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ハラハラ、そしてホッと「暗いところで待ち合わせ」by乙一

2017年10月09日 | 小説レビュー
〜視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。
職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。
犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。
他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。
奇妙な同棲生活が始まった―。書き下ろし小説。「BOOK」データベースより)


いやぁ〜良かった!いい意味で期待を裏切ってくれましたね!

乙一氏の作品は二作目です。

登場人物が必要最小限に抑えられていて、起承転結もしっかりしています。
伏線回収も出来ていますし、真相が明らかになる仕掛けもスッキリしていて、なかなかの良作です。

タイトルと表紙から「サイコスリラー」or「ホラーサスペンス」という印象で読み始めました。

しかし、途中から「ハートフルミステリー」になりました。

ミチルとアキヒロの関係がどうなっていくのか?というワクワク感と、視覚障害者の持つ暗闇の世界の不安感から、終始ハラハラしながら読めました。

読後感も爽やかで良かったですが、一つだけ心に引っ掛かることは・・・、

『視覚や聴覚に障害がある人は、逆に残された器官の感覚が研ぎ澄まされていくんちゃうの?』ということです。

まず、赤の他人が自分の家に上がり込んで来ただけで、その香りとか、音とか、気配とかの異変に気付くと思いますし、数日間お風呂に入らず、同じ服装でいる男の存在に気付かへんか?とも思うのですが・・・、(^_^;)?
それは、乙一氏の「まずストーリー展開ありき、その他の些末なことは置いといて・・・」的な感じですかね?

それにしても、よくまとまった作品だと思います。

★★★☆3.5です。


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