「心ゆたかな暮らしを」  ~Shu’s Page

小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

狂気と懺悔の無限ループ『死の棘』by島尾敏雄

2018年05月27日 | 小説レビュー
〜思いやりの深かった妻が、夫の「情事」のために突然神経に異常を来たした。
狂気のとりことなって憑かれたように夫の過去をあばきたてる妻、ひたすら詫び、許しを求める夫。
日常の平穏な刻は止まり、現実は砕け散る。
狂乱の果てに妻はどこへ行くのか?―ぎりぎりまで追いつめられた夫と妻の姿を生々しく描き、夫婦の絆とは何か、愛とは何かを底の底まで見据えた凄絶な人間記録。「BOOK」データベースより


まぁ〜読みにくいことこの上なし!こんなに苦労しながら読み終えた本は初めてです
途中で何度となく「もう返却しようか・・・」と思ったことか

文章が読みづらいということもあるのですが、何より、『懺悔と狂気の無限ループ』なんです。暗い暗い背景の中で、物語の展開の中にも全く明るい兆しが見られず、家族4人が崩壊していく様は、本当に読んでいてしんどいです

「それでも最後には何らかのどんでん返しとか、驚愕の結末が待ってるはず!だってこんなに評価が高いんだもの・・・」と、一縷の望みを託しながら、歯を食いしばって読みきりましたよ。

しかしながら、「この手紙は妻の狂言だった!」とか、「浮気相手の女性は実は!」とか、何かを期待したのですが、結局、何にもありませんでした・・・

私小説との記述も見られますので、筆者自身の実体験に基づいているらしく、あまり突拍子もないことは起こりません。(しかしながら、夫婦が狂っていく姿が何度となく出てくるので、本当なら凄い夫婦ですよね)

さて、この作品は、「罪と罰とは?」、「一度罪を犯したものは生涯許されてはいけないのか?」と、人間の本質、人格の奥底にあるものとはを問いかけた立派な文学作品の筈ですが、僕には響きませんでした。

ある人のレビューで、「20代で読むことを挫折して、50代で再読したところ、やっと読めました。」とあります。

あと3年で50代になる私ですが、『死の棘』を読むには、まだまだ精神年齢が低いのでしょうね(-_-;)

残念ながら、
★★2つです。

NHK朝ドラ『半分、青い』の永野芽郁が可愛すぎる件

2018年05月25日 | 雑感・日記的な
ストーリー紹介~ 大阪万博の翌年、1971年。岐阜県東濃地方のとある町の小さな食堂に、鈴愛(すずめ)という女の子が生まれた。
元気な子だったが、小学生のとき、病気で方耳を失聴してしまう。
そんな彼女を励ましたのは、両親と同じ日に同じ病院で生まれた幼なじみの男の子だった。
高校卒業後、持ち前のユニークな感性を生かして少女漫画家を目指し、鈴愛はバブル真っ只中の東京に出る・・・。

という話です。

ヒロインが1971年生まれという、まさに同い年の設定なので、見ていて共感できる部分がかなりあります。

北川悦吏子さんの脚本も素晴らしく、キャストも良いので、毎回見ていて「笑いあり涙あり」で楽しんでます。

それにしても、永野芽郁が本当に可愛らしいんですよ。笑顔やキョトンとした表情、どれをとってもキラキラ輝いていて、朝から元気をもらってます。



今後ますます活躍してくれることを期待します!

気分悪し・・・『隣の家の少女』byジャック・ケッチャム

2018年05月19日 | 小説レビュー
1958年の夏。当時、12歳のわたし(デイヴィッド)は、隣の家に引っ越して来た美しい少女メグと出会い、一瞬にして、心を奪われる。メグと妹のスーザンは両親を交通事故で亡くし、隣のルース・チャンドラーに引き取られて来たのだった。隣家の少女に心躍らせるわたしはある日、ルースが姉妹を折檻している場面に出会いショックを受けるが、ただ傍観しているだけだった。
ルースの虐待は日に日にひどくなり、やがてメグは地下室に監禁されさらに残酷な暴行を―。
キングが絶賛する伝説の名作。「BOOK」データベースより


以前読んだ小説の解説で、「ジャック・ケッチャム氏の『隣の家の少女』などが・・・」という記述があり、「スティーブン・キング氏も『ジャック・ケッチャムは私のヒーローだ』と絶賛!」などという記述を見て、「いつか読んでみよう」と思っていました。

