まわる世界はボーダーレス

世界各地でのビジネス経験をベースに、グローバルな視点で世界を眺め、ビジネスからアートまで幅広い分野をカバー。

ムンバイのレオポルド・カフェ

2012-03-03 23:49:18 | トラベル


ムンバイのコラバ地区にあるレオポルド・
カフェに行ったのは、出張でムンバイに
来るので、東京の会社のMさんに「すごく
おもしろいよ」と言って薦められた小説
『シャンタラム』の文庫本を持ってきた
からでした。



グレゴリー・ディヴィッド・ロバーツが
書いた上中下三冊に及ぶこの小説は、
舞台がムンバイで、「世界のバックパッ
カーとセレブを虜にした聖典」と帯に
書いてあります。オーストラリアの
刑務所を脱獄して、偽造パスポートで
ムンバイにやってくるところからこの
小説は始まるのですが、そこで登場する
のが、このムンバイの「レオポルド・
カフェ」。

行きの飛行機で最初のほうをちょっと
読んだばかりなのですが、そこに登場
する「レオポルド・カフェ」がまさか
実在のカフェだとは知りませんでした。

出張で来ていると、普通、なかなか
自分が行きたい場所に行く余裕もない
のですが、たまたま夕方からの時間が
ぽこっと空いたのが、会社の後輩のS
君と、どこか食事に行こうということ
になりました。

インド料理が続いているからイタリアン
でもいいかなと思いながら、ネットを
検索しておりました。そういえば、数年
前に、タイムズ・オブ・インディアという
インドでもトップクラスの新聞社の社長と
そこの国際営業の美女に連れられて、ムン
バイのビクトリア・ターミナルの近くに
あるイタリア料理のお店に行ったことが
ありました。ムンバイなら、きっとそういう
オシャレなお店もいろいろあるんだろうなと
思いながら、検索をしていると、ムンバイ
でのTop 10のインターナショナル・レスト
ランというサイトに辿りつきました。

そこの3位に入っているのが、「レオポルド・
カフェ」でした。どこかで聞いたことの
ある名前だけど、まさか、あの「シャンタ
ラム」に出てくるあの「レオポルド・カフェ」
なのだろうか?!調べてみるとまさにそれ
でした。

1871年にできたカフェで、旅行者の間では
とても有名な場所だったんですね。裏手が
超高級なタジマハールホテルやインド門が
あるのですが、このカフェがあるコーズウェ
イ通りは、安宿や土産物の露天がひしめく
雑踏になっています。このカフェを含めて、
この近辺の各所は、ムンバイ同時多発テロ
の時に、爆破があった場所で、このカフェ
はそういう事件でも有名になったんですね。



レオポルド・カフェの看板を見つけて、車
を降りました。有名な場所なので、混んで
いるんだろうなと思いながら、外から店内
が見えている入り口に向かいました。



入り口ではセキュリティー・チェック
があり、鞄の中を開けて調べられました
が、すぐに一階で空いている席に案内さ
れました。



天井は高く、植民地時代の名残のような
扇風機が回っているのですが、じつに
インターナショナルでありながら、
カジュアルな場所でした。世界中の旅行
者の扱いに慣れた感じの店員の対応は、
遠い異国から来た旅人からすると、
オアシスのような心地よさを与えている
のだろうなと思えるのでした。

周りのテーブルを見てみると、いろんな
人たちがいます。欧米からのバックパッ
カーもいれば、欧米の年配のカップル、
地元の若者、中東やアフリカからの旅行者、
白人のビジネスマンもいます。

小説の中では、麻薬密売を斡旋している
怪しげな白人、偽造パスポートの元締め、
武器密輸の商人、マフィアなどのワルたち
がいりびたっているので、ちょっと不安が
あったのですが、外見ではよくわかりません。
見るからに悪そうな人もいれば、善良そうに
見えて、悪いことをやっている人もいるので
しょう。それぞれの人達が、それぞれの物語
を持って、偶然にこの場所に居合わせて、
時間を共有しているというモザイクのような
雰囲気が空間に漂っていました。

