文藝春秋3月号を読んでいて、ちょっとコワくなってきましたよ
「早く子ども手当てくれやぁ!
」、「高校無償化やぁ!
」って、国からの施しをあてにしていたら、とんでもないことになりますよ
早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授・野口悠紀雄氏の「ついに国債破綻が始まった」から、一部引用させてもらいながら、今後の日本の財政は勿論の事、国家として破綻する危険性について考えたいと思います。
今の日本の現状について、家計に置き換えて、非常にわかりやすく解説されているので紹介します(以後、中略)。
>日本の国債の大部分は内国債である。家計に例えれば、銀行や高利貸しなど外部からの借り入れではなく、夫が妻に借金するようなものだ。
さらに言えば、子供が借金の返済に苦労することもない(増税して内国債を償還すれば、税負担は増えるが、他方で償還を受けるので差し引きの国民負担は増えない)
>だが、「家計内の貸し借りだから問題ない」とは言えない。夫の借金(国債)は、酒代(無駄な財政支出)のためで、店を経営する妻(民間部門)が、店の改築費(工場等への投資)を犠牲にして貸しているのだとしよう。
夫の無駄遣いの為に店が改築できず、店の将来の収入は減る(国の将来の生産力は落ちる)ので、家計内の貸借(内国債)であっても重大な問題を引き起こすのだ。
>これまで大きな問題と感じられなかったのは、店の収入が順調に伸びていた(経済成長があった)からので、夫の借金に応じる資金(貯蓄残高)が増え続けていたのだ。
>だが、この条件はいまや大きく変わった。店の収入が激減し(経済危機で企業の売上・利益が激減)他方で夫の酒量が増えた(選挙目当ての無駄な財政支出が急増した)からだ。
ところが、表面上はまだ問題が生じたように見えない(国債の消化は順調に進んでいる)。
しかしそれは、妻が店を改修する意欲を失ってしまった(民間の投資支出が激減した)ことだ。
>この状態が続けば、店はさびれて客足は遠のく。(実際、この数年、日本の固定資本形成は固定資本減耗を下回っている。更新が進まないので将来の設備は老朽化し生産力が低下する)
>夫の借金が目立って増えたのは、家計に問題が生じたことのシグナルである。「店の収入が減り、夫の酒量が増えたことが問題だ」と警告しているのである。
>このシグナルに対して必要なことは、店の収入を増やし、夫の無駄遣いをやめさせることだ。酒をやめられずに、店の収入も増えなければ、銀行から借りるしかない。
しかし、酒を飲むために借りようとしても、銀行は貸してくれないだろう。
>国債発行の急増は、日本の経済と財政が深刻な問題を抱えていることを示すシグナルなのである。
と、非常にわかりやすく日本の現状を家庭に例えた上で、これから日本がやらなければならないことが書かれています。
>最も重要なことは経済成長を実現させること。それができれば全ての問題は解決する。それこそが本質的に重要なのである。財政は国債は、実のところ二義的な問題に過ぎない。
>しかし残念ながらそれが実現できないのだ。
これは「民主党が・・・」というレベルではなく日本の産業構造と企業構造の問題である。
>それを前提とすれば、増え続ける財政支出を支えるためには国民から調達する資源を増やさなければならない。
>まずは増税があるが、政府が消費税の引き上げを四年間は行わないと明言している。
政治的に容易なのは「インフレ税」に頼ることだ。日銀引受けの国債か政府紙幣を発行することで実現する。
>外国から借りることも考えられるが、財政支出に無駄な経費が多いことを見透かされれば容易には借りられない。円安が招来され、結局はインフレ税による財源調達がなされる。このまま無策が続けば自動的にここに追い込まれる。
>これを避けるには歳出を切るしかない。事業仕分けのようなパフォーマンスでの節減額は
七千億円にも及ばなかった。実際は、全く逆の「子ども手当て」「農家への戸別補償」などのムダな支出を増やしており、自民党と変わらない(あるいはそれ以上の)バラマキを続けている。
そして最後に野口教授が訴えるのは・・・!
>非現実的・乙女の願い的シナリオであることを承知の上で言えば、インフレで身ぐるみはがされる危険を国民が自覚し、それを回避するように政治に働きかけることだ。 無駄遣いを減らし、国の支出を経済力に見合ったものにすることである。
>再び家計のたとえ話に戻ろう。 店の売上を伸ばすことができれば、夫の多少の無駄遣いを大目に見ることができる。 しかし、それができないのであれば、事態を直視し、これまでのように酒を飲み続けることはできないでのある。
実質財政赤字解消の為「デフレ脱却」「円高脱却」と、よく聞かれますが、国民と国家にとって、本当に恐ろしいのは「インフレ」であることを認識し、「ありがたい目先の小銭」を追い求めるのではなく、「子どもたちの未来の為、日本という国家を破綻させない為」に、我々が今できることを考え直しましょう