〜休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。
自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して―なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?いったい彼女は何者なのか?謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。
山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。「BOOK」データベースより
「白夜行(850頁)」に次ぐ長編小説で、なかなか時間がかかりましたわ(^_^;)
宮部みゆきさんの文章は、とても読みやすく、スラスラ読めるのですが、逆に読み応え感は少しもの足りません。謎解きを求めている訳ではないんですが・・・・(ひねくれてますかね?)
でも、とっても考えさせられますし、バブル末期には、こういうことが社会問題として、日本中のいたるところであったんでしょうね。
サラ金、カード破産、厳しい取り立て、一家離散などです。
今のTVCMには、銀行系のクレジットカードが溢れかえっていますし、ネットの普及により、対面ではなく、画面の中で数字がいったり来たりするので、「借金」、「負債」という感覚もなく、簡単にお金を借りられる世の中になっています。
作中の登場人物も「気がつけばとんでもない額の借金が」となって、とうとう殺人まで犯してしまうということになります。
宮部さん流の緻密なプロットによって、最後の最後まで「何故こんなことが?」という思いのまま読まされ、最後の10頁ほどで、ジェットコースターの滑走のように一気にエンディングに持っていかれます。その様は圧巻でした。
レビューを読んでますと、多くの人が「最後の終わり方が良かった!」、「余韻が素晴らしい!」と絶賛されていますが、僕は最後にもう一歩だけ踏み込んで欲しかったですね。
映画の「セブン」みたいに、「最後はあなたが想像してください」的な終わり方は僕は好きじゃないので申し訳ないですが・・・。
★★★3つですね。