料理は、インターナショナメニューだけ
でなく、インド料理も中華料理もあります。
ケーキなどのスイーツもある見たいです。
我々は、カールスバーグのビールと、
ナチョスとチキンティッカを注文しました。



本当はビールはインドのキングフィッ
シャーがよかったのですが、売り切れて
いました。隣のテーブルのビジネスマン
たちは、筒状のタワーに入っている容器
からビールを注いでいました。中心部に
氷が入っているピッチャーのようなもので、
下に水道のような注ぎ口があります。



黒い焦げ目の香ばしいチキンティッカを
食べ終えた私たちは、中華もちょっと
味見してみようということになり、
レオポルドという店の名前のついた
ライスヌードルを注文してみました。



ちょっとこれは期待していたものとは
かなり違っていました。中華料理では
味わったことのないようなエキゾチック
なスパイスの香り...タイや、ベトナム
とも違うし、何と形容したらよいの
かボキャブラリーにないようは味でした。
本当の意味で、筆舌に尽くしがたい料理
でした。

『シャンタラム』によれば、2階がバー
になっているはずでした。よく見ていると
奥のドアに入っていく客がちらほらと
います。おそらくあれが二階のバーへの
入り口なのだろうと推測し、上に上がって
みることにしました。

ドアの前にセキュリティーが立っていて
入っていいのかちょっと躊躇われる雰囲気
なのですが、S君と二人で、まるで『シャン
タラム』に出てくる常連客のような感じで
ドアに向かったら、すんなりと通してくれ
ました。

細い階段を上がると、少し薄暗い、怪しげ
な空間になっていました。奥のほうにはDJ
がいてダンスビートを流しているのですが、
ここでも一階と同じ食事ができるようでした。
悪い人間がいっぱいいそうな雰囲気なのです
が、禁煙の表示が出ていました。



中性脂肪が気になる私は、あまり飲み過ぎる
とよくないだろうということで、レオポルド
という名前のモクテル(ノンアルコール)に
しました。S君も同じのを注文しました。



これです。これはカクテルというよりも、
インドのラッシーです。あるいは、マック
シェークと言ってもよいかもしれません。
そして赤い部分はストロベリージャムです。

後ろの席のインド人男性が、何か気に入らな
いことがあったようで、「マネージャーを呼べ」
とウェイターに叫んでいましたが、その
ウェイターがフレンドリーに強引に握手を
しながらその怒れるインド人をなだめたの
を目撃したのですが、こういう営業がいると
いいなと思ったりしました。

レオポルドは有名なお店なので、グッズも
売っています。私たちは、500ルピーで
Tシャツを買いました。『シャンタラム』の
登場人物は決してこういうことはしなかった
でしょう。こちらがそのTシャツです。



そして、こちらがビニールバッグ。



フレンドリーな店員はお土産にポストカード
も一枚ずつくれました。



こちらがお店の外のアーケード。露天が
並んでいます。



『シャンタラム』にも出てきますが、
葉っぱを噛むパンを売っている露店も
ありました。



以前、試したことがあるのですが、
ミントのような香りの葉っぱにフレーバー
を塗って、それをチューインガムのように
噛むものです。そして最後は地面に吐き出す
のですが、ちょっと汚い感じです。



露天では、レトロな望遠鏡や、六分儀
なども売っていて、昔の港町の名残を
感じさせるのでした。

レオポルド・カフェに再び来ることが
あるのかどうかわかりませんが、また
いつか来てみたい気はしました。ここは
いろんな国から来た人々が、たまたま
そこですれ違う場所。人種のメルティング
ポットという感じです。様々な目的を
持った、あるいは目的を持たない、旅が、
物語が、この場所で瞬間的に交差するの
が実際に眼に見えるかのようでした。

どうです、ちょっと行ってみたくなりま
せんですか?

こちらもよろしくお願いいたします

にほんブログ村 海外生活ブログ アジア情報へにほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする