「心ゆたかな暮らしを」  ~Shu’s Page

小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

もう少し意味を持たせて欲しい。『愛するということ』by小池真理子

2021年08月26日 | 小説レビュー

『愛するということ』小池真理子

 

~人は人を愛する時、いつもどこかで本当の自分、飾り気のない自分をさらけ出してしまうのだろう。

相手に見せたい自分、こんなふうに見てもらいたいと願う自分は、実は常に、中身のない、実体のない、ただの脱け殻にすぎないのだ―。

愛の始まりから失恋、絶望、再生までを描く小池文学の決定版、本格恋愛小説。「BOOK」データベースより

 

小池真理子さんの作品は、『恋』から始まり、『二重生活』、『欲望』、『無伴奏』、『ソナチネ』、『冬の伽藍』、『死の島』、『沈黙のひと』、『無花果の森』、『虹の彼方』、『望みは何かと聞かれたら』と、11作品を読んできました。

この『愛するということ』で、12作品目になりますし、伊坂幸太郎、東野圭吾と並ぶ、僕のトップ3に入る作家さんです。

とにかく描写が美しい、言葉、比喩、感情模写、全てにおいて洗練されている文章を書かれます。

この『愛するということ』も、なかなか良い作品なんですが、主人公に共感することが出来ず、何ともいえない作品です。

野呂との失恋の後、自暴自棄になりかけている時期に柿村に出会うんですが、これまた何とも言えない感じで、終始、心の中にまとわりつく違和感で、あんまりダイブ出来ませんでした。

タイトルがストレートなだけに、もう少し深みや意味を持たせてくれるストーリーにしてもらえたら、「なるほど」と思えたかも知れません。

★★★3つです。


初読!文章がいい!『若冲』by澤田瞳子

2021年08月13日 | 小説レビュー

『若冲』by澤田瞳子

 

~奇才の画家・若冲が生涯挑んだものとは――

今年、生誕300年を迎え、益々注目される画人・伊藤若冲。 緻密すぎる構図や大胆な題材、新たな手法で周囲を圧倒した天才は、いったい何ゆえにあれほど鮮麗で、奇抜な構図の作品を世に送り出したのか? デビュー作でいきなり中山義秀賞、次作で新田次郎賞を射止めた注目の作者・澤田瞳子は、そのバックグラウンドを残された作品と史実から丁寧に読み解いていく。
底知れぬ悩みと姿を見せぬ永遠の好敵手――当時の京の都の様子や、池大雅、円山応挙、与謝蕪村、谷文晁、市川君圭ら同時代に活躍した画師たちの生き様も交えつつ、次々に作品を生み出していった唯一無二の画師の生涯を徹底して描いた、芸術小説の白眉といえる傑作だ。 「BOOK」データベースより

 

もともと時代小説好きの私、特に江戸時代から明治にかけての歴史物は大好きです。

先日、『星落ちて、なお』で、第165回直木賞を受賞された澤田瞳子さんの講演を9月に聞きに行く予定があるので、「『星落ちて、なお』は人気爆発で借りられへんやろうけど、何かええのないかな?」と、Amazonのレビューを見ていると、『若冲』の評価が高かったので、「京都人なら若冲は読んでおかなあかんやろ」と、借りてきました。

錦市場商店街の入口に若冲の絵が飾られているように、

錦市場と若冲は深い縁については、ある程度知っていたんですが、その人となりや、あの精緻で奇抜で、大胆な色使い・構図による名画が、どのようにして生み出されたのかは知りませんでしたし、読んでよかったです。

澤田瞳子さんの文章は、歴史小説なのに、とても読みやすく、京ことばも良い味を出していて、とても好感が持てる文章でした。

歴史ものにありがちな、武士の立身出世物語や、身分制度の格差による悲しい恋愛もの、また武士道精神にスポットを当てたものなどなど、歴史ものの主人公がどのような立場の人であったとしても、とても楽しめる大好きなジャンルなんですが、この『若冲』はご存じのとおり、商家の跡取りとして生まれた絵師なんですよね

