「心ゆたかな暮らしを」  ~Shu’s Page

小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

いよいよラストシーズン!

2017年05月27日 | 家族・友達
高三の長女にとって、バレーボール生活のラストシーズンに入りました。

今日は、公式戦のインターハイ予選です。

無事に予選を突破し、6月4日からのトーナメントにいきます。

何とか上位を目指して、頑張ってほしいものです!

こんな時代もあったのね「官僚たちの夏」by城山三郎

2017年05月26日 | 小説レビュー
〜国家の経済政策を決定する高級官僚たち――通産省を舞台に、政策や人事をめぐる政府・財界そして官僚内部のドラマを捉えた意欲作。


昭和30年代の、まさに「高度経済成長期」に入る頃の日本の通産官僚たちの熱い闘いぶりを描いた作品です。

『ミスター通産省』と呼ばれた実在の人物をモデルに書かれた、半ノンフィクションという感じですかね?

それだけに、ドラマチック過ぎる展開や大どんでん返しもありませんし、キャラクターを描くことに注力しすぎて、ややストーリーの深さや厚みに欠けます。

世界一優秀だといわれて久しい日本の官僚たちですが、時代は違えども、こんなにも命を削って仕事をしているんだな、と思わされます。

主人公のキャラクターが破天荒過ぎて「もうちょっと上手にやったらええのに」と、ハラハラ、イライラします。

暴走機関車に引っ張られて、それでも精一杯付いていく周りの後輩たちは、残念ながら、それぞれ悲しい末路を迎えます。

いまの日本の平和と繁栄があるのは、戦後の荒廃した日本をわずか20年足らずで再び立ち上がらせてくれた、大正生まれの人たちのガムシャラな働き以外の何ものでもありません。

自分たちのお祖父ちゃん、お祖母ちゃん世代の人たちの感謝感謝です。

★★★3つです。

京ことばにお腹いっぱい「告白の余白」by下村敦史

2017年05月24日 | 小説レビュー
~家を出た兄が実家の農地の生前贈与を求めて突然帰ってきた。しかし、「2月末日までに清水京子という女性が来たら土地を譲渡してほしい」という遺書を記し自殺。
兄はなぜ死んだのか。そして、女は何者なのか。期限の意味は。
死の真相を知るため、弟の英二は一人京都へ向かうが―そこは、虚実入り混じる言葉で築かれた伝統の町。
腹黒、嫌味、皮肉に塗れた“告白”が真実を覆い隠す。最後の1頁まで気が抜けない!表裏、黒白、真偽が次々と逆転するノンストップミステリ。「BOOK」データベースより


京都(祇園)が舞台のミステリー小説です。作者の下村敦史氏は京都出身らしく、間違いの無い「京ことば」で全編が埋め尽くされております。

京都人の僕(作中では山科は京都に含まれていないらしいが)をもってしても、知らない京ことばが出てきたり、祭りや風習など、京都独自の歴史文化、伝統などが、しつこいぐらいに描かれており、やや辟易します。

京都が好きで、伝統文化に興味がある人は楽しんでいただけるかも知れませんね。

ストーリー的には、最後の方で、どんでん返しがあり、謎が明らかになっていき、オチもついてます。

しかしながら、随所に「京都人は底意地が悪く、本音は見せへん、イケズな人」というスタンスが貫かれており、読んでいて気持ちがよい小説ではありません。結果として「しんどい」小説でした。

★★☆2.5です。

期待通りには・・・「明日の記憶」DVD

2017年05月22日 | 映画・音楽
~『トリック 劇場版』の堤幸彦監督が、山本周五郎賞を受賞した荻原浩の同名小説を渡辺謙、樋口可南子共演で映画化したドラマ。
若年性アルツハイマー病に突如襲われた50歳の働き盛りのサラリーマンと、そんな夫を懸命に支えようとする妻との絆を綴る。
「キネマ旬報社」データベースより


荻原浩氏の原作本を読んで、「この神々しいラストシーンを堤幸彦監督が、どのように映像化するのか観てみたい!」という思いで、図書館で借りました。

結論から言うと、「残念」というほかありませんね。やはり、小説で表現されている描写を映像化するのは難しいですよね。

そもそも、中身の濃い小説を2時間ほどの映像でまとめきるのは本当に至難の業だと思います。

それでもキャストが素晴らしく(渡辺謙、樋口可南子、吹石一恵、坂口憲二、田辺誠一、袴田吉彦、水川あさみ、香川照之、及川光博、木梨憲武、渡辺えり、大滝秀治、遠藤憲一などなど)、本当に豪華キャストでしょう!?特に大滝秀治さんが最高でした!

