、錬金術のことはさておき、本書のストーリーは、スペインのアンダルシア地方で羊飼いとして暮らしてたサンチャゴ少年が、夢のお告げを信じて「宝物を探しに行く」という内容です。『星の王子さま』の地球版のような感じですかね?
この『アルケミスト』のおもしろいところは、ただの冒険譚ではなく、その行動原理や目標の見つけ方、人生とは?のような「自己啓発本」としての魅力的な文章やセリフが散りばめられているということです。
パウロ・コエーリョ氏の作品を日本語版に翻訳されている方はたくさんいらっしゃいますが、本作の「山川 紘矢&山川 亜希子ペア」が一番多いですかね?
僕は『11分間』の訳者である、旦 敬介氏の文章が気に入っていたので、山川ペアの少し感情の起伏を抑えたような淡々とした訳文に少し不満です。
サンチャゴ少年を冒険に駆り立てたお告げや、少年が身体一つで海を渡り、砂漠を渡り、目標に向かって力強く生き抜いていく様をもっとドラマチックに演出できたと思うと、残念ですね。
それでも、内容は濃く、夢を持って生きていくことは何よりも大切であり、その気持ちを持ち続けてさえいれば、細やかな前兆に気付くことも出来るし、それを活かすことも出来る。その先に成功があるという内容です。
「もっと若いときに読んでいれば!」とも思いますし、少しは僕の人生も変わったかもしれませんが、いよいよ50歳を目前に控えた身には、少し虚しく感じたので、これから社会に出ていく長女にプレゼントします。
何でもいいので、憧れや夢、目標を持ち続けて人生を生きていくと、その人自身の輝きが増すと思いますし、その後の人生も輝かしいものになっていくと思います。
ぜひ若い人たちに読んで欲しい本です。
★★★☆3.5です。