~北海道天塩山麓の開拓村を突然恐怖の渦に巻込んだ一頭の羆の出現!日本獣害史上最大の惨事は大正4年12月に起った。
冬眠の時期を逸した羆が、わずか2日間に6人の男女を殺害したのである。鮮血に染まる雪、羆を潜める闇、人骨を齧る不気味な音…。
自然の猛威の前で、なす術のない人間たちと、ただ一人沈着に羆と対決する老練な猟師の姿を浮彫りにする、ドキュメンタリー長編。「BOOK」データベースより
吉村昭氏の作品は、
自然VS人間の凄まじい攻防『高熱隧道』by吉村昭、凄まじい漂流譚『漂流』by吉村昭に次ぐ三作目です。吉村氏は史実に基づいた小説を書かれるのが得意な歴史小説家であり、時代小説も多く書かれています。
僕が読んだ作品は、戦国武将が活躍するような時代小説ではなく、厳しい自然環境と闘う人間の生き様を描いたものばかりでした。
こういう小説を読んでいると、46億年前に地球の誕生に思いを馳せずにはいられません。
「【地球史】地球46億年の歴史」によると、
・45億5000万年前:微惑星の衝突付加によって地球の基本的な成層構造ができた。
・40億年前:プレートテクニクスの開始、生命の誕生、そして大陸地殻の形成の始まり。
・27億年前:強い地球磁場の天井と酸素発生型光合成生物の浅瀬への進出。
・19億年前:はじめての超大陸の形成
・7億5000万年前~5億5000万年前:海水のマントルへの注入開始、太平洋スーパープルームの誕生と硬骨格生物の出現
・2億5000万年前:古生代と中生代の境界での生物大量絶滅
・500万年前~現在:人類の誕生と科学のはじまり
という推論が展開されていますが、生物(微生物ではない動物など)が誕生したのが5億年前、そして恐竜が繁栄した1億4500万年前の白亜紀末期に小惑星の衝突が原因で生物が大量絶滅しました。
そして、地球の生命の歴史、生物誕生の歴史をみれば、わずか500万年前に人類の祖先が誕生しているんですね。人間の一生に例えると、人間以外の動物たちを100歳とすれば、人類はわずか3歳の乳児ともいえます。
その3歳児の人類が生まれてからわずか3年の間に地球上のあらゆる環境を自らの手で造り替え、自分たちが生きやすいように動植物を駆逐し、地球環境を破壊し続けています。
その誤りに気付いた人類は、ようやく30年ほど前から気候変動に関する国際連合枠組条約が叫ばれ出し、様々な角度から自然と人間の共存について議論がなされています・・・。
さて、話は大きく逸れてしまいましたが、本作の『羆嵐』も大正時代の北海道の三毛別という地域で実際に起こった『三毛別羆事件』です。
体重340kg、体長2.7mのヒグマって想像できます?
この図の通り、クマとか動物の体長って人間のように直立で頭の先からかかとまでじゃなくて、四本足で立った状態の鼻先から尻尾までの長さなんですね。
よって、体長2.7mのクマが二本足で立つと、約1mぐらい伸びると思うので、3.7mですよ!3.7mといったら、京都市バスや大型トラックの天井までの高さですからね!本当に怪物ですよ!そんなヒグマが目の前に現れて襲ってくるなんて想像できます?凍りつきますよね。
北海道苫前郡苫前村大字力昼村三毛別の現地には、当時の開拓村の家屋の模型とともに、再現された羆の恐ろしい姿があるそうです。
ヒグマの模型は決して誇張ではなく、実際の質感をリアルに再現していると思います。北海道に行く機会があれば、是非とも訪れてみたいです。
気になったのは開拓村の家の再現模型なのですが、厳寒の北海道で、この草葺きの壁と屋根ですよ!作中にも「藁蓆一枚の玄関」という表記がありますし、暖房器具なんかもちろんなく、囲炉裏に薪をくべて暖をとるのみで暮らしておられたんですね。大正初期とはいえ、本当に想像を絶する生活様式です。
さて、本書のストーリーは、人間が想像を絶する恐怖から衝撃を受けた時に、集団としてどのような心理が働くのか?ということが描かれています。
主人公と言える人物はなく、あえて言うならば区長さんでしょうか?それだけに人物描写というよりも、開拓村で暮らす人々全体としての集団心理が描かれています。
銀四郎という熊撃ち名人の老人が登場してからは、あっさりと事件が解決して、「めでたしめでたし」となると思いきや、これまた何とも言えない後味の幕切れとなります。
過去にこういう凄惨な事件が起こったということを記憶しておくことは大切だと思うので、機会があれば読んでください。
★★★3つです。
こちらはまだX14アイアンでがんばっています
ご健康を祈ります!
x14使ってはるんですね!ホンマに良いクラブですよね。
大切に使い続けて下さい。