『愛するということ』byエーリッヒ・フロム、鈴木晶 (翻訳)
~人間砂漠といわれる現代にあり、〈愛〉こそが、われわれに最も貴重なオアシスだとして、その理論と実践の習得をすすめた本書は、フロムの代表作として、世界的ベストセラーの一つである。「BOOK」データベースより
212頁の単行本ですので、一気に読めるはずですが、とっても忙しい6月を過ごしていたために、なかなか読了できませんでした。
タイトルの、「愛するということ」の通り、様々な愛についての解説があり、指南があり、まとめがあります。
こういうハウツー本のようなものは、一気に読んでしまわないとだめですね。
第一章から始まって、起承転結のような形になっているため、承る部分なんかでモタモタしていると、「そもそも?」って何回も頁を戻る破目になり、あまり頭に入ってきません。
特に中盤の「神への愛」のあたりになると、信仰心の薄い僕には、読んでいて共感できる部分が少なく、少しダレてしまいました。
すごく考えさせられる内容でした。どこから切り出せばいいかわからないので、解説ページのようなものが無いかとWebで探していたところ、
NHKの『100分de名著』という番組の2014年2月のシリーズで取り上げられていました。
~「愛するということ」はノウハウ本ではありません。愛の本質を分析した思想書です。1956年に出版されて以来、世界的なベストセラーとして読みつがれてきました。
著者のエーリッヒ・フロムは、1900年、ドイツでユダヤ人として生まれました。フロイトの流れをくむ精神分析家であると同時に、ファシズムを非難し、人間性の回復を説いた社会思想家として知られています。
この書でフロムは人間とは死を知っている存在だとしました。そしていつか死ななければならないという自意識が、孤独への恐怖を生んでいると考えました。この孤独の恐怖を解消するために人は他者との一体化をめざす。それが愛の本質だとフロムは言います。
番組では、愛を通して人間の本性を学びます。そして人はどのように孤独と向き合うべきか、よりよい人生を送るためのヒントを探っていきます。
と、タイトルに書いてあり、とても分かりやすく解説してあるので、抜粋しますね。
「第1回 愛は技術である」
現代人は資本主義市場での“好都合な交換”に慣れているため、相手が条件にあうかどうかばかりを気にしている。そして“恋愛市場”のどこかに運命の人がいると思っている。果たしてそれは正しいのだろうか?フロムは、相手が見つからないのは、その人に他人を愛する力が足りないからだと言う。第1回では、愛には技術が必要であることを学ぶ。
「第2回 傷つくのが怖い」
ユダヤ人として2度の世界大戦を経験したフロムは、ファシズムの心理と恋愛には共通点があると考えた。他者と一体化したいという願望の対象は、個人間の関係にとどまらない。民族や宗教など様々だ。人間は自分を集団に融合させることで、孤独を忘れようとする習性があるのだ。第2回では、愛を通して人間の負の側面を見つめる。
「第3回 生身の人間とつきあう」
愛とは本来“与えること”にある。それはギブ・アンド・テイクが保証されているものではない。しかしそれでも与えなくては始まらない。なぜなら人は、与えられたことで変わるからだ。フロムは様々な角度から、どのような人間関係を築くべきかを詳細に語っている。第3回では、成熟した大人の愛とは何か?そのあるべき姿について考える。
「第4回 本当の愛を手に入れる」
フロムは、現代人は自我を抑制して生きざるを得ない状況に置かれており、常に大きな孤独を抱えていると言う。現代人は精神的に極めてもろい存在なのだ。しかし正しい愛のためには、自我の確立が欠かせない。また愛が社会全体に及ぼす影響を知り、社会を変えていく勇気も忘れてはならない。第4回では、本当の愛を手に入れるための心構え語る。
これを読むだけでも読み終えた気になってしまうと思うぐらい、とてもよくまとめられて構成されています。
愛に迷っている人も迷っていない人も、是非手に取って読んでみてください。
★★★☆3.5です。