「心ゆたかな暮らしを」  ~Shu’s Page

小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

最後の一束!

2018年12月29日 | 雑感・日記的な
12月に入ってから、ずっと心に引っ掛かっていた年賀状です(^_^;)

毎年毎年、「なんで、もっと早く手をつけへんにゃ(T_T)」と、後悔を繰り返しています。

いよいよ今日は、朝の5:30から犬の散歩に行って、帰って来てから一日がかりで、ずっと年賀状印刷&一言の添え書きをやっていました。

お昼頃に、半分くらいできたので、とりあえず一度郵便局に投函しに行きました。

そして、お昼ゴハンを食べてから、一気にスパートをかけて、最後の一束を17:30に中央局に投函出来ました!

これで、何とか元旦に着いてくれるでしょう!

こんな人だったの?『殉死』by司馬遼太郎

2018年12月28日 | 小説レビュー
乃木希典(のぎ・まれすけ)——日露戦争で苦闘したこの第三軍司令官、陸軍大将は、輝ける英雄として称えられた。
戦後は伯爵となり、学習院院長、軍事参議官、宮内省御用掛など、数多くの栄誉を一身にうけた彼が、明治帝の崩御に殉じて、妻とともに自らの命を断ったのはなぜか? “軍神"の内面に迫り、人間像を浮き彫りにした問題作。
私の前に一枚の写真がある。(中略)
司馬遼太郎は、『殉死』の文中でこの写真が明治天皇大葬の日の朝八時頃にとられたと記している。
夫婦でとったのは希典の希望だったらしい。「ケフノ写真ハ自然ナル姿勢ガヨカラウ」と希典が述べたと司馬は書いた。
このために写真のようなポーズが生まれたとういのだ。静子の立ち位置を決めたのが本人なのか、それとも希典なのか、司馬はなにも語らない。(解説・山内昌之)「BOOK」データベースより


「号泣必至!」などという評判と、司馬遼太郎にしては珍しい1冊ものなので借りてきました。

『坂の上の雲』のテレビドラマで、柄本明が好演していた「乃木希典」将軍。
軍神と言われ、桃山御陵(明治天皇陵)の近くに乃木神社が建立されるほどの明治期の偉大な軍人です。

僕も何となく、その人柄や来歴については知っていたものの、詳しく触れたのはこの『殉死』が初めてでした。

まぁ、いわゆる「司馬史観」に基づいて書かれているので、かなり偏った記述ではありますが、旅順攻略では、とんでもない数の犠牲者を出してしまった司令官であることは間違いありません。

戦時下のことですから、情報が不足していたことは否めませんし、日本軍大本営の中でさえ、「旅順なんて大したことない。数日で陥とせる」という見方が大勢であったために無謀とも思える突撃が繰り返され、多くの命が失われました。

Wikipediaで読んでみると、実際は乃木将軍の手腕や判断ミスによる失敗というよりも、情報が錯綜したり、補給が届かなかったり、旅順要塞が強固過ぎたり・・・と、乃木将軍だけを責めるものではないこともわかります。

この小説では、乃木希典について、その妄信的な明治天皇に対する忠誠心や、詩人としての情緒的な要素、家族に対する愛情の酷薄さなど、その人となりについて、いささか批判的ともとれるように書かれています。

その記述からは、『軍神』などという呼称はふさわしくないように思えますし、「本当のところはどうやったんやろ?」と思ったりします。

まぁ、小説なので、あくまで筆者の主観によって描かれて当然なので、司馬遼太郎が描く『乃木像』が正しいとも思いません。

いずれにしても、劇的な人生であったことは間違いないですし、軍人として、規律を守り、率先垂範した厳格な人柄であったことは間違いありません。

敵将に対する扱いや、学習院院長としての指導方針、我が息子を二人も同じ戦地で亡くすという悲劇、そして、明治天皇の大喪の礼に合わせた殉死など、本当にドラマティックな生涯であったと思います。

また別の作家が書いた『乃木像』を読んでみたいですね。
★★★3つです。

箸休め的な『隠蔽捜査 5.5 自覚』by今野敏

2018年12月26日 | 小説レビュー
~畠山警視は実技を伴うスカイマーシャルの訓練中、壁に直面する。彼女は共に難事件を乗り越えた竜崎に助言を求めた(「訓練」)。
関本刑事課長は部下戸高の発砲をめぐり苦悩した。そこで竜崎の発した一言とは(表題作)。
貝沼副署長、久米地域課長、伊丹刑事部長。彼らが危機の際に頼りにするのは、信念の警察官僚、大森署署長竜崎伸也だった―。
七人の警察官の視点で描く最強スピン・オフ短篇集。「BOOK」データベースより