それだけに、この絵師の人生の浮き沈みや、若冲を取り巻く人間模様などで、「どこまで盛り上がる小説になるのか?」と、とても興味深く読ませてもらいましたが、なんの心配もいりませんでした

序盤から澤田氏の筆にグイグイと惹き込まれ、あっという間に読み切ってしまいましたよ

澤田瞳子さんの文章は優しいし、描写も巧みで美しく、情景が目に浮かぶようですし、絵の解説もわかりやすく素晴らしかったです。本当に好感が持てる作家さんで、一作でファンになりました

若冲自身の性格が、かなり偏屈で人嫌い、心の奥底に深い闇を抱えている暗~い人物なんですが、その若冲の内面の素晴らしさを捉え、周りの登場人物たちと上手く絡めて、クライマックスは大変な盛りあがりを見せた後に、見事に昇華させてくれました。

85歳という江戸時代ではギネス的な年齢まで生き抜いた若冲は、多くの作品を残しています。ぜひ一度、本物を見に行きたいと思います。

★★★☆3.5です。

 


戦国時代それぞれの生き方『八本目の槍』by今村 翔吾

2021年08月11日 | 小説レビュー

『八本目の槍』by今村 翔吾

秀吉の配下となった八人の若者。武勲を上げた七人は「賎ケ岳の七本槍」とよばれるようになる。「出世」だけを願う者、「愛」だけを欲する者、「裏切り」だけを求められる者―。己の望みに正直な男たちは、迷いながらも、別々の道を進んだ。残りのひとりは、時代に抗い、関ケ原で散る。この小説を読み終えたとき、その男、石田三成のことを、あなたは好きになるだろう。共に生き、戦った「賎ケ岳の七本槍」だけが知る石田三成の本当の姿。そこに「戦国」の答えがある!「BOOK」データベースより

戦国時代の智将といえば「石田三成」と言われるぐらい、頭脳明晰、冷静沈着な大名であった大人物ですが、あまりにも切れ者すぎて、人間的な評価が低く、「冷たい事務屋」みたいな印象を受けますよね。

しかし、この「八本目の槍」では、石田三成(佐吉)と同じ釜の飯を食った7人の侍(福島正則(市松),加藤清正(虎之介),加藤嘉明(孫六),脇坂安治(甚内),片桐且元(助作),平野長泰(権平),糟谷武則(助右衛門))のそれぞれの生き方、身の処し方などが、一章ごとに子細にわたって描かれており、一人の若者が、それぞれ出世していく「立身出世物語」としても、なかなか読みごたえがあります。

はっきり言って、福島正則と加藤清正、片桐且元以外は知りませんでしたし、大なり小なり功成り名を遂げた人物とは、それぞれに味わい深いものがあると感じました。

秀吉に取り立てられているスピードや他の7人に対しての

「自分は市松タイプやな」などと思いながら読んで見るのも楽しいと思いますよ。

今村省吾氏の文章は初読だったのですが、とても好感が持てる文章で良かったです。また別の作品も読んで見たいですね。

★★★☆3.5です。


50歳になってしまいました(^^;ゞ

2021年08月01日 | 雑感・日記的な

とうとう50歳になってしまいましたね

何にも変化はないんですが、人生において大きな節目であることは確かです

家族をはじめ、色々な方からお祝いのメッセージやプレゼントをいただきました。

この場をお借りして、心から御礼申し上げます

その中でも、一番うれしかったのが、このスニーカーです

NIKE BLAZER LOW 77 VINTAGE "WHITE-BLACK/SAIL"というヴィンテージモデルなんですが、メチャクチャ格好いいでしょう!

誕生日の朝に届いたんですが、嬉しすぎて、その日におろしました

50歳になっても、こうしていろいろな方々に見守られて、生かされて生きているということに改めて感謝した一日でした。

これからも、感謝の気持ちを忘れずに、日々精進していきたいと思います。