大滝秀治さんは、2012年に鬼籍に入られ、もうあの味のある名演技を観る事が出来ないのは悲しいです(T_T)

★★★3つです。

構成が巧い!「七つの会議」by池井戸潤

2017年05月20日 | 小説レビュー
〜トップセールスマンだったエリート課長・坂戸を“パワハラ”で社内委員会に訴えたのは、歳上の万年係長・八角だった―。
いったい、坂戸と八角の間に何があったのか?パワハラ委員会での裁定、そして役員会が下した不可解な人事。
急転する事態収束のため、役員会が指名したのは、万年二番手に甘んじてきた男、原島であった。
どこにでもありそうな中堅メーカー・東京建電とその取引先を舞台に繰り広げられる生きるための戦い。
だが、そこには誰も知らない秘密があった。筋書きのない会議がいま、始まる―。“働くこと”の意味に迫る、クライム・ノベル。「BOOK」データベースより

池井戸潤の二作目です。やっぱり売れっ子作家さんは違いますね!とっても読みやすい!面白いです。

世の中には、大企業、中企業、小企業、個人事業主などの分類があり、またその企業規模内にも、社長、役員、平社員、パート従業員など、職階も様々です。

この「七つの会議」には、その全てに当てはまる人々が登場します。

そして、それぞれの視点でそれぞれの立場で、使命感や正義感、欲望、怒りなどの思いを通して、七つの短編集が一つの物語を築き上げていきます。

まさに池井戸潤氏の真骨頂でしょう!

とても読みやすく、グイグイ引き付けられる展開に一気に読みきってしまいました。

企業の仕組みや商売の基本のようなことが、わかりやすく書かれているので、池井戸潤の入門編としても最適な読み物と言えるかも知れません。
★★★☆3.5です。

40歳を過ぎてから読むべし「無銭優雅」by山田詠美

2017年05月17日 | 小説レビュー
〜友人と花屋を経営する斎藤慈雨と、古い日本家屋にひとり棲みの予備校講師・北村栄。お金をかけなくとも、二人で共有する時間は、“世にも簡素な天国”になる。
「心中する前の心持ちで、つき合っていかないか?」。人生の後半に始めた恋に勤しむ二人は今、死という代物に、世界で一番身勝手な価値を与えている―。恋愛小説の新たなる金字塔。内容「BOOK」データベースより


初、山田詠美作品です。「消された一家」を読んで、重苦しい気持ちになっていたので、とぉ〜ってもフワフワした文体に癒されました。

42歳の独身男女が恋に落ちて、まぁ何とも言えない『おバカ』な二人になっていきます。

二人の会話や仕草が、とても心地よく、読んでいて優しい気持ちになれます。

ヒロイン・慈雨の一人称で語られていくのですが、「冷静と情熱の間に」のように、お相手の栄の側から見た恋愛模様を読んでみたくなりました。

大きな事件や、どんでん返しもなく、フワフワしたまま、すぅーっと物語がエンディングを迎えます。

ところどころに、名作と言われている恋愛小説の一文が効果的に挿し込まれており、独特の空気感に拍車がかかります。

「こんな人生、こんな恋をしてみたいなぁ〜」と思わせてくれる物語でした。

★★★3つです。

こんなことが現実に『消された一家 北九州・監禁連続殺人事件』by豊田正義

2017年05月14日 | 小説レビュー

『消された一家』by豊田正義

〜七人もの人間が次々に殺されながら、一人の少女が警察に保護されるまで、その事件は闇の中に沈んでいた―。明るい人柄と巧みな弁舌で他人の家庭に入り込み、一家全員を監禁虐待によって奴隷同然にし、さらには恐怖感から家族同士を殺し合わせる。まさに鬼畜の所業を為した天才殺人鬼・松永太。人を喰らい続けた男の半生と戦慄すべき凶行の全貌を徹底取材。渾身の犯罪ノンフィクション。内容「BOOK」データベースより


