上海双龍ラグビー倶楽部

上海にてラグビーを愛する者達の活動報告です。

(Vol.157) 「ELV」となじもう[①]

2008-08-27 09:40:39 | レフリー日記
★昨晩(26日)に、今週の【オチ通(516号)】を更新しています。
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ラグビーシーズンを前にして、たまにはキチンとラグビーの事で文章を書きましょう。

先ずは気になる試験的実施ルール(ELV=Experimental Law Variations)に付いて。

既にご存知の通り、試用される競技規則が以下の通りで記されています。
8月1日から国際的に試用される競技規則
 ⇒ http://www.rugby-japan.jp/news/2008/id4391.html

ところで、この件が発表された当初より、各地協会などでその内容に付いての研究が
なされ、IRBに質問状を送るなどして、公的に回答が得られたり、また解釈の相違
(溝)を埋めるべく、新たな見解が出されたりと、ELV自体が少しずつその姿を変え
つつある様です。

例えば「トライは4点だったのを5点にする」というのでしたら解釈も何もないので
しょうが、このスポーツに有りがちな曖昧な表現や、原文(英文)から各言語への翻訳
の仕方などで、どうしても「見解の相違」は発生してしまいます。ルール改正時には
起こり得る事でしょうね。

当ブログでは、これらの各項目に付いて、筆者なりに気が付いた事、またこの新しい
競技規則を読んで、上海のラグビーシーンに照らし合わせた場合に思い付く事などを、
綴ってみたいと思います。

それでは先ず、最初の項目;アシスタントレフリーに付いて。

いわゆる「線審」ですかね?これまでタッチジャッジ(TJ)と呼ばれていた訳ですが、
今後は「アシスタントレフリー(AR)」と呼ぶ事になります。これは単なる呼び名の
変更という事だけではありません。後述しますが、ELVの実施に於いてはレフリー
の仕事内容(義務と権利)の大幅に増えます。従ってレフリーを補助するところのAR
の仕事内容(義務と権利)を増やし、結果的にレフリーの負担を軽減させるという狙い
も有ると言えます。

例えばスクラム時のオフサイドに関しては、1度にチェックすべきポイントが格段に
増えますが、これらをレフリーとARとで分担する事で、反則の予防や視認を広範囲
に、漏れる事無く行える様になる訳です。

レフリーの負担軽減という意味では「ラインアウト」でもその意図が伺えます。

先ず「クィック」の場合の「スローイン」が、これまでは普通のラインアウトと同様、
「ゴールラインに平行」でしか認められなかったものが「自陣ゴール側に向かって」
つまり後ろ方向へのノットストレート」も認められる様になった事。これはレフリー
だけでなくプレイヤーにとっても同じですね。もっともこれは「誰それの負担軽減の
為」とかではなく「クィックスを増やしてゲームをスピーディにしよう」という意図
が本当のところな様ですが。

次に「ラインアウトの構成人員」の制限撤廃(最低2名という縛りは残る)。レフリー
としては「ちゃんと人数の確認しろやぁ」と叱責される心配が1つ減りました。逆に
プレイヤー側としては、相手の構成人員を見て同数にするのか少数にするのか多数に
するのか、戦術を練り巡らす「頭の使い所」と言われております。

そして「ボールレシーバー(SH役)」の選手に「ラインアウトから2m離れる」事を
義務付けた事。これも「列に並んだ選手」と「SH役の選手」の見分けが付き難く、
その確認で「ちゃんと明確に離れて」というコールが度々聞かれたものですが、その
基準が曖昧でなくなったという事です。

さてARの仕事内容(義務と権利)が増えるのは良い事だとして、上海--これは上海
だけでなく大多数の草ラグビーに共通する事でしょうが、マッチオフィシャルとして、
レフリーとARをキチンと決めて………というのは稀な事で、殆どは両チームの控え
メンバーがボランティアで務めているのが現状でしょう。

この様なボランティアでお願いしているARのルール精通度、レフリーやプレイヤー
とのコミュニケーション(インカムなんて無いですからね)に於いては、懸念すべき点
も有るかと思います。


【お断り】
 以下の各団体HPから、資料、文章などを引用させて頂いております。
 ●日本ラグビーフットボール協会
  ⇒ http://www.rugby-japan.jp/
 ●ラグビー・レフリー・リサーチ・センター(RRRC)
  ⇒ http://rrrc.jp/index.html
  ⇒「無料会員」になりましたか?


Micheal.
コメント
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