『赦す人―団鬼六伝―』by大崎善生
~昭和6年。文士と親しく交流する女優の母と相場師の父との間に鬼六は生れた。
純文学を志すが挫折、酒場経営で夜逃げ、一転中学教師を経て、SM作家として莫大な稼ぎを得る。
しかし、映画製作や雑誌の発行に乗り出し破産。周囲は怪しげな輩が取巻いていた…。
栄光と転落を繰返す人生は、無限の優しさと赦しに貫かれ、晩年に罹患した病にさえも泰然としていた。波瀾万丈の一代記。「BOOK」データベースより
大崎善生氏との出会いは、『パイロットフィッシュ』でした。すっかり大崎氏に惚れ込んだ私は、『アジアンタムブルー』、『聖の青春』、そして、『スワンソング』、『将棋の子』、『ロストデイズ』、と、当たりはずれはあるものの、どの作品にも共通して、大崎氏の丁寧な文体と、優しさが滲み出ているような作風が好きで、読んできました。
『聖の青春』を読んでからか、将棋ものの小説が好きになり、『泣き虫しょったんの奇跡』や、塩田武士氏の『盤上のアルファ』、『盤上に散る』、そして、柚月裕子氏の『盤上の向日葵』を読みました。
盤上の向日葵から派生して、『真剣師 小池重明の光と影』に辿り着き、そこから作家の『団鬼六氏』に行きついたんですね。
『真剣師 小池重明』は、未読なんですが、あえて、これを読まずに、大崎善生氏の『赦す人―団鬼六伝―』を読んで良かったと思いました。
団鬼六(だんおにろく=きろくとの記述もあり)氏は、SM関係の巨匠というイメージがボンヤリとあっただけで、その人物について詳しくは知りませんでした。
しかし、この作品を読んでみて、「いやぁ~時代が違うとはいえ、こんな破天荒で波乱万丈の人生、そして多くの人々から愛された、まさにアッパレな人生を過ごした人やったんやな」と感心しました。
団鬼六氏の人生に寄り添うように、ノンフィクションで書き綴られる文章は、大崎氏の団氏に対する優しさと愛情に溢れていて、とても素敵な内容になっています。
団氏の破天荒という一言では語りつくせない、枠にはまらない、常人の物差しを大きく超える生き様に、「とてもこんな人生無理や」と、憧れることは出来ませんが、「こんな凄く魅力的な人がいたんやなぁ~。接してみたかったわ」と思える大人物です。
もちろん人間ですから、ノンフィクションとはいえ、書かれていない、触れられていない部分や、団氏の悪い部分もあると思います。
それでも、そんな小さなことは考えずに、団氏の人柄にダイブしてみると、最後の章は、「まさに滂沱の涙」で溢れると思います。
久しぶりに小説で号泣しました
将棋を知らなくても、SM嫌いでも、平成生まれでも、老若男女問わず、是非とも読んでもらいたい作品です。
限りなく4.5に近い、
★★★★4つです!
~昭和6年。文士と親しく交流する女優の母と相場師の父との間に鬼六は生れた。
純文学を志すが挫折、酒場経営で夜逃げ、一転中学教師を経て、SM作家として莫大な稼ぎを得る。
しかし、映画製作や雑誌の発行に乗り出し破産。周囲は怪しげな輩が取巻いていた…。
栄光と転落を繰返す人生は、無限の優しさと赦しに貫かれ、晩年に罹患した病にさえも泰然としていた。波瀾万丈の一代記。「BOOK」データベースより
大崎善生氏との出会いは、『パイロットフィッシュ』でした。すっかり大崎氏に惚れ込んだ私は、『アジアンタムブルー』、『聖の青春』、そして、『スワンソング』、『将棋の子』、『ロストデイズ』、と、当たりはずれはあるものの、どの作品にも共通して、大崎氏の丁寧な文体と、優しさが滲み出ているような作風が好きで、読んできました。
『聖の青春』を読んでからか、将棋ものの小説が好きになり、『泣き虫しょったんの奇跡』や、塩田武士氏の『盤上のアルファ』、『盤上に散る』、そして、柚月裕子氏の『盤上の向日葵』を読みました。
盤上の向日葵から派生して、『真剣師 小池重明の光と影』に辿り着き、そこから作家の『団鬼六氏』に行きついたんですね。
『真剣師 小池重明』は、未読なんですが、あえて、これを読まずに、大崎善生氏の『赦す人―団鬼六伝―』を読んで良かったと思いました。
団鬼六(だんおにろく=きろくとの記述もあり)氏は、SM関係の巨匠というイメージがボンヤリとあっただけで、その人物について詳しくは知りませんでした。
しかし、この作品を読んでみて、「いやぁ~時代が違うとはいえ、こんな破天荒で波乱万丈の人生、そして多くの人々から愛された、まさにアッパレな人生を過ごした人やったんやな」と感心しました。
団鬼六氏の人生に寄り添うように、ノンフィクションで書き綴られる文章は、大崎氏の団氏に対する優しさと愛情に溢れていて、とても素敵な内容になっています。
団氏の破天荒という一言では語りつくせない、枠にはまらない、常人の物差しを大きく超える生き様に、「とてもこんな人生無理や」と、憧れることは出来ませんが、「こんな凄く魅力的な人がいたんやなぁ~。接してみたかったわ」と思える大人物です。
もちろん人間ですから、ノンフィクションとはいえ、書かれていない、触れられていない部分や、団氏の悪い部分もあると思います。
それでも、そんな小さなことは考えずに、団氏の人柄にダイブしてみると、最後の章は、「まさに滂沱の涙」で溢れると思います。
久しぶりに小説で号泣しました
将棋を知らなくても、SM嫌いでも、平成生まれでも、老若男女問わず、是非とも読んでもらいたい作品です。
限りなく4.5に近い、
★★★★4つです!