『日本の歴史をよみなおす(全)』
網野善彦
(全)って何?
と思ったら、正編(1991)と続編(1996)を一冊にして
刊行しなおしたものらしい(2005年初版)。
全編、講義口調になっているので
網野先生の授業を聞いている雰囲気。
読みやすくて良い感じです。
というか、筑摩書房の社員を集めて実際に講義をし、
その内容を元に書籍化したそうです。
そういう順番か!筑摩社員、いいなあ!
貨幣経済や、日本の差別の歴史、女性の立場や
中世日本の社会、などがテーマとなって章立てされています。
以下、メモ。
・和同開珎
貨幣経済が全然育ってなかったので、
商取引よりも呪術的に使われていたそうです。
おもしろ!
寺院の基壇に置くとかね。
社会で最古の和銭と習った和同開珎、色々と残念なやつだぜ…。
・日宋貿易と銭の病
平清盛が儲けていたので有名。
12〜13世紀に宋から銭が流入した際も
まだ貨幣社会は育ってなかったようで。
疫病が流行ると「銭の病」と言われたそうです。
土地の売買で銭が使われるようになるのが13世紀以降。
なるほど。
・中世の金融業者は神や仏の直属人
金融は、神仏に捧げられたものを人間世界で使い、
お礼に利息をつけてお返しする、という解釈。
祠堂銭(しどうせん)は寺に寄付された銭の貸し出し。
出挙(すいこ)は神物、仏物の貸し付けのこと。
神人(じんにん)が神の直属民、
寄人(よりうど)が仏の直属民、
供御人(くごにん)が天皇の直属民。
・鎌倉新仏教
非人の救済活動、放下(ほうか、芸能民)としての活動、
勧進聖、無縁所の運営など。
高校日本史でやったはずなのに、ひとつも思い出せない…。
(鎌倉新仏教は6個あるよ!1個も思い出せないけど!)
ちなみにこの本では時宗の『一遍聖絵』と『天狗草子』が
(前者は一遍の伝記的絵巻、一方で後者は一遍批判の絵巻)
挿絵としてたくさん引かれています。
ここらへん、もうちょっと勉強したいところ。
・「百姓」=農民ではない
百姓という言葉には、非農業民もかなり含まれていた説。
海民・山民や、商人・廻船人の実態が把握されていなかった。
田地制で戸籍管理しているから
「水呑」=貧しい、というイメージもあるけれど、
廻船業で豊かな「水呑」もいるとか。
米が育たない山間=貧村、かと思ったら
金や銅で生活が成り立ってましたとか。
・西日本と東日本
西日本:弥生文化、貴族、中国・朝鮮系の作物流入
東日本:縄文文化、武家、シベリア・ヨーロッパ系の作物流入
これは建築でも東西の文化の差の話しがあったな。
色々なジャンルで分析できそう。
網野善彦
(全)って何?
と思ったら、正編(1991)と続編(1996)を一冊にして
刊行しなおしたものらしい(2005年初版)。
全編、講義口調になっているので
網野先生の授業を聞いている雰囲気。
読みやすくて良い感じです。
というか、筑摩書房の社員を集めて実際に講義をし、
その内容を元に書籍化したそうです。
そういう順番か!筑摩社員、いいなあ!
貨幣経済や、日本の差別の歴史、女性の立場や
中世日本の社会、などがテーマとなって章立てされています。
以下、メモ。
・和同開珎
貨幣経済が全然育ってなかったので、
商取引よりも呪術的に使われていたそうです。
おもしろ!
寺院の基壇に置くとかね。
社会で最古の和銭と習った和同開珎、色々と残念なやつだぜ…。
・日宋貿易と銭の病
平清盛が儲けていたので有名。
12〜13世紀に宋から銭が流入した際も
まだ貨幣社会は育ってなかったようで。
疫病が流行ると「銭の病」と言われたそうです。
土地の売買で銭が使われるようになるのが13世紀以降。
なるほど。
・中世の金融業者は神や仏の直属人
金融は、神仏に捧げられたものを人間世界で使い、
お礼に利息をつけてお返しする、という解釈。
祠堂銭(しどうせん)は寺に寄付された銭の貸し出し。
出挙(すいこ)は神物、仏物の貸し付けのこと。
神人(じんにん)が神の直属民、
寄人(よりうど)が仏の直属民、
供御人(くごにん)が天皇の直属民。
・鎌倉新仏教
非人の救済活動、放下(ほうか、芸能民)としての活動、
勧進聖、無縁所の運営など。
高校日本史でやったはずなのに、ひとつも思い出せない…。
(鎌倉新仏教は6個あるよ!1個も思い出せないけど!)
ちなみにこの本では時宗の『一遍聖絵』と『天狗草子』が
(前者は一遍の伝記的絵巻、一方で後者は一遍批判の絵巻)
挿絵としてたくさん引かれています。
ここらへん、もうちょっと勉強したいところ。
・「百姓」=農民ではない
百姓という言葉には、非農業民もかなり含まれていた説。
海民・山民や、商人・廻船人の実態が把握されていなかった。
田地制で戸籍管理しているから
「水呑」=貧しい、というイメージもあるけれど、
廻船業で豊かな「水呑」もいるとか。
米が育たない山間=貧村、かと思ったら
金や銅で生活が成り立ってましたとか。
・西日本と東日本
西日本:弥生文化、貴族、中国・朝鮮系の作物流入
東日本:縄文文化、武家、シベリア・ヨーロッパ系の作物流入
これは建築でも東西の文化の差の話しがあったな。
色々なジャンルで分析できそう。