【高良健吾・城田優/モデルプレス=8月30日】2009年、「ゆうびん小説」として書き下ろされた伊坂幸太郎のベストセラー小説「バイバイ、ブラックバード」が、俳優の高良健吾が主演、城田優がヒロインで実写化されることが決定。
2018年、全6回に渡りWOWOWの「連続ドラマW」で放送される。
何とタイミングが良いのでしょう!
来年ですが、伊坂幸太郎氏の「バイバイブラックバード」がドラマ化されるんですってよ!
メチャクチャ楽しみです!
〜2012年12月12日、兵庫県警本部の留置施設内で、ひとりの女が自殺した。
女の名は角田美代子。尼崎連続変死事件の主犯である。
美代子と同居する集団、いわゆる“角田ファミリー”が逮捕され、これまでの非道な犯行が次々と明らかになってきていた矢先のことだった。
主犯の自殺によって記憶の彼方に葬り去られたこの事件の裏側には何があるのか?尼崎を中心とした徹底取材をもとに、驚愕の真相を白日の下の曝す、問題作。「BOOK」データベースより。
世間を震撼させた、『尼崎連続変死事件』の真相、その裏側にあった闇を曝すべく、約9ヶ月間にわたって丹念な取材を重ねた筆者渾身のルポルタージュです。
あれから、もう5年も経つんですね・・・。
仕事で尼崎に出向くことも多くあったので、杭瀬や大物などの地名にも馴染みがあり、風景も目に浮かびます。
先日読んだ、『消された一家 北九州連続監禁殺人事件』では、日常的に繰り返された通電による虐待、暴力、そして死体処理の仕方まで、まるで見てきたように克明に描かれていましたが、こちらは、また違う書き方でしたね。
一見、同じような金目当ての家族監禁・虐待、略取。
そして追い込まれた夫婦、親子が敵になるように追い込み、繰り返されていく暴力の連鎖なんですが、内容の描写自体は薄く、読んでいて不快な箇所は少なかったです。
筆者が、どっぷりと尼崎に浸かりこんで、地元の飲食店に通いつめ、一から人間関係を構築していきます。
そこから聞き取ったナマの情報をもとに、関係者へのアクセスに成功し、実際に被害に遭われた親族や、被害者の友人、同僚、隣人などへの直接取材に漕ぎ着けることが出来たようです。
残された関係者のリアルな言葉によって、深い悲しみと、救うことが出来なかった後悔の念、そして警察が動いてくれなかった、動けなかった事実・・・。首謀者である角田美代子の生い立ちから事件の経緯、その終焉までが白日のもとに曝されていきます。
初めの方は、あまりに多すぎる登場人物、親族関係の相関図を覚えるのに、何回もページを戻って大変でしたが、最後には「誰と誰が夫婦で、親子で、養子で・・・、」ということを理解できました。
とても読みやすく無駄のない文章なので、事件の全体像や、その裏側にあった複雑な人間模様を読み解くことが出来ました。
被害が深刻化する過程の中で、当人はもちろんのこと、関係者などが入れ替わり立ち替わり、兵庫県警、香川県警などへ駆け込み、実際の被害状況について訴えますが、その度に「民事不介入」という言葉、その高い壁によって阻まれてしまいます。
特に、亡くなった茉莉子さんの友人の斎藤さんの訴えのくだりは、あまりに辛くて悲しくて・・・。
改めて思うことは、こういう『悪』には、つけこまれる隙を「見せない、近寄らない」こと。そして、もしも関わり合いを持ってしまったら、必ず誰か近い他人に相談することです。
こういう時は、何故か親族同士だと、お互いにがんじがらめになってしまって、身動きが取れなくなってしまうケースが多くあるように思います。
尼崎の事件でも、勤め先の社長とか、親方とかが助けてくれたり、「弁護士に相談してる」と言うと、加害者側は、スッと手を引いたりしています。
筆者も書いていますが、こういうケースでは、黙って耐えるようなタイプ、角田美代子が「こいつは勝てる」と見込んだ弱者が、どんどん追い詰められて、最期には命が断たれてしまいます。
警察は、事件にならないと動けませんが、いろんな相談所とかもありますし、とにかく誰かに対してヘルプのサインを出し続けることだと思います。
逮捕されてからの角田美代子は、一転して弱々しいオバサンに成り果て、自らの言葉で事件の真相を語ることなく、最期には自ら命を断ってしまいます。
兵庫県警本部は、この事件に対して、最初から最後まで失態続きで、本当に残念です。
巻末の事件年表と人物相関図の複雑さを見ると、改めて、角田美代子という人物の心の闇の深さと、悪を極めた凄みの一端を伺い知ることが出来ます。
★★★3つです。