『隠蔽捜査』シリーズのスピン・オフ短篇集、5.5です。

前回の短編集も面白かったので、今作も興味深く読みました。

これまで、脇役として良い味を出してきていた貝沼副署長や関本刑事課長などが、署内の難問に直面し、それぞれの苦悩の中から、竜崎にアドバイスを求めるというストーリーです。

巻末の解説にも書かれておりますが、竜崎の格好良さばかりがより一層際立っていますし、それぞれの脇役たちが改めて竜崎に対する敬慕の念を抱くという、「チーム大森署」の結束が固まる過程がクローズアップされています。

それにしても竜崎の判断というか、明快な答えの出し方には感嘆しかありまさん。

まさに「快刀乱麻を断つ!」という切れっぷりで、各々が「俺は何をこんなことで悩んでいたんだ・・・(^_^;)」と苦笑いしています。

署内の人たちも決して非常識なことを言っている訳でもありませんし、これまでの警察組織としての常識や前例に則って組織運営を円滑に行うべく選択肢を示しながら、「こうするべきだ!」、「いやいや、今こそこれをやるべきだ!」と、侃々諤々します。

それを静かに見守っていた竜崎に答えを求めると、「わからんな・・・」と一言発し、「何故、そんなことにこだわっているのか?今やるべきことは〇〇だろう?それをそのままやり遂げればいいだけじゃないか?」と、あっさりと答えを出してしまいます。

それがまた、誰もが納得する答えであり、「何でここに気が付かないんだ」と愕然とすると同時に、「やはりこの人は凄い」と感嘆してしまいます。

この『隠蔽捜査』シリーズは、組織社会で働く人たちには是非とも読んでもらいたい作品ですし、竜崎のようにとまではいきませんが、誰かに相談を持ちかけられたときや悩んだ時には、竜崎の言葉を思い出したいです。

「手に余るなら、上に預ける。それも原則だ。」

短編なので物語としてはそこそこです。
しかし、次回作にも必ず活かされていくと思うので、読み飛ばすわけにはいけません。
今回も3.5を付けたい気持ちがありますが、

★★★3つです。

う~ん何とも『十二人の死にたい子どもたち』by沖方丁

2018年12月24日 | 小説レビュー
廃業した病院にやってくる、十二人の子どもたち。
建物に入り、金庫を開けると、中には1から12までの数字が並べられている。
この場へ集う十二人は、一人ずつこの数字を手にする決まりだった。
初対面同士の子どもたちの目的は、みんなで安楽死をすること。
病院の一室で、すぐにそれは実行されるはずだった。
しかし、十二人が集まった部屋のベッドにはすでに一人の少年が横たわっていた。
彼は一体何者なのか、誰かが彼を殺したのではないか。
このまま計画を実行してもいいのか。この集いの原則「全員一致」にのっとり、十二人の子どもたちは多数決を取ろうとする。
俊英・冲方丁がデビュー20年目にしてはじめて書く、現代長編ミステリー!性格も価値観も環境も違う十二人がぶつけ合う、それぞれの死にたい理由。彼らが出す結論は―。「BOOK」データベースより


『天地明察』で、大ヒットを飛ばした『冲方丁(うぶかた とう)』氏の作品です。

これを読むまで「おきかた ちょう?てい?」などと、氏名の読み方も知りませんでした(^_^;)

この『十二人の死にたい子どもたち』は、傑作ミステリーの呼び声高く、読みたかった作品でした。

タイトルがなかなかそそるでしょう?

んで、期待感を胸に実際に読み始めると、いわゆる『クローズド サークル ミステリー』のような感じで、12人の子どもたちが、訳あって集まった廃病院の地下室で、いきなり放置された死体に対面し「果たして誰がこの死体を運び込んだのか?」と疑心暗鬼になりながら、犯人を探していくという話です。

僕の予想では、12人とは別の第三者がいて、一人ずつ殺されていくとか?想像しましたが、結末は全く違いました。

途中から、「この子が怪しいなぁ」と、思ったりしながら読みましたが、大体この手の犯人探し的なストーリーは好きじゃないので、読んでいて心が折れそうになりながらも何とか読了するとこが出来ました!

流石は沖方丁氏ですよね!飽きさせない言葉のやりとりや、個性的なキャラクターによって、なかなか楽しめました。

しかしながら、エンディングは、ある程度想像の範囲を超えなかったんで、期待が大きかっただけに、残念です。

★★★3つです。

神戸2日間

2018年12月24日 | 家族・友達
12/22、12/23の2日間、神戸市の体育館まで、次女のバレーボールの『私学近畿大会』の応援に行って来ました!

