映画さんぽ シスタマゴの徒然日記

映画大好きな姉妹が、最近観た映画のレビューや日々の出来事を気の向くままに綴っています♪

『リリーのすべて』『ルーム』

2016年05月30日 | 映画
『リリーのすべて』


世界初の性別適合手術を受けたデンマーク人画家リリー・エルベ(男性名:アイナー・ヴェイナー)と、その妻ゲルダとの愛を描いた伝記ドラマ。

モデルのバレリーナの代わりに、アイナーがストッキングと靴を履き、ドレスを胸に当てるところ。
演じるエディ・レッドメインのセリフはなくても、その心情が伝わってくるシーンです。

最初は、夫をなんとか元に戻らせたいと苦悩する妻が、次第に夫の望みを叶えるべく行動に出るところは、尊敬しますね。妻のゲルダを演じたアリシア・ヴィキャンデルは、これでアカデミー賞を獲りました。

あらすじだけを見ると、なんて物わかりのいい奥さん。と思っていたけれど、それまでにはさまざまな過程があったのを知ると、彼女の決断は並大抵の意思ではないことがわかります。

昔に比べれば、かなりトランスジェンダーに対しての認識が高まってきたとは思うものの、それでもまだ完全に受け入れられているとは言い難いでしょう。

けれど例えば自分が、実は反対の性別だったと仮定してみたら、その心理的な不自由さに気付くと思います。

エディ・レッドメインは、『博士と彼女のセオリー』で主演男優賞を受賞しましたが、どちらかというと、この役で獲ってほしかったと思いました。
いや、それだとディカプリオがまた受賞できないことになるから、それでよかったのか?


『ルーム』


エマ・ドナヒューの小説「部屋」を、『FRANK -フランク-』などのレニー・アブラハムソン監督が映画化。7年間も密室に監禁された女性が、そこで生まれ育った5歳の息子のため命懸けで脱出に挑み、長い間世間から隔絶されていた彼らが社会に適応していく過程を描く。

事前にどんな物語かをまったく知らずに観たら、映画が始まってからしばらくは、母と子のフツーの生活が描かれているとしか感じない作りになっています。
(ただし、前情報を知らないで観にいくということがほとんどできないのが実情ですが

主演のブリー・ラーソンは、これでアカデミー主演女優賞を獲っていますが、実はそれより素晴らしい演技を見せているのが、息子役のジェイコブ・トレンブレイ。
こんなに小さいのに(実際の年齢はもっと上だそうですが)、自分の役柄をすべて理解していて、それを演技じゃなく本物だと感じさせるのには驚きです。

生まれながらに閉鎖された空間で生活してきた子のリアルを、観客が体感できるのが凄いです。

この映画は、いかに脱出するかということだけに重きを置いておらず、むしろその後の方がこの物語のテーマなのではないかと思っています。

それにしても、TVのインタビュアーの質問が、あまりにもひどいと思いました。
アメリカではフツーなのか?日本でこれを放送したら、炎上するんじゃないかと想像してます。
(実際、その後の母親の行動がそれを証明していますよね)

ラスト、息子が家財道具に挨拶をするシーン(これは冒頭と対比になってるのだけど)、子供なりの気持ちの整理をつけることで、彼の成長が表れていました。
また、冒頭の密着した映像と、ラストの俯瞰の映像も対比になっていて印象的です。
コメント
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