黒い看護婦ー福岡四人組保険金連続殺人』に続く、凶悪殺人事件ドキュメンタリー第2弾です。

神戸にいく行き帰りで3時間あったので、一気に読みきってしまいました。

本当にこんなことが現実に起こっていたなんて信じられないぐらいの事件です。

犯罪に巻き込まれていく過程で、気が付けば、家族が互いにがんじがらめに縛り合い、階級がつくられ、・・・、被害者が加害者に・・・、そして最愛の家族に手をかけてしまうという、逃れられない、どうしようもない蟻地獄のような状態に追い込まれていく様が如実に描かれており、尼崎の事件を思い起こします。

被害者となった緒方家の人々は、度重なる虐待によって、精神に異常をきたし、正常な判断が出来なくなってしまいます。

「なんで逃げられなかったのか?」、「なぜ警察に通報できなかったのか?」など、第三者から見れば不思議に思うかもしれませんが、松永太は、それほど巧みに家族を操縦していたんですね。

5歳の男の子から、61歳のお祖父ちゃんまで、一家6人が皆殺しとなった最悪の結末を迎えますが、その数ヶ月間の密室での苦痛は想像を絶する世界だったと思います。

2017年現在、主犯の松永太には死刑、共犯の内縁の妻、緒方純子には無期懲役が確定しています。松永は拘置所で死刑執行の日を待っている状態であるとのこと。

最後に、筆者と共犯の緒方純子との拘置所でのやりとりが書かれております。

犯した罪は罪として、生きながら贖罪の日々を過ごすことになった緒方純子は、松永のマインドコントロールから解放され、人間味を取り戻したような言葉や表情に、少しホッとするような気がしました。

とても残忍で凄惨な事件でありながら、尼崎の事件ほど全国ネットで取り上げられなかったのは、報道機関が自主規制したとのこと。それほどの事件だったんでしょう。

こういうドキュメンタリーものは、数多く出ています。次は尼崎のドキュメンタリーを読む予定ですが、あまりにも残酷な内容だったので、しばらく普通の小説を読んで、リハビリをしてからにしたいと思います。

★★★3つです。


六甲アイランドのバラ園

2017年05月13日 | 雑感・日記的な

仕事の関係で、六甲アイランドに来ました。
ちょうど、今日からバラ園のオープニングらしく、開会セレモニーで神戸ワインが配られていました。

小さくまとまったバラ園ですが、地元のボランティアの方々が丁寧にお世話をされているらしく、とっても芳しい香りが漂っていましたよ。

美しいエンディング「明日の記憶」by荻原浩

2017年05月12日 | 小説レビュー
~広告代理店営業部長の佐伯は、齢五十にして若年性アルツハイマーと診断された。
仕事では重要な案件を抱え、一人娘は結婚を間近に控えていた。
銀婚式をすませた妻との穏やかな思い出さえも、病は残酷に奪い去っていく。
けれども彼を取り巻くいくつもの深い愛は、失われゆく記憶を、はるか明日に甦らせるだろう!山本周五郎賞受賞の感動長編、待望の文庫化。「BOOK」データベースより


感動巨編ということで図書館で借りました。渡辺謙主演で2006年に映画化されているようです。


とても文章が読みやすく、スラスラと読めました。ところどころで、こみ上げてくるような描写がありましたが、涙がポロリとまではいきませんでした。

私も今年で46歳になる訳ですが、「俺って若年性痴呆症ちゃう?」と思うことも時々あるぐらい、人の話を聞いた記憶が無かったり、車で行き先を忘れたり、久しぶりに会った人の名前が出てこなかったり・・・。
読んでいる途中で、少し怖くなってきました。

主人公のアルツハイマーの進行度合いに合わせて、漢字の誤字が出てきたり、漢字そのものが少なくなってきたり、同じ文章が2回出てきたり(主人公が作中で日記を書いている為)して、アルツハイマーを実感することが出来ます。巧みな描写だと感心しました。

まるで闘病記を読んでいるようなリアル感があり、筆者の荻原浩氏の丁寧な取材の賜物かなと感服しました。

エンディングの奥多摩での情景はとても美しく神々しくもあります。
このエンディングを映像で観たくなり、DVDも予約しましたよ(^_^)v

予防の為に出来ることはそれなりにあります(野菜や青魚を摂るなど)し、適度な緊張感を持って、頭を使いながら日々暮らしていきたいと思います。

★★★3つです。