毎日が黄金に輝いていた12歳の夏、少年は川辺の流木に奇妙な印を残して忽然と姿を消した。
23年後、刑事となった相馬は、少女失踪事件の現場で同じ印を発見する。相馬の胸に消えた親友の言葉が蘇る。「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」あの夏、本当は何が起こっていたのか。今、何が起ころうとしているのか。
人が犯した罪は、正しく裁かれ、正しく償われるのか?司法の信を問う傑作ミステリ。日本推理作家協会賞候補作。「BOOK」データベースより
太田愛さんという作家さんの作品は初めて読みますし、まったく知らなかったんですが。あの刑事ドラマ『相棒 season8』~の脚本家でもあるんですよね。
さて、本作ですが、導入部分から、とても緊張感があり、「これは大作の予感!」と期待しながら読み進めました。
「刑事(警察庁)→検察(検察庁)→裁判官(裁判所)」という、誰もが信頼し、頼りにしている司法機関・制度によって、いかにして冤罪が作り上げられ、無辜の民が服役し、その者の人生、そして家族の人生を大きく狂わせてしまう姿を描いています。
とても考えさせられるところがあり、キャラクターの作りこみも抜群です。
現場に残された『謎の印』の意味や、大どんでん返しもあり、クライマックスまではかなりの盛り上がりを見せますが、いよいよ犯人の目的が果たされそうとするあたりから少しずつ減速し始めて、最後は少し尻すぼみな感じでした。
それでも、佳作としては間違いなく、太田愛さんの代表作『犯罪者 上下巻』、『天上の葦 上下巻』も読んでみたくなりました。
★★★☆3.5です。