私学だけとはいえ、近畿大会に出場してくるのは強豪ばかりで、初日のリーグ戦は全敗でした(T_T)

そして、三敗したものばかりのチームで迎えた二日目のトーナメント戦もフルセットの激戦を落としてしまい初戦敗退の悲しい結果となりました。

しかしながら、近畿レベルの強豪との戦いは本当に貴重な経験となりましたし、1/20から始まる新人戦に向けて課題も浮き彫りになりましたかたら、これからの更なる成長に期待です!

重いが、読むべし『破戒』by島崎藤村

2018年12月21日 | 小説レビュー
~明治後期、出身の教員瀬川丑松は父親から身分を隠せと堅く戒められていたにもかかわらず、同じ宿命を持つ解放運動家、猪子蓮太郎の壮烈な死に心を動かされ、ついに父の戒めを破ってしまう。

その結果偽善にみちた社会は丑松を追放し、彼はテキサスをさして旅立つ。
激しい正義感をもって社会問題に対処し、目ざめたものの内面的相剋を描いて近代日本文学の頂点をなす傑作である。
「BOOK」データベースより


『破戒』→戒めを破る・・・。とても重たいタイトルです。

島崎藤村という作家の名前は知っていましたが、実際に作品を読むのは初めてです。

島崎藤村が、1906年(明治39年)に7年の歳月をかけ最初の長編小説を自費出版したとのことですが、これが大絶賛を受けて、自然主義文学の旗手として注目されました。

以降、自然主義文学の到達点『家』、告白文学の最高峰『新生』、歴史小説の白眉『夜明け前』等を次々と発表し、第一級の文豪として名を馳せました。

また、初代日本ペンクラブ会長に就任するなど、後世に語り継がれている作家ですね。

その中でも『破戒』は異彩を放っており、現代ならタブーとされる「差別問題」について切り込んだ小説です。

作中の主人公「瀬川丑松」は、被差別で生まれ、一生懸命勉強して、生徒から慕われる小学校教員になり、表向きは物静かで真面目な青年として生きています。

しかし、その心の内は、厳格な父の教え「身分を隠せ」、「忘れるな」という言葉を戒めとしながらも「これでいいのだろうか?」と悶々とした日々を送っていました。

同じ身分の活動家「猪子蓮太郎」の書物や、その姿勢に感銘を受け続けた丑松は、「この人にだけなら打ち明けてもよいのでは?」と、逡巡し続けますが、不慮の事故によって猪子の命が絶たれ、その鬱屈した思いだけが丑松の身体を蝕んでいきます。

丑松の真面目な仕事ぶりを妬む同僚や、心無い町の人々の噂話によって、「丑松の身分は実は・・・?」ということが丑松自身の耳にも届く頃、「自死か?それとも告白か?」と、悩み苦しんだ末、愛する生徒たちの前で、教壇の板間に突っ伏しながら、自らの出自について告白してしまいます。

始めっからず~っと、暗く、寒く、凍えるような描写が続いた末の、その告白の場面では、丑松の身体に天からの光が降り注ぎ、それまでの我慢の日々、鬱屈した心、その全てを浄化していくような神々しくも美しい描写によって描かれています。

最初の方は、たくさんの注釈記号や、昔言葉による言い回し、長野の方言、漢字熟語の使い方など、読むのが苦しいのですが、勉強になることも多く、読み進めていくうちに慣れてきました。

明治時代の山村農家の苦しい生活ぶりや、汽車の様子、飲み屋(一膳飯屋)や一休茶屋の雑多な中にも人情がある雰囲気など、今では考えられないような場面が描かれており、自分もその時代に溶け込んでいくような気持ちで読めました。

丑松は告白後、師である猪子蓮太郎氏の遺志を受け継ぐべく、解放運動のような活動等にその身を捧げることなく、新天地を求めて出立するところで終わります。

島崎藤村が、何を語りたかったのかわかりませんが、巻末の解説を読むと、この小説の意味がとてもよくわかりますが、『破戒』については、見る角度、立つ位置、解釈する人の人間性によって、大きく評価が分かれる小説かもしれません。

色々な自治体の「人権学習会」、「人権講演会」などでも、度々取り上げられている小説ですし、今を生きる人々に、「わずか100年ほど前に、このような時代があった」ということを認識する為にも読んで欲しい作品です。
★★★3つです。

