“Smooth like butter”という歌い出しです。「うまくいく」とかいう意味もありますが
これを訳すとすれば、文字通り「バターのように滑らかに」としたいですね。その後に続く“Like a criminal undercover”ですが、「姿の見えない犯人のように」という感じかと思います。これらはすべて、少し後の“Breakin’ into your heart”「あなたの心の中に侵入していく」という言葉にかかっていきます。実はこの部分は、マイケル・ジャクソンの名曲“Smooth Criminal”をモチーフとしていると言われています。
実はこの歌詞の前に、“When I look in the mirror”というフレーズがあります。鏡を見ているんですね。ここもマイケル・ジャクソンの“Man in the Mirror”を意識しているのかどうかは不明ですが、鏡を見ているということは、自分と、鏡に映った自分の二人がいるということになります。スーパースターとしての自分と、本来の素の自分という二人と言ってもよいかもしれません。こんな鏡を見ているスーパースターというプライベートな空間を共有できるファンはまずいないと思いますが(この状況を想像してしまうだけでファンは胸キュンなのでしょう)、鏡の中と、その前に立っている男性の両方に溶けたハートが二つに分離していくということですね。どっちも魅力的なので、ファンのハートは困ってしまうのです。こんな表現が許されるのはBTS以外にはいないでしょうね。
4.HIGH LIKE THE MOON, ROCK WITH ME, BABY
“Side step, right, left to my beat”「僕のビートに合わせてサイドステップ、右、左」に続いて、“High like the moon, rock with me, baby”「月のように高く、僕と一緒に踊ろう、ベイビー」というフレーズが続きます。マイケル・ジャクソンと言えば、ムーン・ウォークが有名ですが、この“moon”にそれがあるかどうかはわかりません。しかし、“rock with me”というフレーズは、マイケル・ジャクソンの若い頃のヒット曲“Rock with You”をかなり意識したものだと言えるでしょう。ちなみにこちらの動画が、その曲です。
5.DON’T NEED NO USHER
最初のうちは、この“Usher”というのは劇場などの「案内人」という一般名詞かと思っていました。しかし、歌詞をよく見ると、最初の“U”が大文字になっています。これはミュージシャンのUsherのことで、その次の“To remind me you got it bad”に登場する“You Got It Bad”というのは、Usherの20年くらい前のヒット曲です。ここの部分は、「あなたが(僕に)いかれてしまっていることを再認識させてもらうためにUsherは必要ない」という文脈になります。
Usherの“You Got It Bad”の動画はこちらです。
6.ICE ON MY WRIST, I’M THE NICE GUY
“Ice”というのはヒップホップの世界では、ダイヤモンドが散りばめられた時計のこと。ブレスレットでもよいのですが、氷のようにキラキラ輝く装飾品です。この部分、ネットを検索すると、“No ice on my wrist”(ダイヤモンドを手首につけてないけど)と表記してあるのも散見されるのですが、曲を聴いてみると“Ice on my wrist”で、明らかに“No”は入っていません。
Genius Lyricsによれば、「ミュージックビデオでは、“No ice on my wrist"と書かれているが、正確を期するために音源を重視し、Genius Lyricsとしては“Ice on my wrist"とした」とのことです。また、このパートを担当しているSUGAをはじめ、メンバーの何人かが高級時計の所有者として知られているので、"Ice on my wrist"だと説明がつくとのことです。日本のサイトでは、“No ice on my wrist"が主流になっているので、ここは今後の論争になる可能性があります。ARMYのパワーには負けてしまうかもしれませんが。