この『隣の家の少女』は紹介文に書いてある通り、とても酷い内容です。虐待が酷くて読んでいるのもしんどいです。

「最後はそうなるやろうな」と思っていた通りの展開で、そんなに絶賛されるほどのものでもなかったと思います。

これを読んでいて、あの有名な「コンクリート詰め殺人事件」を思い出しました。

作中の主人公も語っているように、その現場に居合わせてしまうと、正義感とか常識とか、そういうものが吹っ飛んでしまって、流れに巻き込まれるというか、自分自身の内側から別の人格が生まれてしまうような気持ちになるようです。集団心理がエスカレートした感じですね。

いずれにしても、読んでいて楽しい小説ではないので、あまりオススメはしません。

★★☆2.5です。

プロ棋士を目指した者たち・・・「将棋の子」by大崎善生

2018年05月15日 | 小説レビュー
奨励会…。そこは将棋の天才少年たちがプロ棋士を目指して、しのぎを削る“トラの穴”だ。
しかし大多数はわずか一手の差で、青春のすべてをかけた夢が叶わず退会していく。
途方もない挫折の先に待ちかまえている厳しく非情な生活を、優しく温かく見守る感動の一冊。
第23回講談社ノンフィクション賞受賞作。「BOOK」データベースより


大崎善生氏の『聖の青春』や、瀬川晶司氏の『泣き虫しょったんの奇跡』などで目にした棋士の名前が色々と出てきます。

この奨励会の昇段基準(年齢制限)は、満21歳の誕生日までに初段、満26歳の誕生日を含むリーグ終了までに四段になれなかった場合は退会となる。とあります。
『泣き虫しょったんの奇跡』では、四段(プロ)に昇段する為の「三段リーグ」の厳しさについて、詳しく書かれていますが、だいたい参加人数は30人ほど、半年かけて18回の対局を行い、上位2名が晴れて四段に昇段できます。

そもそも、この三段リーグに上ることさえ至難の技なんですよね。日本全国津々浦々の「天才将棋少年」と呼ばれた子どもたちが、年齢制限をはじめとする様々なプレッシャーと戦いながら、一握りの若者だけが夢を実現させてプロになっていきます。

その陰で、過酷な奨励会時代を戦い抜く、(本書の中では海で生まれたシャケの稚魚が川を遡上していく様に例えられています)、昇りきることが出来ず、夢破れて将棋会館を去っていく姿あります。

『将棋世界』の編集長として勤めた著者は、プロになれなかった多くの子どもや青年の姿、そしてその後の人生を伝えなければならないと一念発起し、将棋連盟を退職して「将棋の子」を上梓します。

現在、将棋界の話題を席巻している藤井聡太六段は、2012年9月、小学校4年生の時に奨励会に6級で入会し2016年4月に三段、そして2016年10月に四段で、丸4年でプロ入りです。
さらに凄いのが羽生さんで、1982年12月、小学校6年で6級入会、1984年初段、1985年12月四段と、丸3年でプロですよ。

本書を読むと、羽生善治氏や、藤井聡太六段が、いかに「超・超人級」の傑物であるかということがわかります。

奨励会を退会した青年たちの様々な人生、人間模様が描かれていますが、胸に迫るものがあります。是非、将棋の世界に興味のない方も、一読の価値アリですよ。

★★★3つです。

最後にスパッと斬られます!『リバース』by湊かなえ

2018年05月12日 | 小説レビュー
〜深瀬和久は平凡を絵に描いたようなサラリーマンで、趣味らしいことといえばコーヒーを飲むことだった。
その縁で、越智美穂子という彼女もできてようやく自分の人生にも彩りが添えられる。
と思った矢先、謎の告発文が彼女に送りつけられた。
そこにはたった一行、『深瀬和久は人殺しだ』と書かれていた。
深瀬を問い詰める美穂子。深瀬は懊悩する。ついに“あのこと”を話す時がきてしまったのか、と。「BOOK」データベースより


相変わらず、湊かなえさんの小説は、切れ味の鋭い日本刀のようなエンディングですね。

散りばめられた伏線、その回収方法、巧みなキャラクター構成、無駄なく一気にクライマックスまで持っていく筆力、まさに一流の作家さんです。

『イヤミスの女王 』との異名を持つ湊かなえさんですが、今作は、「あ〜、割と爽やかに終わるのね」と安心していた最後の最後で、まさに居合い斬りの達人よろしく、「スパッ!」と、息の根を止められます( ; ゜Д゜)

読み終えた後で、「う〜ん・・・。」と、色々と考えさせられましたね。

『リバース』というタイトルも秀逸で、リバースの意味としては皆さんご存知の通り

1 逆にすること。反対方向へ動かすこと。「リバースギア」

2 テープレコーダーで、往復録音、また再生の逆走行のこと。「テープが自動的にリバースする」

3 俗に、飲食したものを吐くこと。嘔吐 (おうと) すること。

とありますが、主人公の和久が、亡くなった友人の足跡、人生を辿って、歴史を遡っていき、その過程で、和久の心もいったり来たり往復し、最後の最後で、まさに嘔吐するような気持ち悪さを胃の中に溜め込んで幕が降ります。

最近、ミステリーものにヒット作がなかったのですが、これは中々のミステリーですね!

追伸:蕎麦を美味しそうに食べる場面が印象に残っていたので、今晩は嫁さんと二人で天ざる蕎麦を食べに行きましたよ(^^)d

★★★☆3.5です。

言葉遊びは控えめに『人間小唄』by町田康

2018年05月10日 | 小説レビュー
〜「情熱だよ。やむにやまれぬ情熱だよ」。
こんな小説、ほかの誰にも書けない。
パンク純文学作家が放つ、空前絶後の書き下ろし長編小説。「BOOK」データベースより


町田康作品は、相変わらず奇妙キテレツなセリフなどが多く、文章を読みとくのに苦労します。

しかし、この作品はかなりのキテレツ具合で、とてもしんどいです。

作中に、小説家を拉致したあとで与える3つの試練、「1『短歌を作る』、2『ラーメンと餃子の店を開店し人気店にする』、3『暗殺』のどれか一つを選びなさい。」というところがあるんですが、ここを読んだときに、「相変わらず町田氏は、ワケわからんね?」と思ったんですね。

これには、作者の深い意図があったと、巻末の都甲幸治氏の解説では語られています。


いずれにしても、言葉遊びの域を大きく逸脱しており、講談社の担当者も、よくこれを許したなぁ?と思わせられます。

評価が難しいところですが・・・、

★★★3つです。

東野テイストを少し外した良作『ダイイング・アイ』by東野圭吾

2018年05月08日 | 小説レビュー
〜記憶を一部喪失した雨村槇介は、自分が死亡事故を起こした過去を知らされる。
なぜ、そんな重要なことを忘れてしまったのだろう。
事故の状況を調べる慎介だが、以前の自分が何を考えて行動していたのか、思い出せない。
しかも、関係者が徐々に怪しい動きを見せ始める…。「BOOK」データベースより


職場の同僚のオススメで貸してくれたので、久しぶりに東野圭吾を読みましたが、相変わらず見事な筆力に脱帽ですね!

伏線の回収は勿論のこと、謎が謎を呼び、「おいおい、ちょっと・・・、どうなっていくんや?」と、不安にさせられますが、とても綺麗に無理なくまとめてくれています。

東野圭吾氏の作品を読んでいるんですが、誰か違う作家さんの作品を読んでいるような気持ちになるくらい、いつもの東野テイストとは違う雰囲気でしたね。

少し、オカルト&ホラーがかったミステリーで、なかなか恐ろしいものがありました。そして教訓めいたこともあり、色々と考えさせられましたね。

いずれにしても、「もう残りページがぁ〜(ToT)」って思うくらい、一気にクライマックスまで持っていかれます。

非常に完成度の高い作品でした。

★★★☆3.5です!

無理筋をまとめる力はさすが!『オー!ファーザー』by伊坂幸太郎

2018年05月06日 | 小説レビュー
〜父親が四人いる!?高校生の由紀夫を守る四銃士は、ギャンブル好きに女好き、博学卓識、スポーツ万能。
個性溢れる父×4に囲まれ、息子が遭遇するは、事件、事件、事件―。
知事選挙、不登校の野球部員、盗まれた鞄と心中の遺体。
多声的な会話、思想、行動が一つの像を結ぶとき、思いもよらぬ物語が、あなたの眼前に姿を現す。
伊坂ワールド第一期を締め括る、面白さ400%の長篇小説。「BOOK」データベースより


以前、「確か読んだはずやけどなぁ・・・?」と、思って、ブログを振り返ってみたんですが、どうも記録にないので、図書館で借りてきて読み出しました。

読み出してすぐに、「知ってる!読んだ!」と思い出しましたが、せっかくなので、ブログ用に読み返しました。

『スリーメン&リトルベイビー』とか、『マンマ・ミーア』とか、そんな臭いも漂います。

岡田将生主演で映画化もされているんですが、父親四人のキャストを見て「う〜んどうでしょう?」というのが正直な感想です。

さて、本編ですが、相変わらず、伊坂幸太郎らしい、散りばめられた伏線を最後に一気に回収していく様は見事です。

ストーリー的には「これはないわ(^_^;)」という、無理筋の設定ですが、テンポが良いので、読んでいてイライラしません。

名言も、ほどよく出てきており、特に『葵』の『対女性レクチャー』は、「10代の時に聞いておきたかったわぁ〜」と思わされました(^_^;)

まぁ、無理筋を無理なくまとめるために、色々と都合良すぎることが起こりますが、そこは伊坂氏に免じて寛大な心で読みましょう。

時間がある方はどうぞ( ^-^)ノ

★★★3つです。

やっぱり美味い!『うを亀』さん(^^)d

2018年05月05日 | グルメ
GWで、娘たちも出掛けているので、嫁さんの両親と四人で「美味しいもんを食べに行こう!」と、ドライブがてら、園部の名店『うを亀』さんに行くことにしました。

GW中のお昼なのに、お店は満席で、「予約してきて良かったねぇ〜(^^)d」と、12:00すぎに席に着きました。

色々とあるメニューの中で、めっちゃ迷ったんですが、やはり一番人気お気に入り、『市場海鮮丼セット(1,480円)』に決めました!

いつ食べても、ホンマにお魚が新鮮で種類も多く、ボリューム満点&味は抜群です!

一気に食べたんですが、お客さんが引くのを待って、お店の大将と旧交を温め、本当に豊かなひとときとな りました。

それから、同じ園部の喫茶店、『Snooze』さんに行くことにしました。
こちらも、とても良い雰囲気のお店で、コーヒーも美味しいんです。

静かな店内で、笑顔が素敵な穏やかなマスターとの会話、そしてガラス越しに広がる田園と里山の風景を楽しみながら、のどかで豊かなひとときを過ごしました。

11:00に実家を出て、15:30過ぎに戻ってきたんですが、なかなか楽しく美味しい、親孝行が出来たと、喜んでます。

名作ですが・・・『嵐が丘』byエミリー・ブロンテ(訳:河島弘美)

2018年05月02日 | 小説レビュー
作者の故郷イギリス北部ヨークシャー州の荒涼たる自然を背景とした、二つの家族の三代にわたる愛憎の悲劇。
主人公ヒースクリフの悪魔的な性格造形が圧倒的な迫力を持つ、ブロンテ姉妹のひとりエミリー(1818‐48)の残した唯一の長篇。新訳。「BOOK」データベースより


「世界の名作10選」とか、「古典中の古典」とも言われ、映画化や舞台でも数多く演じられている名作です。

筆者のエミリー・ブロンテさんは、長編小説としては、この一作のみのを発表されて、わずか30歳の若さでこの世を去ります。

そのせいでもないでしょうが、世界中で訳され、何十万、何百万冊という『嵐が丘』が刷られました。

その後、沢山の小説や映画の中で『嵐が丘』の引用や、小説そのものが登場したりします。

さて、本編ですが、日本でも数人の訳者さんが訳されており、色んな意見がありましたか、「河島弘美さんの訳が読みやすいし、誤訳が少ないのでは?」との評判だったので、こちらを借りました。

上下巻合わせて600頁以上にわたる長編小説なのと、登場人物が少ない割に、ほとんどが親戚なため、苗字と名前がよく似ていて、初めの方は関係性を理解するために、家系図を見ながら読み進めました。

1800年代初頭のイギリスの地方の村の話なので、時代背景とか人間関係を理解するのにも時間がかかったので、上巻は特に苦労しましたね。

しかし、下巻に入ってからは加速度的に読むスピードも上がり、スッキリと読み終えられました。

まぁ、感想としては、正直なところ「可もなく不可もなく」です。

「何故こんなに世界中で大ヒットしているのか?」と、あまり理解出来ませんが・・・。

まぁ、名作と言われているものは、とりあえず読んでおきたいので、義務的に読了したという感じですかね?

★★★3つです。