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インドの新型コロナの状況はどうなっている?

2020-08-30 16:03:04 | インド

インドのコロナの状況に関しては、日本のマスコミではあまり報道されないのですが、8月の終わりの時点での現状をざっと整理してみたいと思います。

昨日の8月29日の土曜日、インド政府は、9月からのUnlock 4.0のガイドラインを発表しました。Unlock 4.0について説明する前に、LockdownからUnlockに至る経過を振り返ってみましょう。



インドでは3月25日から、世界最大規模のロックダウンが実施されました。それはPhase 1からPhase 4まで延長され、5月末で終了します。

6月1日からUnlock 1.0ということで、規制が緩和されていくことになるのですが、8月末の時点でUnlock 3.0が終わり、9月からUnlock 4.0になるというところです。

Unlock 4.0では、それまで運行が中止していたメトロ(地下鉄)が9月7月から運行を開始する予定です。マスク着用とか、ソーシャルディスタンスとか規制は行われるようですが。あと、9月21日から、それまで禁止されていた、スポーツ、宗教、アカデミック、エンターテインメント、政治などのイベントが、上限100人を限度に開催が認められることになりました。学校や、大学、プールなどは閉鎖が継続します。

実際の状況は、地域毎に異なっているようですが、8月27日にTimes of Indiaに、17都市の状況の比較を発表しました。



ショッピングモール、映画館、ホテル、レストラン、酒屋、サロン、ジム、スポーツハブ、公園、メトロ鉄道、都市バス、ローカル鉄道、タクシー、空港、学校、大学、オフィスの17項目について比較しています。緑がオープン、赤が閉鎖、オレンジが規制つきでオープンという区分けです。

17都市は、インド各地の主要都市ですが、ここに出ている都市を地図に入れてみるとこんな感じになります。



Times of Indiaによれば、ベンガルール(バンガロール)が最もオープンで、デリーが二位、最下位はチェンナイということです。地域により、対応はかなり違うようですね。

インドの感染状況も地域によって大きく異なります。こちらに8月27日時点の州別の感染者数のデータがあります。棒グラフの赤色が現在の感染者数、緑が回復した人、黒が死者です。



データソースは、8月27日のStatistaです。

最も感染者が多いのは、ムンバイのあるマハラシュトラ州。二位は、アンドラプラデシュ州(タミルナドゥの北の南インド東海岸の州)、三位はベンガルール(バンガロール)のあるカルナタカ州、四位はチェンナイのあるタミルナドゥ州です。

インド全体では、8月29日時点で、累積の感染者数が346万1240人となっています。感染者数では、アメリカ、ブラジルに次いで世界第三位。一日の感染者数は、29日時点で、7万6千665人で世界のトップ。

こちらはインドの一日の新規感染者のグラフですが、急激な伸びはないものの、まだ伸びている感じですね。



マハラシュトラ州の新規感染者のグラフはこちら。



まだまだ伸びていますね。

こちらはタミルナドゥ州。伸びてはいませんが、減ってもいません。



カルナタカ州です。



こちらはハリアナ州。数は少ないのですが、急激に増えています。



そしてこちらはデリー。



ピークは過ぎて減っていますが、8月末に徐々に増えているのが気になります。

で、インドの一日の死者数のグラフがこちら。



一日の死者数は1000人前後です。

全感染者における死亡者の比率をCFR(Case Fatality Rate)というのですが、8月29日時点で、インドのCFRが1.82%。じつは日本のCFRは現在、1.89%なので、日本よりもCFRは低いということになります。



こちらのグラフは、縦軸が死者数、横軸が感染者数で、斜めの点線がCFRのレベルなのですが、インドは日本とほぼ同じCFRのレベル上にいますね。

こちらのグラフは、8月28日時点の、二週間での感染者数の伸びを色分けで示しています。青が減少中の国、赤系統が増えている国。色が濃いほど伸び率が高いということです。インドは伸びてはいるものの、伸び率は急激ではないということですね。フランス、イタリア、ミャンマー、アフリカのいくつかの国が気になります。



下のグラフは100万人あたりの、二週間の感染者数。インドはピンクですが、南米が心配ですね。



次は100万人あたりの、二週間の死者数の地図。これも中南米が心配です。



インドは世界でも最も厳しいロックダウンを大規模に行ってきた国なのですが、感染者はまだまだ増えています。ロックダウンをしなければ、もっととんでもない状況になっていたのかもしれませんが。

インドでは、Aarogya Setu(収束への橋)というコンタクトトレーシングのスマホアプリが4月から使用されています。さすがITの国です。



一方、インドも経済への打撃は大きく、失業者の数は一時は1億2000万人とも言われましたが、7月には失業率は7.4%に回復しているようです。ただインド国内の産業を支えているのは、膨大な数の出稼ぎ労働者。田舎に帰ってしまった労働者がまだ戻れないので、労働力不足で工場や都市の産業が影響を受けているようです。

しかし、新型コロナが収束の兆しを見せ始めれば、インドは、その潜在力を発揮し、世界の経済を牽引するようになる日も近いと思います。新型コロナが早く収束するのを祈っています。






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