まわる世界はボーダーレス

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シンガポールのブリティッシュ・クラブでのクリスマスの奇跡

2020-12-21 12:27:48 | 文学的な

2019年の12月15日、シンガポールのブキティマの山の上にあるブリティッシュ・クラブで、英国の俳優のクライヴ・フランシス氏 (Clive Francis)の「クリスマス・キャロル」のパフォーマンスが行われました。今から一年前のことです。チャールズ・ディケンズの「クリスマス・キャロル」を一人で朗読というか、一人芝居で演じたのですが、それは、それは、素晴らしい公演でした。



クライヴ・フランシス氏は、1946年6月26日生まれの英国の俳優。スタンレイ・キューブリックの「時計仕掛けのオレンジ」や、テレビシリーズの「ザ・クラウン」など数々の作品に出演しています。最近の「オフィシャル・シークレット」という映画にも出ていましたね。

私は、大学の授業で英文学を専攻しており、授業でもディケンズの「ドンビー&ザ・サン」という分厚い小説を研究していたことがありました。「オリバー・ツイスト」とか、「大いなる遺産」は小説も映画も見ており、「クリスマス・キャロル」は、ミュージカル映画で見ておりました。トレーラーはこちらです。タイトルが”Scrooge”になっています。



2018年に『Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~』という映画が封切られましたが、これは、チャールズ・ディケンズが「クリスマス・キャロル」を書くに至るまでのストーリーです。飛行機に乗った時たまたまやっていたので見ました。こちらがそのトレーラーです。



ブリティッシュ・クラブでの公演に妻と行くことになったのですが、妻にストーリーを解説するために用意したのがこちらのチョークアートです。





ここまで本格的に仕上げる必要もなかったのですが。描いているうちに、どんどん緻密になっていってしまいました。

「クリスマス・キャロル」の英語の本には、ジョン・リーチ(John Leech)という19世紀の挿絵画家の挿絵がついているのですが、これがとても素晴らしいので、ご紹介しておきます。





19世紀のディケンズの時代にとても合っている感じで素敵です。

シンガポールのブリティッシュ・クラブという場所は全く知らなかったのですが、この時初めて行きました。ブキティマの山(と言ってもそんなに標高が高いわけではないですが)の上にあります。タクシーで行ったのですが、山道をくねくねと登っていったところにありました。説明してもなかなか伝わらないと思いますが、たまたまブリティシュ・クラブの動画がありましたので、こちらに添付しておきます。



公演が行われたのは、数十人の小さな会場ですが、日本人らしき姿はほとんど見かけませんでした。シンプルなステージなのですが、台詞だけで、登場人物を語りわけ、臨場感たっぷり。とにかく素晴らしかったです。偶然シンガポールでこのような機会に出会えたことを感謝したくなりました。私たちにとって素晴らしいクリスマスプレゼントとなりました。

公演が終わって、レストランで、妻とフィッシュ&チップスやシェパーズパイなどの英国料理を食べていたら、何と、クライヴ・フランシス氏本人が、関係者と一緒にレストランに入ってきたではありませんか。私たちのテーブルの横を通り、空いているテーブルを探していたようです。この千載一遇のチャンスを逃してはいけないと思い、勇気を出して、立ち上がり、鼓動が高鳴る中、彼に話かけたのです。「ミ、ミスターフランシス、今日の公演、とても素晴らしかったです。私たちは日本から来ました」というようなことを伝えました。クライヴ氏はとても喜んで、一緒に写真を撮ってくれました。



パンデミックになる前の奇跡的な出来事でした。とても素敵な思い出です。私は学生時代にシェイクスピア劇を原語で演じていたので、舞台俳優としてのキャリアも長いクライヴ・フランシス氏と握手した時は、昔が蘇って、感極まるものがありました。

たまたまネットを検索していたら、今年の5月、クライヴ・フランシス氏が一つの動画をアップしているのを見つけました。”Humour is Man’s Best Friend!”(ユーモアは人間にとって親友)というものです。登場するや、戦時中のアメリカの詩人のエピソードを語っています。強制収容所に閉じ込められ、無事に生存できるかどうかがわからない状況の中(今のパンデミックの時代と共通の状況かもしれません)で、仲間たちと何が最も大事かという話をします。ある人は「規律」が最も大事だと言います。しかしその詩人は、答えます。「いや、我々にとって一番の武器は、ユーモアだ。それは防具でもあり、サバイバルキットでもある」。その後、クライヴ氏はいくつかのエピソードをユーモアを交えて語るのですが、微妙なユーモアです。内容はあまりよくわからないのですが、語り口はさすが俳優ですね。こちらがその動画です。



あれから一年、世の中はすっかり変わってしまいました。今年のクリスマスは多くの国で、今までと違うクリスマスとなっています。どんな状況であれ、感染に気をつけて、クリスマスを楽しんでいただければと思います。

MERRY CHRISTMAS!

コメント
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