まさにタイトル通り『望み』by雫井脩介

2018年12月19日 | 小説レビュー
~東京のベッドタウンに住み、建築デザインの仕事をしている石川一登と校正者の妻・貴代美。
二人は、高一の息子・規士と中三の娘・雅と共に、家族四人平和に暮らしていた。
規士が高校生になって初めての夏休み。友人も増え、無断外泊も度々するようになったが、二人は特別な注意を払っていなかった。
そんな夏休みが明けた9月のある週末。規士が2日経っても家に帰ってこず、連絡する途絶えてしまった。
心配していた矢先、息子の友人が複数人に殺害されたニュースを見て、二人は胸騒ぎを覚える。
行方不明は三人。そのうち犯人だと見られる逃走中の少年は二人。息子は犯人なのか、それとも…。
息子の無実を望む一登と、犯人であっても生きていて欲しいと望む貴代美。揺れ動く父と母の思い―。
「BOOK」データベースより

十代の子どもを持つ親としては、身につまされる様な物語でした。

小説ですが、とてもリアリティに溢れていて、大げさなところがなく、読みやすかったです。 

大きな展開や、「あっ!」と驚く大どんでん返しがないのに、ずっと引き付けられっぱなしでした。

「もし、あなたの息子(娘)が殺人容疑で追われているとしたら・・・?」想像するだけでも恐ろしい話です。

現代のネット社会においては、間違った情報誘導によって、実際には犯人でなくても犯人として扱われるような世の中です。

もうそれだけで、個人情報が晒され、家族の実名も住所も何もかもが晒され、家族の被害は計り知れません。

『息子の無実を望む一登と、犯人であっても生きていて欲しいと望む貴代美。揺れ動く父と母の思い』とありますが、同じように妹の雅の心も揺れ動きます。

究極の選択というか、そのとき、心の秤がどちらに傾くのか、僕にもわかりません。

いずれにしても、なかなか読ませる小説でした。

★★★3つです。

最近よく「〇〇に似ているねぇ」といわれます(^_^;)

2018年12月18日 | 雑感・日記的な
世の中には『似ている人が3人いる』と言われております。僕も最近色んな人に似ていると言われます。
そこで、突然ですが『似ている人 BEST3&番外編』をお届けしたいと思います。

まず、「第3位



市川右團次
まぁ、似てるといえば似てると思います。最近は「Yahoo!カード」のCMでも同じみの歌舞伎俳優ですね。僕的には『似てる度50%』ですな。



そして、「第2位



ドニー・イェン(甄 子丹)』
香港の映画俳優です。こないだ職場の後輩に「僕はカンフー映画が好きなんですが、前からShuさんに似てるなぁ~って思ってたんですよ。」と言われて画像を見たら、「似てる!わかるわ!わかる!しかも格好エエやんか!」と、喜んでいました

ドニー・イェンは、1963年7月27日、中国広東省広州市生の俳優であり、映画監督・映画プロデューサー・アクションコレオグラファー・アクション監督・武術家・・・とのこと。言われるまで全然知らなかったんですが、「ブルース・リー」、「ジャッキー・チェン」、「ジェット・リー」に次ぐ第4のアクションスターと呼ばれている、なかなかの達人みたいです。


『スター・ウォーズ』シリーズの『ローグワン』にも出演しており、フォースを信じる盲目の戦士 チアルート・イムウェを演じています。

写真によってはとても似ていると思われますので『似てる度75%』です。




そして栄えある、「第1位



四方田 修平(よもだ しゅうへい)』

似てるでしょ!激似でしょ!もう俺でしょ!?


これも職場の後輩(コンサドーレ札幌ファン)から、「前からテレビで見るたびに『shuさんにメッチャ似てるよなぁ~』って思ってたんで、いつか言おうと思っていました。」と、帰りのバスの車内で画像を見せてもらいました。もう車内で「似てる!似てる!凄いなぁ~」と爆笑でした。

四方田氏の略歴は、千葉県千葉市出身で、1996年から1998年まで日本代表チームスカウティングスタッフ。1998年のワールドカップでは岡田武史監督の下、スカウティング担当として日本代表に同行。
1999年、コンサドーレ札幌監督に就任した岡田武史の誘いを受け、同クラブのアシスタントコーチに就任。2002年からコンサドーレ札幌ユースU-18コーチ、2004年にコンサドーレ札幌ユースU-18監督。
2015年にJFA 公認S級コーチのライセンスを取得し、コンサドーレ札幌のトップチーム監督への就任。最終順位は10位。
2016年に9年ぶりのJ2優勝と5年ぶりのJ1復帰を果たした。 
2017年は最終順位を11位でシーズンを締めくくったが、前浦和監督のミハイロ・ペトロヴィッチ氏が翌シーズンの監督に就任することが発表され、四方田氏は2018年1月にヘッドコーチに就任。現在に至る。

