15時から天皇のお言葉が10分間ビデオメッセージとして流された。
メジャーなすべてのTV局は放送しており、その後も特別番組を組んで、いろんな人のコメントを放送していた。
新聞の号外も出たようだ。
以前から予告されていたこととはいえ、トップニュースになった。
憲法問題や、政府の対処の仕方や、国会も巻き込む話で、国の仕組みにもかかわる話なので、大きく報道されて当然と言えば当然だろう。
私は現行憲法のままで、生前退位を図るよう政府なり国会が立法すべきと思っている。
国民主権は当然のことで、その思想のもとに、政府があり、統合の象徴としての天皇があることを忘れてはならない。
間違っても本末転倒になり、国家のための国民、天皇のための国民になってはならない。
国民主権と象徴天皇は矛盾しないし、現代社会になじんでいる。
しかし天皇が指摘されたように高齢により職務が果たせなくなった時の対応策(退位を含め)を決めておくべきだろうし、多くの人が指摘するように女性天皇も認めるべきだろう。
歴史的にも何人かの有名女性天皇がおられ、現在女性天皇があっても何も問題はない。
天皇が指摘された、重い殯(もがり)も問題だろう。(葬送儀礼)
伝統行事と国政と絡むところでもある。
昔天皇制こそが差別の根源だと主張する人たちの発言を聞いたことがある。
そうした、政治理論も理解できる。
しかし、政治とは少数者の意見は尊重しつつ、最終的には最大公約数の意見を実現することにあるとすれば(基本的人権は侵してはならない)、どのように見ても、今の日本のほとんどの人は、天皇制を支持しているように見える。
そういう意味において、天皇制の尊重は問題ないし、価値観の問題でもある。
天皇に関しては、歴史上の観点からもいろいろ見方があるが、価値観の問題から議論が出発することも多い。
政治制度は人間が作るもので、その基本になる価値観で制度はいかようにも変わり、これが正しいというものはないと思う。
我々が信奉する、西欧での人権宣言に見られる、自由平等の精神も、価値観の一つであり、現代では、多くのひとが基本的人権に基本を置いた自由、平等の民主主義を基本に社会制度を構築していて、そうした価値観をベースにした様々な哲学も展開されている。
私も基本的考えは、現行憲法と同じ考えであり、自由主義、民主主義の信奉者であると同時に、リベラル的考えを持っていて、競争原理や格差は認めるが、格差拡大や富の大きな偏在は制度的に是正すべきだと考えている。
だが、宗教的に全く違う価値観の人達もいるが、その世界ではその価値観に基づいた政治思想が正しいのであって、西欧的価値観を押し付けることはできない。
話しが少しずれたが、日本文化と天皇制や貴族文化(武家文化も含む)との関係も歴史的に見ると、天皇制無くして、日本文化を語りえない程、過去には大きな影響力を持ち、日本の主な文化財や伝統文化の多くはそうした構造に組み込まれていた。
だからと言って、一部の人が主張するように、美しい敬語や大和言葉や封建的考え方を賛美するような考えには賛同できないし、ある意味危険な傾向とも思っている。
伝統は尊重し守るものと思うが、それを錦の御旗のように復古主義的に進めようとするのは時代錯誤=アナクロニズムだと思う。
時の文化は、自然に育つものであり、例えば室町時代から江戸の異類異形の者やかぶきものは今の伝統文化となっている。
私は、ゲームやアニメの文化は分らないが、今では世界に誇る日本文化の一つになっているではないか。