思惟石

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『断片的なものの社会学』すごい断片考

2022-06-09 17:07:50 | 日記
『断片的なものの社会学』
岸政彦

作者の岸政彦氏は社会学者で、
様々な人の様々な人生を聞き取り調査しています。
そんな著者が、いろんな人生に触れて考えたことを綴ったような、
不思議なエッセイ集。

『誰にも隠されていないが、誰の目にも触れない』というエッセイは、
それぞれの「何事もない、ふつうの」物語に対する深い思いというか、
達観した無意味さというか、が、カラッとした文章で描かれていて、
逆にノスタルジックな感じもする。

って、何言ってんのかわかんない感想を書いてしまった。
が、すごく良い文章だった。

とにかく「断片的」なものにこだわる人なのだなと思う。
自分というか人間全般も、確固たる何かがあるわけではなく、
たくさんの断片の集合体でしかないという。

愛犬が留守中に亡くなった際のエピソードは印象的。
死に際を見せたくなくて留守中に逝ったんだよ的な
知人の「都合の良い擬人化」に怒るエピソードには
激しく共感しました。

最後の章の、採集した人々の断片エピソードの羅列、
とても面白かった。
解釈もストーリーもない断片たち。たまらなく良い。
コメント
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