ということです。


もうこれは文句なしの『似てる度100%』ですよね




番外編として、


元サッカー日本代表の『長谷部誠』です。

これも時々言われるのですが、『言われて嬉しい100%』ですね

プレイヤーとしては言うまでもなく、人格識見ともに素晴らしく、将来は指導者になってくれるでしょう。


さぁ、私が似てるといわれている有名人を何人か挙げましたが、何となく全員似てますよね。
ルーツを辿ると同じ先祖かも知れませんな


どこまでも読ませます!『隠蔽捜査5 宰領』by今野敏

2018年12月17日 | 小説レビュー
~衆議院議員が行方不明になっている伊丹刑事部長にそう告げられた。
牛丸真造は与党の実力者である。
やがて、大森署管内で運転手の他殺体が発見され、牛丸を誘拐したと警察に入電が。
発信地が神奈川県内という理由で、警視庁・神奈川県警に合同捜査が決定。
指揮を命じられたのは一介の署長に過ぎぬ竜崎伸也だった。
反目する二組織、難航する筋読み。解決の成否は竜崎に委ねられた!「BOOK」データベースより


今野敏氏の『隠蔽捜査』シリーズの5です。

ホンマに今野敏氏の作品は素晴らしいですね!

警察の内部構造がよくわかりますし、緊迫した場面での判断を下す基準というか、自分の座標軸をしっかりもっていれば、色々なことに対応が可能であるということを示してくれています。

「信頼を勝ち得る人間といのは、こういう人のことを言うんだろうな」と、考えさせられます。

竜崎は確かに素晴らしい警察官僚ですし、上司としては100点でしょう!

今作でも、竜崎の前には、相変わらずの難題が積み上がりますし、警視庁と神奈川県警が同じ警察組織であるのにも関わらず対立しているという、市民レベルでは理解不能な壁が立ちはだかります。

それでも、「竜崎なら!」と期待せずにはいられません。

同じように、ヒーローが難題を解決していくという、『加賀恭一郎』と『竜崎伸也』ですが、加賀の『犯人VS刑事』という構図に対して、竜崎の『竜崎VS旧い体制(常識・前例主義)』壁をぶち破る!という感じです。

加賀の場合、「まぁ、間違いなく簡単にトリックを見破り、そして解決」と、あらすじもエンディングも見えてくるんですよね。

それに対して、竜崎は、展開も相手も不透明ですし、竜崎自身も自問自答し、時には家族の問題で悩み苦しみながらも、何とか答えを導きだしていくといやり方に拍手喝采を送ってしまうのは、男が男に惚れるというような憧れがあります。

いずれにしても、とても面白いシリーズですし、是非、『隠蔽捜査』シリーズを読んでみて下さいな!

★★★☆3.5です!

こわ面白い『黒い家』by貴志祐介

2018年12月15日 | 小説レビュー
~若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。
ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。
ほどなく死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに…。
恐怖の連続、桁外れのサスペンス。
読者を未だ曾てない戦慄の境地へと導く衝撃のノンストップ長編。
第4回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。「BOOK」データベースより


貴志祐介氏の作品は『悪の教典』を読んで以来です。

『悪の教典』があまりにもグロテスクで殺人につぐ殺人で辟易した覚えしかありません。

今回は、とても前評判の高い『黒い家』で、少々期待しながら読み始めました。

小説の評価が高かったからなのか、1999年に映画化されております。

内野聖陽が若槻役で、大竹しのぶが菰田幸子を怪演しており、他にも西村雅彦(菰田重徳)、田中美里(黒沢恵)、石橋蓮司(葛西好夫)、町田康(松井刑事)、小林薫(三善茂)、と、脇役も煌びやかですが、なんせ脚本がイマイチらしく、映画としてはあまり評価は高くありません。

さて、本作の方ですが、序盤から引き込まれる展開で、文章も読みやすいですし、スラスラと進んでいきます。

『日本ホラー小説大賞大賞受賞作』とのフレコミですが、恐怖感はそれほどでもありません。

途中から「これは嫁はんがヤバいヤツや」と予想もつきますし、クライマックスからエンディングまでの展開も、残りページ数の関係から、ある程度予想が出来ます。

それでも、小説としては面白く、保険金詐欺というか保険金殺人が実際には日本全国、いや世界中で日常的に起こっている現実を思うと、薄ら寒くなってきます。

物語の締めくくりでは、アリスノシジミの幼虫とアリの凄まじい戦いを披瀝しながら、こういう事件には終わりがないというところで完となっているのが、ある意味では一番怖かったです。
★★★3つです。