思惟石

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『自由研究には向かない殺人』

2022-06-16 12:11:16 | 日記
『自由研究には向かない殺人』
ホリー・ジャクソン
服部京子:訳

17歳の高校生ピッパが自由研究(卒業単位になる)の課題として、
5年前に起きた女子高生失踪事件に取り組むというもの。

失踪したアンディの恋人で犯人と目されているサル(自殺している)の
汚名を濯ぐためであり、サルの弟ラヴィとコンビで取り組みます。

主人公のピッパが明るく真っ直ぐでウィットに富んでいる性格で
家族も超明るいし、とにかく読みやすい。
フェアであることに対して一生懸命なところが、良いですね。
(交通事故に関しては、結局どうした?と思うけど)

イギリスの高校生の生活ってこんな感じなんだなあ、
というのもあって、面白かったです。
大半のティーンエイジャーはじぶんのクルマを持っていて、
深夜まで友人宅に出入りできて(門限深夜1時ってセリフを二度見した)、
飲酒は普通な感じ。
欧米か!

友人知人に対してオープン(アポ無しで訪ねて行っても家に上がれる感がある)
の一方で、人種や社会ヒエラルキーの差別意識もたくさんある。
まあ、どの国もそうかもしれないけど。

とはいえ犯人と思われているサルは性格もよく頭も良い、
非の打ちどころがないイケメンなのだけれど、
こんなにも殺人鬼扱いされちゃうものかな。
メディアやSNSのパワーってこと?

そして被害者アンディはたった17年の人生を通じて
本当に性格悪いんだけど、なんでそういう噂が出ないんだろうか。
さすがにそれはおかしくないかと思っちゃうけど、そんなもんかな。

フェイスブックで情報収集するとか、
スマホの「友人を探す」機能で犯人追跡するとか、
いまっぽくて、とても面白かった。

通信が進化しすぎてトリックしんどいから
わざわざ70年代設定にするミステリもあるけれど、
この作品は新時代ミステリって感じがあって、そこも良かった。

児童向け文学に区分されることもあるみたいだけど、
読み応えのある良いミステリ小説でした。
コメント
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