テリー・イシダの『独酌酔言』。

夜な夜な酒場で一人飲み、酔った勢いであれこれ、一言、申し上げます。

そろそろ鱧の旬も終わりですか、、、え?秋の鱧も美味しい!?知らなんだ鱧の話です^^)~今日のお店:大阪九条の「白雪温酒場」。

2019年09月20日 | 世の中

やはり朝夕は秋の風が吹いて涼しくなってきましたな、

そろそろ鱧の季節も終わりですか、ね、、、

え!?秋の鱧も美味しい!?ホンマですか、

でも、酒場ではやはり6月頃から出始めて8月でお終い、というのが普通みたいですけどね、

そもそも、関東では普通の居酒屋では鱧は出て来ませんし、、、

ここもまだはもあるかな~、夏はね定番、いつでも置いてあるのですが、9月はどうかな、

ちょっと入ってみましょか、

で、今日はね、鱧の話の続きなんですがね、、、

考えてみたら“鱧”ほどいろんな薀蓄や由来に纏わる話が多い魚も珍しいのではないかな、と思うんですわ、はい、

まずは夏の風物詩みたいなところですかね、関西で、とくに京都では夏の魚料理と云えば「鱧の落とし」ですわ、

ね、湯に通してキュッと冷やして梅肉で、、、美味しいです、

もともと京都は海から離れているので海の鮮魚はほとんどなかった、鯖寿司みたいに加工してね日持ちさせるとかの知恵はありましたけどね、

でも鱧はね、大阪湾で獲って桶に入れて京都まで人力で運んでもまだ生きていた、という強い生命力の持ち主、

なので、京都の人は好んで食した、新鮮な魚は当時貴重な食材ですから、はい、

『京都の鱧は山で獲れる』という話があります、

これは大阪から桶に入れて運んできた鱧がまだ元気で、桶から飛び出すことがある、

これを見逃して魚屋がそのまま京都へ向かうと、山道に生きた鱧がニョロニョロと落ちていることがある、というところからきているようです、なかなかの強者ですな、

でも、鱧は細かい骨が多いので骨切りと云う手間を掛けなきゃいけない、

ま、これも風情があって良い、これがあるからあの華開くような綺麗な「落とし」が出来るのですからね、

でも、美味しい肴が東京湾でたくさん獲れた関東では、そんな面倒なことはしない、

江戸っ子はそんなチマチマしたことはやらないよ!てなもんだったのか?^^)

関東で鱧が定着していないのはそんなところが理由かもしれません、

ワタシが子どもの頃、季節になると鱧が普通に夕食の卓に並びました、

でもね、これが嫌でね、鱧と云っても「落とし」ではありません、「蒲焼」です、

醤油味の鱧の蒲焼、、、これでご飯を食べる、、、子ども心に“無理!”とか思っていましたわ、

先程から「鱧の落とし」と書いていますが、、、

京都では普通にこう云っていましたが、先日、大阪のある居酒屋では「落とし」が通じませんでした、

「鱧の湯引き」というのが大阪では多数派のようです、そうか~、「落とし」は通じないのか、と愕然としました、

あと「鱧ちり」と云うメニューで「落とし」「湯引き」を出す店もあります、これはなんか「鱧ちり鍋」と区別がつかないのでちょっと違うような気がしますが、、、

「落とし」の語源は『湯に落とす』と云うところからきているようですが、、、

先程の鱧を山道で落とす話、こちらとも繋がっていたら、それはそれで面白い話かと思いますが如何でしょうか、「鱧の落とし」、

でね、一番最初に書いた“鱧の旬”なんですがね、これがまた面白いんですわ、

たしかに秋の産卵期前の鱧、夏の鱧はあっさりしていて美味しいのですが、大きく育った“秋の鱧”も脂がのって美味しいそうです、

ところがお店からは鱧のメニュー、秋になるとパタッと無くなりますよね、

ワタシ、てっきり秋には鱧がいなくなるのかと思っていました、

これはね、“土用の丑の日の鰻”と同じような昔の商売人の知恵“旬のマーケティング”の結果やそうです、

夏の暑い時期、昔は鱧しか京都へ持って行く食材がなかった、売る魚がない!!これはマズイ、

そこで魚屋さんは“夏の鱧は旬で美味しい”と触れ回って鱧を売り捌いたそうです、それで“鱧の旬は夏”となったとか、、、なんとまあ、、、

なので、逆に云うと秋の鱧も美味しいそうです、最近教えていただきました、でも大きく成長しているので骨も太くなり骨切りはより技術がいるようですが、

う~ん、鱧、さすがにその生命力が人の食生活や文化にいろいろと影響を与えていますね、

秋の鱧も美味しいのか、よし、9月でも鱧があったら頼んでみましょう、

【今日のお店:大阪九条の白雪温酒場】

関西の酒場、夏には必ず「鱧の湯引き」あります!

ここ「白雪温酒場」でも6月頃から「鱧の湯引き」がショーケースに並んでいます、

ここはたしか梅肉か醤油?だっけ、酢味噌だっけ?ちょっと忘れましたが、大将に訊かれます、


ワタシはやはり梅肉でいただくのが好みです、写真でも美味しさが蘇りますわ、

今シーズンは鱧、2回やったかな、



あ、これは「鱧の子の卵とじ」です、

これも関西ではよく見るメニューです、食材を無駄にしない“もったいない”の精神、 



暑い夏でもここの燗酒は絶品です、上撰のお酒ですがとにかく燗酒が美味しい、



この錫のチロリのお蔭、大将の絶妙の付け方のお蔭です、

8月末にはまだ鱧ありましたが、、、9月はどうかな?ちょっと覗いてみますわ、



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