NHKの朝の連続テレビ小説の『エール』が終わりました。素晴らしい終わり方で、感動しました。3月30日から始まって、途中、コロナのため長いこと途切れたのですが、何とか再開し、11月の27日に最終回となりました。
オープニングの海岸が私の生まれ故郷の近くの豊橋の海だし、関内家が豊橋という設定だったので、最初から懐かしさいっぱいで見ていました。主人公の古山裕一の通う福島の小学校もじつは豊橋の北にある新城市(旧鳳来町)の廃校・旧門谷小学校でロケされたものですし、ドラマの中で豊橋市内の風景も何度か登場していました。
11月26日がドラマ的には最終回だったのですが、この終わり方が秀逸でした。コロナで亡くなった志村けんさん(小山田耕三)の手紙を紹介し、鏡越しの志村さんの笑顔が映ります。これは意図して撮ったものではなく、たまたま残っていたNGカットだったらしいですね。志村さんへの追悼の気持ちが溢れる見事なシーンでした。
病床の古山音が「海が見たい、あなたと出会った頃のように歌を歌いたい」と言います。そして、ベッドから起き上がり、二人でゆっくりと歩きだす。
床の上を歩いていたかと思うと…
地面が砂浜となり、二人は出会った頃の姿になって、海に向かって走り出す。
そこにオープニングのテーマ曲が。
何と素敵な演出でしょう。素晴らしかったです。
「音、会えてよかった。音に会ってなかったら、僕の音楽はなかった。出会ってくれて、ありがとね」
「私も、あなたといられて幸せでした」
夫婦の最後の台詞として、こんなに素晴らしいやりとりはありません。感動です。
最後に素に戻って、主役の二人が、テレビ視聴者に向かって挨拶するところもまた素晴らしい。
これまで演じてきたのはドラマの世界だったのだけれど、それを演じてきた俳優女優として現実の世界に戻って言葉を発している。演劇やミュージカルのカーテンコールで俳優や監督が挨拶をしているようなそんな感じでした。
そして、最終日の27日はコンサート。今回は本物のミュージカル俳優や、プロの歌い手が多数出演していたので、こんなコンサートも成立してしまいます。懐かしい顔が次々と登場してきます。
ドラマの中では歌唱シーンのなかった岩城さん(吉原光男さん)の「イヨマンテの夜」もすごい迫力でした。劇団四季出身でもあるし、帝劇の「レ・ミゼラブル」でジャンバルジャンを演じていただけあり、さすがです。
しっとりと聴かせる藤堂先生とプリンス久志の「栄冠は君に輝く」も素晴らしかったですが…
その後に紹介された曲が、「長崎の鐘」。
古山音です。後ろ姿での登場が衝撃的です。彼女が歌い出した後に、ドラマはまだ続いていたのだと気付きました。
二階堂ふみはあくまで古山音として歌っています。「いつか大きな舞台で、僕が作った歌を君が歌う」と二人で夢見てきたことが、現実となり、ドラマの最後の最後で夢がかなったのです。だからこそ、場所はNHKホールであり、その最後のハッピーエンドのために、コンサートという設定を用意したのだと納得しました。なんという粋な演出。
私は、この終わり方に惜しみない拍手を送りたいと思います。この数ヶ月、いろいろと大変でしたが、このドラマの最終回を見ることができて、幸せでした。スタッフの皆様、キャストの皆様、ありがとうございました。
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